「現美新幹線」が混んでいた。席数が少ないので、さよなら乗車はお早めに

12月最終運行へ

2020年12月に運行終了する現美新幹線に乗ってみました。車内は混んでいて、座席数が少ないだけに立ち客もちらほら。さよなら乗車をする方はお早めに

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12月最終運行

現美新幹線は「現美新幹線」は、上越新幹線の越後湯沢~新潟間を土休日を中心に1日3往復、臨時列車として走る車両です。秋田新幹線のE6系投入にともない余剰となったE3系6両を改造し、2016年4月にデビューしました。「現美」とは「現代美術」の略で、現代アートを車内で鑑賞できるのがコンセプト。「世界最速の美術館」がキャッチフレーズです。

外装を写真家・映画監督である蜷川実花さんが担当し、各車両には7人の現代アーティストが作品や写真を展示しています。車内には地元素材のスイーツや、燕三条の人気店が監修したコーヒーを提供するカフェ、アートに触れられるキッズスペースなども設置されています。

現美新幹線はデビューから4年を経て、上越新幹線の観光列車として定着してきました。しかし、まもなく車両の検査期限を迎えるにあたり、更新せずに廃車となる方針が決まりました。2020年12月19日が最終運行日となります。

現美新幹線

座席数少なく

最終運行日まで3ヶ月を切り、列車が混雑しているという口コミも増えてきました。状況を確かめに、9月下旬の週末に、乗車人員が多そうな「とき453号」(越後湯沢12時44分発)に乗ってみました。

始発の越後湯沢駅では、混雑というほどの状況ではなく、親子連れや鉄道ファンがちらほら撮影しているという感じです。ただ、それは新幹線のホームが広いから混雑が感じられなかっただけで、出発前の乗車口には行列ができ、ドアが開くと自由席はすぐに埋まってしまいました。

現美新幹線は収容力の小さな列車で、定員は107名にすぎません。一般的な新幹線車両1両分程度の座席数です。カフェ・キッズスペースの13号車を除くと、1両平均20名ほど。自由席はソファ席なので、実際は2席を一人で占有する場合も多く、座席はすぐに埋まってしまいます。

現美新幹線

ファミリーは指定席を

定刻12時44分に越後湯沢を発車。通常の新幹線列車と同様に、途中駅で客を乗せたり降ろしたりしながら走ります。

普通の列車と違うのは、車内を人がうろうろしていること。「美術館」という設定なので、人が車内を歩き回るのは当然ですが、混んでいるとその数が多すぎて、車内は落ち着きません。

筆者が乗った列車は指定席も満席で、自由席に座りきれなかった人がデッキにまであふれていて、見学で動くのも一苦労です。

展示品を見るのが目的なら、席がなくても問題はありません。全区間乗っても50分ほどですし、車内を見学して、カフェでお茶でも飲んでいれば時間はすぐ過ぎるでしょう。立って車内をうろうろして美術を鑑賞するのが、この列車の本来の楽しみ方です。

とはいえ、ファミリーの場合は、座れる場所がないと厳しいかもしれません。大人の一人旅なら指定席は不要と思いますが、子連れは指定席を買っておくことをおすすめします。指定席券が手に入らなかった場合や、予算の都合で自由席にするならば、始発駅でしっかり並んで、子どもが休める座席を確保しておきたいところです。

子ども向けにはキッズスペースがあります。小さなプラレールが置いてあるだけの空間ですが、幼児ならここで楽しんでくれるでしょう。

現美新幹線キッズスペース

ホームで撮影大会

車両ごとにさまざまな展示があり、ゆっくり見て回ると30分くらいはすぐに経ってしまいます。ただ、実際のところ、展示品をじっくり「鑑賞」している人はあまりいませんでした。「現美新幹線」という珍しい列車に乗りに来た、という感じです。

あっという間に列車は燕三条を発車し、終点新潟駅へ。もともと所要時間の短い上越新幹線ですが、今回はことのほか、すぐ到着した印象です。新潟駅では、到着後、ホームで撮影大会となっていました。

これから、ラストランが近づくにつれ、混雑はもっと激しくなりそう。訪問予定の方は、お早めに。朝早い列車か、夕方の列車のほうが空いているようです。

現美新幹線の時刻表は以下の通りです。

■ 下り
・ 現美新幹線とき451号 越後湯沢08:24→新潟09:14
・ 現美新幹線とき453号 越後湯沢12:44→新潟13:38
・ 現美新幹線とき455号 越後湯沢15:20→新潟16:14

■ 上り
・ 現美新幹線とき452号 新潟11:26→越後湯沢12:20
・ 現美新幹線とき454号 新潟14:02→越後湯沢14:56
・ 現美新幹線とき456号 新潟16:42→越後湯沢17:32

■運行日
12月19日までの土休日(ただし10/3,4は運休)

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