「阪急なにわ筋・新大阪連絡線」のダイヤはどうなる? 関空直通急行を運転へ

特急はJR線に?

阪急電鉄が、計画中のなにわ筋・新大阪連絡線について、新大阪~関西空港間で直通急行の運転を計画していることが明らかになりました。JRとの乗り入れも検討しているようで、どのようなダイヤになるか気になります。

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阪急なにわ筋・新大阪連絡線とは

阪急電鉄には、新大阪~十三間で「新大阪連絡線」という新線計画があります。さらに、十三~大阪間にも「なにわ筋連絡線」という新線計画を立てています。

この二つの新線計画が、実現に向け動き出しています。「なにわ筋・新大阪連絡線」を一気に建設し、新大阪駅から十三駅を経てJR大阪駅(うめきた)までつなげます。

大阪駅からは、建設中のなにわ筋線(大阪~JR難波、南海新今宮)に乗り入れ、関西空港までの直通列車を走らせます。

阪急3新線
画像:国土交通省「近畿圏における空港アクセス鉄道ネットワークに関する調査結果」
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急行を毎時6本運行

この直通列車について、阪急電鉄は、料金不要の急行列車を毎時6本程度運行させる計画であることを明らかにしました。2023年8月16日に産経新聞が報じ、各社が後追いで続いています。

各社報道によりますと、直通急行は、南海電鉄のほか、JR線への乗り入れも検討しています。また車両については、阪急も製造するものの、「基本的に南海電鉄と共通の構造とし、メンテナンスは南海に依頼する方針」(産経)とのことです。

現時点では、連絡線の事業計画案が公表されていないため、これらがどこまで決定済みなのかは明らかではありません。

とはいえ、阪急は、連絡線の開業目標をなにわ筋線開業と同じ2031年春としていますので、そろそろ具体的な計画案が固まっているはずです。したがって、各社が報じている内容は、大枠で決まりつつあることなのでしょう。

阪急梅田駅

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南海は特急2本、急行4本

阪急なにわ筋・新大阪連絡線は、南海・JRと規格を合わせ、狭軌で建設される予定です。既存の阪急京都線や神戸線などには乗り入れず、阪急としては孤立した新線です。したがって、ダイヤも基本的には南海・JRに合わせるとみられます。

大阪市の戦略会議資料(2017年9月19日)によりますと、なにわ筋線の日中時間帯の運行計画は、JR線が毎時特急3本と快速4本。南海線が毎時特急2本と急行4本を想定しています。

こうした前提で、阪急連絡線が急行を毎時6本を運行するのであれば、それをすべて南海が引き受けることはできません。となると、少なくとも毎時2本はJRに流す必要があります。そのため、「阪急急行」のJR線乗り入れが検討されているのでしょう。

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関空特急共同運行計画

背景として、JR・南海両社の「関空特急共同運行計画」があります。JR「はるか」と南海「ラピート」を統合し、新大阪~大阪~関西空港間で有料特急を共同運行する計画です。

荒唐無稽な話ではなく、なにわ筋線着工前から報じられてきた内容です。2019年には、両社が特急車両の共同開発を視野に入れていることも、産経新聞が報じています。

実現すれば、同じ特急車両が、新大阪~関西空港間で南海経由とJR経由に分かれて運行することになります。

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「ラピート」が阪急に乗り入れない理由

阪急がなにわ筋・新大阪連絡線を作るのであれば、南海「ラピート」が阪急に乗り入れればいいのでは、という意見もあるでしょう。運行系統上は、南海車両を全て阪急新大阪に流し、JR車両を全てJR新大阪駅に流す方が、わかりやすい気もします。

このとき問題になるのが、阪急新大阪駅の位置です。阪急は新大阪駅北側に土地を保有していますが、すでに新幹線施設(引上線)が作られていることもあり、連絡線は地下を通す計画です。

阪急なにわ筋・新大阪連絡線線新大阪駅
画像:画像:東海道新幹線の輸送力増強に向けた新大阪駅ホーム等増設計画 JR東海 建設工事部土木工事課

阪急新大阪駅が地下に作られると、新幹線からの乗り換えは不便です。南海としては、新幹線=関空アクセスの競争で不利になってしまいます。

利用者の立場からも、同じ関空行き特急が、同じ新大阪駅で、地上ホームと地下ホームに分かれて発着するのはわかりにくいでしょう。

新幹線からの関西空港アクセスという視点でみれば、共同運行なら毎時4本を確保できます。これは、新幹線の利便性を高めるという点で、JRにもメリットがあります。こうした事情から、JRと南海は、特急の共同運行で、すでに合意している可能性が高そうです。

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阪急は毎時6本

南海の特急がJR新大阪駅に乗り入れるのであれば、阪急連絡線に乗り入れられる南海電車は、急行が毎時4本にとどまってしまいます。

阪急として、連絡線の役割は、実のところ、関空アクセスよりも新幹線アクセスが主でしょう。となると、十三~新大阪間で毎時4本は少ないですし、阪急は主要路線で毎時6本のダイヤを組んでいることもあり、毎時6本を求めたいところです。そこで、JR線への直通計画が検討されている、ということではないでしょうか。

阪急の急行6本のうち、4本が南海急行となり関西空港駅へ乗り入れ、2本がJR快速となり阪和線に乗り入れる、ということです。

なにわ筋線運行系統予想

そうした仮定に基づいて、なにわ筋線の日中時間帯の運行系統をまとめると、以下のようになりそうです。

関空特急:毎時4本(南海経由2本、JR経由2本)
紀勢線特急:毎時1本
阪急急行/南海急行:毎時4本
阪急急行/JR快速:毎時2本
JR快速:毎時2本

「関空特急」のうち、JR運行列車は京都発着になるでしょう。「阪急急行/JR快速」は、JR側の最終目的地がどこになるか定かではありません。「関空快速」を大阪環状線に残すなら、「阪急急行/JR快速」は、関西空港以外の目的地になる可能性もあるでしょう。

阪急に乗り入れない「JR快速」の詳細もわかりませんが、たとえば「おおさか東線~なにわ筋線~阪和線」という系統になる可能性が考えられます。

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そろそろ事業着手か

言うまでもありませんが、上記の運行系統案は、これまでの報道や公開された資料に基づいた当サイトの推測です。実際にどうなるのかはわかりません。

阪急連絡線はまだ着工前で、決まっていないことも多いと思われ、ダイヤなど詳細が発表されるのは開業直前になるでしょう。

それでも、そろそろ阪急電鉄から「なにわ筋・新大阪連絡線」について、事業着手へ向けた確定情報が公表されるはずです。

開業後、関空までの所要時間は、新大阪から約1時間10分、神戸三宮からは約1時間20分、京都河原町からは約1時間半になる予定。楽しみに待ちたいところです。(鎌倉淳)

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