国土交通省は、2018年度予算の概算要求に、フリーゲージトレイン(FGT)の開発費として、10億円を計上しました。九州新幹線・西九州ルートで、JR九州が導入を拒否しているなか、国土交通省としては開発を継続する姿勢を明確にした形です。
耐久性向上目指す
国土交通省の2018年度予算概算要求によりますと、整備新幹線の整備に755億円を計上。これとは別に、整備新幹線の建設推進と高度化などの事業費として、31億円を計上しました。フリーゲージトレインの開発費の10億円はこれに含まれ、2017年度当初予算と同額です。
フリーゲージトレインの予算では、耐久性の向上のための技術開発を実施するとともに、耐雪・耐寒化に関する技術開発を推進するとしています。寒冷地仕様の開発を継続する姿勢を示したといえ、国土交通省としては、北陸新幹線敦賀以西での暫定投入を、まだあきらめていないのかもしれません。
青函トンネル調査にも10億円
整備新幹線の建設推進と高度化に関する予算としては、ほかに北陸新幹線敦賀以西のルートや駅の調査に11億円、青函トンネルにおける貨物列車走行調査に10億円を配分しています。
青函トンネルの貨物列車走行調査では、新幹線走行前の線路上の支障物の確認時間を短縮するための確認車や、新幹線高速走行中の貨物列車誤進入を防止するシステム開発などが予定されています。
また、基本計画路線の格上げに関しては、幹線鉄道ネットワーク等のありかたに関する調査として予算を計上しました。これは、鉄道事業等基礎調査委託費2億8000万円の範囲内でおこなわれます
地方鉄道の車両更新に補助
都市内鉄道のネットワーク整備としては、相模鉄道の東急・JR線乗り入れを目指す神奈川東部方面線の整備に116億円が計上されました。JR西日本・おおさか東線の新大阪乗り入れを目指す大阪外環状線の整備は、13億円の範囲内とされています。
新規事業としては、地方鉄道の鉄道事業者に対し、車両の更新費用を補助する予算として、「地域鉄道車両整備費補助金(仮称)」を設けます。
この補助金には、事業費ベースで10億5000万円、国費ベースで3億5000万円を計上しました。車両更新の補助金支給には、バリアフリー仕様の車両などを導入するなどの条件を満たす必要があるということです。