2020年3月 ダイヤ改正「注目ポイント」ランキング。JR6社を総まとめ

異論は認めます

2020年3月14日に実施されるJRダイヤ改正の概要が発表されました。新線開業のような派手なニュースはありませんが、新型車両の投入や輸送改善の試みが広く行われ、興味深い内容になっています。

そこで、今回のJRダイヤ改正の注目ポイントをランキング形式でまとめました。ランキング順位は筆者の主観で、旅行者にとって関心の高い内容と、サプライズ性が高いものを上位にしています。似たトピックは近い順位に並べ、全国のダイヤ改正の傾向が理解しやすいようにしてあります。

なお、ランキングの異論は認めます。

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1位 「のぞみ12本ダイヤ」

多くの旅行者に恩恵があるという点で、今回のダイヤ改正の最大のトピックスは、「のぞみ12本ダイヤ」でしょうか。東海道新幹線では、全列車を最高速度285km/hのN700Aタイプに統一。「のぞみ」の1時間あたり片道最大運転本数を2本増やし、12本とします。

実際に「のぞみ」を毎時12本運転する時間帯は限られますが、金曜日の夕方など、利用の集中するタイミングに、多くの臨時「のぞみ」が設定されます。

また、東京~新大阪間の所要時間を最大7分短縮し、全ての「のぞみ」で所要時間が2時間30分以内となります。この時短効果は山陽新幹線方面へも及び、東京~博多間の平均所要時間は4時間59分となり、5時間を切ります。

N700a

2位 山陽新幹線直通「のぞみ」増強

「のぞみ12本ダイヤ」に関連して、山陽新幹線直通「のぞみ」も増強。上り東京着11時台は最大7本運転、それ以外でも最大6本運転可能な時間帯を増やします。山陽新幹線直通「のぞみ」が毎時6本運転となれば、東京~新大阪間の時間短縮とあわせて、岡山、広島方面の利用者には便利になりそうです。

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3位 特急「サフィール踊り子」デビュー

ダイヤ改正の花形といえば、新たな特急列車のデビューでしょう。今回の2020年3月ダイヤ改正では、伊豆方面への新たな観光列車として、特急「サフィール踊り子」が東京~伊豆急下田間で営業を開始します。

新型車両E261系を導入し、プレミアムグリーン車や、グリーン個室を備えた新世代の豪華特急となります。

サフィール踊り子
画像:JR東日本プレスリリース

「サフィール踊り子」は、定期列車として東京11時発、伊豆急下田14時12分発の1往復を設定します。土休日には新宿12時25分発も走ります。

サフィール踊り子時刻表
画像:JR東日本プレスリリース

一方で、251系を使用した「スーパービュー踊り子」は姿を消します。251系は引退するため、湘南ライナーでの251系使用もなくなり、「ホームライナー小田原23号」と「おはようライナー新宿26号」は185系での運転となります。

185系については、今回のダイヤ改正でも存続しますが、2020年春から特急「踊り子」の185系を、E257系リニューアル車両に置き換えていくことが発表されています。185系の見納めが近づいているのは間違いありません。

4位 快速「エアポート」増発

JR北海道の2020年3月ダイヤ改正の最大のトピックスは、快速「エアポート」の増発でしょう。運転本数を116本から148本と大幅増発し、おおむね12分間隔となります。

また、1日4本の「特別快速」も運転し、沿線住民輸送と空港輸送の分離を試みます。

小樽~札幌間では、札幌発9時台と小樽発19時台に快速を設定し、快速「エアポート」として新千歳空港まで直通します。早朝時間帯には、札幌を5時50分に出発する早朝便を設定。新千歳空港に6時28分に到着し、7時頃に出発する飛行機に間に合います。

快速「エアポート」増発は、経営難に苦しむ最近のJR北海道としては数少ない明るい話題ですし、新千歳空港アクセスの改善は旅行者にとって恩恵が大きいので、4位としました。

