NHK BS「行くぞ!最果て!秘境×鉄道」が興味深い理由。世界の秘境駅の姿がわかる

秘境駅で途中下車

NHK BSプレミアムで「行くぞ!最果て!秘境×鉄道」という紀行番組が放送されています。世界各地の鉄道に乗り秘境駅で降りるドキュメンタリーで、直近の放送は第7弾のモンゴル・ウランバートル鉄道でした。

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カナダ、メキシコなど7路線

NHK BSプレミアムの「行くぞ!最果て!秘境×鉄道」は、不定期で放映されている紀行番組です。2017年2月の「縦断 カナダ大雪原」が第1弾で、2018年12月29日に最新の第7弾「モンゴル 絶景列車」が放送されました。

これまでの番組ラインナップは以下の通りです。

第1弾「縦断 カナダ大雪原」VIA鉄道・ウィニペグ~チャーチル
第2弾「走れ メキシコ大峡谷」チワワ太平洋鉄道・ロスモチス~チワワ
第3弾「激走!ノルウェー北極圏へ」ノルウェー鉄道・オスロ~ボードー
第4弾「疾走!シルクロード」ウズベキスタン~カザフスタン~キルギス
第5弾「アラスカ 氷河と大森林」アラスカ鉄道・スワード~フェアバンクス
第6弾「アフリカ ポレポレ列車」タンザン鉄道・ザンビア~タンザニア
第7弾「モンゴル 絶景列車」ウランバートル鉄道・スフバートル~ザミンウード

秘境鉄道
画像:NHKウェブサイトより

行くぞ!最果て!秘境×鉄道 モンゴル 絶景列車NHK BSプレミアム
2018年12月29日(土)21:00〜22:29
旅人:古原靖久
語り:近江友里恵アナウンサー

「簡易乗降場」で途中下車

取り上げられているのは、主に各国の幹線鉄道で、必ずしもローカル線ではありません。ただ、走行区間は無人の荒野だったり、砂漠だったり、雪原だったりして、秘境エリアを縦走します。

この番組のポイントは途中下車です。人があまり利用しなさそうな駅に下車して、周辺を探索します。

第7弾のモンゴル編でも、「トーチク」と呼ばれる、日本でいう簡易乗降場か信号場のような駅で途中下車。近くにある保線作業員の事務所にお邪魔して、鉄道の保線作業を体験させてもらったりします。荒野を走るモンゴル鉄道では、無人地帯に拠点を設け、作業員が住み込みで保線作業をしているのです。

個人ができない旅

海外の鉄道に乗っていると、周囲に何もない駅を通過することがあり、「こんな駅を誰が使うのだろう」「近くに住む人はどんな生活をしているのだろう」と思いを馳せることがあります。そんな疑問に対し、この番組は答えを教えてくれます。

一般の個人旅行者は、海外の鉄道に乗ることはできても、荒野の駅で降りることなんて、なかなかできません。日本の「秘境駅」とは違い、世界の秘境駅は、周囲数十キロに、ホテルもレストランもなかったりすることがあるからです。そのうえ列車の運転本数は極端に少なく、気候も厳しく、野宿すらできないこともあるでしょう。

そんな個人ができない旅をして、列車内からではわからない、「世界の秘境駅」の本当の姿を見せてくれる。それがこの番組の魅力でしょう。

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「鉄道番組」というより「秘境番組」

鉄道に乗っているシーンよりも、降りているシーンの長い番組ですが、「秘境」を選んで途中下車していることで、興味深い内容に仕上がっています。その意味では、「鉄道番組」ではなく、「秘境番組」といえます。「秘境」の定義はいろいろあるでしょうが、「人が住む秘境」を訪れる番組でしょうか。

NHKらしく、事前の取材準備は万端。番組構成上は、行き当たりばったりで途中下車している形になっていますが、事前に手配していなければ、鉄道の保線作業の取材などできないでしょう。

モンゴルに3人しかいないという「撮り鉄」にばったり出会うのもご愛敬。こうした念入りな手配のおかげで、密度の濃い番組になっています。

第8弾はボリビアで、2月の放送予定。どの路線が取り上げられるのか、楽しみです。(鎌倉淳)

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