横須賀・総武快速線の普通車から、セミクロスシートが姿を消します。JR東日本は、同線にE235系電車を導入すると発表。普通車の座席をすべてロングシートにします。
2020年度から投入
E235系は、山手線で導入が進んでいるJR東日本の通勤型の新型車両です。量産先行車が2015年から、量産車が2017年から営業運転をしており、2020年春ごろまでにすべての山手線車両がE235系に置き換わる予定です。
その後、2020年度から、横須賀・総武快速線にE235系を投入し、現在使用されているE217系を順次置き換えていきます。
セミクロスシートが廃止
横須賀・総武快速線は、基本編成11両と付属編成4両の構成。基本11両のうち、9両が普通車、2両がグリーン車です。
横須賀・総武快速線は遠距離旅客も多く、鎌倉などへの観光客も利用する路線です。そのため、国鉄時代に使われていた113系では、普通車全車両がセミクロスシートで、ロングシートはありませんでした。
しかし、JRになってから、混雑緩和のため113系の一部車両をロングシートに改造。
1994年に投入されたE217系では、基本編成の普通車9両のうち、6両がロングシートに変更され、セミクロスシートは3両のみとなりました。そして、今回、新たに導入されるE235系は、普通車は全席ロングシートとなります。
横須賀線は武蔵小杉~西大井間で混雑率が191%に達するなど、首都圏屈指の混雑路線となっており、旅客を詰め込みやすいロングシートに統一するのでしょう。
グリーン車に電源コンセント
横須賀・総武快速線E235系の基本仕様は、山手線E235系と同じです。車体はステンレス製で、最高速度は120km/h。車内には空気清浄機、客室内防犯カメラ、21インチの液晶画面を備えます。
普通車の座席は現行のE217系と比べて10mm拡大。トイレは車いす対応の大型洋式に変わります。各車両にフリースペースを設置し、ベビーカーや車いすで利用しやすくします。車内照明はLEDです。
2階建てグリーン車には、JR東日本の普通列車グリーン車では初めて、Wi-Fiと電源コンセントを装備。液晶ディスプレイの案内画面も設置します。
故障に強い車両に
システム面では、新しい列車情報管理システムである「INTEROS」を導入。架線・線路の状態などを地上へリアルタイムに送信し、事故や故障の予防に役立てます。
また、非常走行用電源装置を搭載し、停電などで駅間に停車した際に、最寄駅などまで走行できるようにしています。モーターなどの主要機器は二重系統となり、JRでは、「故障に強い車両」とPRしています。
基本編成11両は維持
投入される車両数は11両編成が51本、4両編成が46本の計745両です。運用区間は次のとおりで、横須賀・総武線系統の広い範囲に投入されます。
・横須賀線 東京~久里浜
・総武快速線 東京~千葉
・総武本線 千葉~成東
・外房線 千葉~上総一ノ宮
・内房線 蘇我~君津
・成田線 佐倉~香取、成田~成田空港
・鹿島線 香取~鹿島神宮
横須賀線と線路を共有する湘南新宿ラインは、基本編成10両、付属編成5両です。今回の車両更新でも、横須賀・総武線は基本編成11両、付属編成4両を維持することになりましたので、編成の違いは残ることになります。(鎌倉淳)