JR北海道全体としても、快速「エアポート」の運転間隔の変更が各線へ与える影響は大きく、近年にない大規模なダイヤ改正となります。

快速エアポート

5位 中央線・総武線各駅停車完全分離

都心部を走る中央・総武線で、早朝・深夜時間帯の総武線各駅停車のお茶の水折り返しと、中央線各駅停車の東京駅乗り入れがなくなります。中央線快速と、中央・総武線緩行を完全に分離します。

2024年春の中央線快速へのグリーン車導入と12両化を見据えた措置です。利用者の多い路線だけに、注目度が高く5位としました。

中央・総武線分離
画像:JR東日本プレスリリース

6位 中央線特急の運転区間、停車駅変更

中央線特急「あずさ」は、2019年3月ダイヤ改正で停車駅を大幅に削減しました。通過となった駅の地元自治体の反発は強く、要望を受けたJR東日本は、今回のダイヤ改正で停車駅を増やすことにしました。

具体的には、塩山、山梨市、石和温泉、韮崎、富士見、下諏訪といった駅で、「あずさ」の停車が増えます。

あずさ新時刻表
画像:JR東日本プレスリリース

また千葉発の「あずさ3号」は南小谷行きが松本止まりに変更。新宿8時発の「あずさ5号」が南小谷行きとなります。

かわりに、千葉発「あずさ3号」に「富士回遊3号」を併結。「富士回遊」はこれまで「かいじ」とのみ併結しており、「あずさ」との併結は初めてです。「富士回遊」は1往復増発です。

さらに、「あずさ」「かいじ」の列車番号を統一。両列車をあわせた通し番号になります。この結果、名曲のタイトルとして知られる「あずさ2号」は姿を消します。

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7位 磐越西線に快速「あいづ」

磐越西線の快速に、リクライニングシートのついた座席指定席を導入します。この列車名が「あいづ」と発表されました。E721系1編成、座席数14席で、郡山~会津若松間に3往復運転します。停車駅は、郡山、郡山富田、喜久田、磐梯熱海、猪苗代、磐梯町、会津若松です。

東北新幹線から会津方面へ乗り継ぐ際に、座席指定サービスがないという課題を解決する車両で、首都圏から会津方面への旅行者には使いやすくなります。「あいづ」という伝統の列車名の復活もトピックスでしょう。

磐越西線指定席
画像:JR東日本仙台支社

8位 「はるか」全列車9両化

訪日外国人観光客の増加で、利用者が増加し続けているのが、関空特急「はるか」。従来は6両編成でしたが、増結用の新型車両271系を18両(3両編成×6本)追加投入し、全列車9両編成で運転します。

9両化により、1編成あたりの座席数が248名から370名に増加します。増結用の3両編成は、すべて自由席の運用です。

インバウンド対応は、日本の鉄道の将来を左右するポイントの一つです。それを象徴する内容として、上位に入れてみました。

はるか271系
画像:JR西日本

9位 「成田エクスプレス」全列車12両化

成田空港のアクセス特急である「成田エクスプレス」も輸送力を増強します。これまで6両だった17、18、21、22号を12両化。これにより、「成田エクスプレス」は東京~成田空港間で12両に統一します。

「成田エクスプレス」は新宿方面発着と、横浜方面発着がありますが、2020年3月ダイヤ改正では新宿方面を増発し、横浜方面の運転本数を見直します。これまで21往復あった横浜方面は17往復になります。削減されるのは主に横浜発着で、ダイヤ改正後、横浜方面の「成田エクスプレス」はすべて大船発着に統一されます。

成田エクスプレス

成田空港アクセスとしては、深夜時間帯の快速列車の強化も行われます。千葉終着の総武快速電車を成田空港まで延長し、東京発22時15分(土休日22時16分)、成田空港着23時37分の快速列車が登場します。

2019年10月27日より毎日運転している、成田空港23時45分発、千葉0時30分着の臨時列車については、定期列車化します。成田空港の運用時間拡大に対応した措置です。

10位 仙台空港アクセス線増強

成田、関西両空港に比べればカゲが薄いですが、仙台空港アクセス線も利用者が増加しています。2018年度の利用人員は370万人を突破し、過去最高を記録。仙台空港駅の利用者は202万人で、2008年度の126万に比べると、10年で1.6倍に増えています。

こうした状況で輸送力増強が課題となっており、2020年3月ダイヤ改正では、日中時間帯に2両編成で運転している7往復の列車を4両編成で運転します。これにより、約7割の列車が4両編成での運転となります。空港輸送の活況を裏付けるダイヤ改正といえます。

仙台空港アクセス線721系
画像:JR東日本プレスリリース

11位 函館山線にH100形を投入

2020年3月ダイヤ改正では、ローカル線への新型車投入も相次ぎます。

代表例が、JR北海道の新型気動車H100系投入です。H100系はディーゼル・エレクトリック方式の電気式気動車で、新造する15両を函館本線長万部~小樽間(山線)に全て投入します。これにより、ワンマン列車36本すべてを置き換え、キハ40形は撤退します。H100系は1日1本、札幌~小樽間でも運転するので、札幌駅でもその姿を見られます。

新型車両の投入により、キハ40形の勇姿が北の大地からも少しずつ消えていきます。同区間の201系気動車はこれまで通りです。

H100形
画像:JR北海道

12位 GV-E400系を磐越西線、米坂線に投入

H100系と基本設計が同じディーゼル・エレクトリック方式の電気式気動車GV-E400系を、JR東日本は磐越西線会津若松~新津間と米坂線米沢~坂町間に投入します。

すでに新潟地区に投入されていますが、運転範囲を拡大します。こちらもキハ40形のほか、キハE120形を置き換えていきます。

GV-E400系は、今後秋田地区への運転拡大が予定されています。

GV-E400形
画像:JR東日本プレスリリース

13位 大村線にYC1系を投入

JR九州では、新型YC1系ハイブリッド車を大村線を中心とする長崎地区に投入します。YC1系は、ディーゼル・エレクトリック方式による蓄電池搭載形のハイブリッド気動車。大村線など長崎~佐世保間に投入します。

こちらはキハ66系の置き換えです。車齢45年以上となるキハ66系は廃車になる見込みで、西海の地からも国鉄型車両が姿を消していきます。

YC1系
画像:JR九州プレスリリース

14位 香椎線・鹿児島線直通Dencha

香椎線西戸崎駅から鹿児島線博多駅までの直通列車が1日1本設定されます。JR九州の蓄電池電車BEC819系「DENCHA」を使用した列車です。

香椎線にDENCHAが導入されたのは2019年3月改正ですが、1年を経て博多駅まで足を伸ばすことになります。

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15位 只見線にキハE120形投入

只見線会津若松~会津川口間には、キハE120形を投入します。現在、新潟地区(羽越本線、米坂線、信越線、磐越西線)で使用しているキハE120形(計8両)をデザイン変更の上、只見線に投入します。

磐越西線や米坂線にはGV-E400系を投入するので、そこで浮いた車両を転用するようです。只見線ではキハ40形が置き換えられます。なお、只見線の新ダイヤは2020年4月1日からとなります。

只見線キハE120形
画像:JR東日本プレスリリース

16位 東北線黒磯~新白河間をE531系で統一

東北線黒磯~新白河間は、2017年10月に行われた黒磯駅完全直流化により、交直流両用のE531系と、気動車キハ110系が投入されました。ところが、早くも2020年3月改正で、キハ110系の使用をやめ、全ての列車をE531系5両に統一します。

同区間のキハ110系は、わずか2年半ほどのワンポイントリリーフだったことになります。

黒磯~新白河間は輸送密度が2,348人(2018年度)と、利用者が少ない区間です。その閑散時間帯にも5両編成を使用するのは驚きますが、5両編成でのワンマン運転も開始します。

東北線E531系
画像:JR東日本プレスリリース

17位 高輪ゲートウェイ駅開業

ネーミングをめぐり物議を醸した高輪ゲートウェイ駅が、いよいよ開業します。山手線としては約半世紀ぶりの新駅。山手線と京浜東北線の全列車が停車します。

首都・東京の新駅ということで話題性は抜群ですし、良くも悪くも知名度は高いです。そのためニュースになる頻度も多いのですが、ダイヤ改正という視点でみると、「駅が増える」というだけなので、大きなトピックスとはいえないかもしれません。

このほか、新駅としては東海道線の袋井~磐田間に御厨駅、予讃線の北伊予〜伊予横田間に南伊予駅が開業します。

高輪ゲートウェイ駅
画像:JR東日本プレスリリース

18位 古瀬駅、南弟子屈駅廃止

新駅が誕生する一方で、姿を消す駅もあります。JR北海道では、根室線の古瀬駅と、釧網線の南弟子屈駅を、2020年3月ダイヤ改正で廃止します。

JR北海道は利用者の極端に少ない駅について、維持費の地元負担を求めています。自治体が応じられない場合、廃止に追い込まれていくようです。

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19位 池の浦シーサイド駅廃止

鉄道ファンで話題になったのは、参宮線の臨時駅「池の浦シーサイド」の廃止です。

池の浦シーサイド駅は、JR発足直後の1989年7月に、池の浦海水浴場への誘客を目的に地元の要望を受けて開業しました。開業当初は多くの利用があり、快速「みえ」が停車したこともありました。しかし、海水浴客の減少で、近年は駅利用者が激減、2017年夏を最後に営業を休止していました。

そして、2020年3月のダイヤ改正で、正式に廃止となることが決まりました。イベント列車などが設定されなければ、池の浦シーサイド駅は、営業休止のまま廃止になるとみられます。

20位 Jビレッジ駅を常設駅に

臨時駅の常設駅昇格もあります。2019年4月に臨時駅として開業したばかりの「Jヴィレッジ」駅です。現在はイベント時などに限り列車が停車していますが、2020年3月14日に常設駅に格上げされ、時期を限定せず列車が停車することになります。

Jビレッジ駅
画像:JR東日本プレスリリース

21位 広島「快速シティライナー」復活

2019年3月ダイヤ改正で廃止されていた、広島地区の快速「シティライナー」が運転を再開します。土休日に、山陽本線広島~岩国間と西条~広島間で運転します。停車駅に横川駅が加わり、宮内串戸駅は通過となります。

広島シティライナー停車駅
画像:JR西日本プレスリリース

広島~岩国間では、広島駅を土休日の9時~18時台に発車する快速「シティライナー」を毎時2本運転。普通列車と合わせると土休日のデータイムの運転本数は、毎時4本から6本と純増します。

最近の山陽本線では運用減が続いていたため、快速の復活と増発はちょっとしたサプライズとなりました。

22位 「みやこ路快速」増強

快速の増強といえば、奈良線の「みやこ路快速」も目を引きます。土休日に6両で運転する「みやこ路快速」が12本から35本に増え、全ての「みやこ路快速」が6両編成となります。「みやこ路快速」の運転本数は変わりません。

奈良線は京都~城陽間などの複線化を進めていますが、完成は2023年春の予定です。そのため、3年間は大きなダイヤ改正は行われないとみられますが、今回は車両を増やして輸送力を増強しました。奈良線も利用者が増えている線区なので、複線化完成時のさらなる輸送力増強が楽しみです。

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23位 宇野線増発、伯備線減便

岡山地区では宇野線(宇野みなと線)の昼間時間帯において、岡山~備前西市間に普通列車を1往復、岡山~茶屋町間に快速列車を2往復、上下合わせて6本の列車を新設します。快速の途中停車駅は大元、備前西市、妹尾です。

宇野線の増発は意外でしたので調べてみると、岡山~茶屋町間の2018年の輸送密度は41,958。2013年度の39,124より7%ほど増えています。沿線の開発が進んでいるためとみられ、増発は需要増に対応したといえそうです。

一方で、同じ岡山地区でも、伯備線は11時~13時台に総社~備中高梁間で3往復が運転を取りやめます。毎時2本だった岡山~備中高梁間の直通列車は1本に減便となります。

伯備線の倉敷~備中高梁間の輸送密度は、2013年度の11,789が、2018年度は10,502となり、5年間で11%も減少しています。今回は需要減に対応した見直しといえそうです。

岡山周辺で、宇野線は増発、伯備線は減便と明暗を分けました。同じエリアでも、需要の多い路線に運転資源を集中させる、ということでしょうか。

24位 快速「いしかりライナー」廃止

快速が新設・増発された路線もありますが、全体としては、快速サービスの削減が目立つのも、2020年3月ダイヤ改正の特徴です。

もっとも気になったのは、札幌圏の区間快速「いしかりライナー」廃止でしょうか。函館線手稲~札幌、札幌~江別間で運転している「いしかりライナー」をすべて各駅停車化します。

JR北海道は快速通過駅の利便性向上を謳っていますが、同区間の日中の運転本数は削減されますので、ダイヤ効率化の目的もありそうです。JR北海道は札幌圏の黒字化が至上命題になっていますので、その一環の施策といえそうです。

25位 「高田快速」削減

近畿圏では、大和路線・和歌山線の、いわゆる「高田快速」削減が話題になっています。平日のおおむね10~17時台、土休日のおおむね11~17時台のJR難波~高田間を直通する快速列車等の運転を取りやめます。

このうち和歌山線王寺~高田間は新型車両227系による普通列車として運転し、王寺駅にて大和路快速と接続します。ラッシュ時の和歌山線直通快速については告知がないので、現状に近い状態で維持されるとみられます。

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26位 「丹波路快速」が「区間快速」に

JR宝塚線でも、快速運転の縮小があります。平日のおおむね11~15時台、土休日のおおむね12~15時台の「丹波路快速」を、宝塚~新三田間の各駅に停車する「区間快速」として運転します。

画像:Photolibrary

JR宝塚線の看板列車ともいえる「丹波路快速」ですが、ダイヤ改正後の通過駅は塚本、塚口、猪名寺、北伊丹の4駅のみとなってしまいます。最近、同じく4駅に通過駅が減った埼京線の「快速」を連想してしまいました。

宝塚折り返しの「快速」も、新三田折り返しに変更のうえ「区間快速」となります。逆に、新三田発着だった普通電車は宝塚駅での折り返しとなります。

JR宝塚線停車駅
画像:JR西日本プレスリリース

27位 北上線快速列車を各停化

北上線でも「快速」が削減されます。同線の「快速」は、日中時間帯に設定され、横手に近い小松川、平石、矢美津の3駅を通過しています。自治体より速達化について要望があって快速化したそうですが、通過駅住民から不便という声があがり、これらの列車を各駅停車に戻します。

北上線の横手口は1日6.5往復。このうち2.5往復が「快速」でした。たしかに、これだけ運転本数が少ないのならば、「快速」運転どころではないでしょう。「快速削減」といっても、大都市近郊とは色合いが異なります。

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28位 高松~多度津間でパターンダイヤ

予讃線では、高松駅を10~15時台に発車する快速「マリンライナー」、「サンポート南風リレー号」、普通列車の発車時刻を統一します。高松~多度津間において、ほぼ発車時刻を統一したダイヤとなります。

高松駅時刻表
画像:JR四国プレスリリース

また、高松~坂出間を運転する2往復の普通列車を、多度津まで延長して運転します。

JR四国は、2018年3月ダイヤ改正で牟岐線徳島~阿南間にパターンダイヤを導入。成果を挙げています。JR四国の主力区間である高松~多度津間は、これまでもパターンダイヤに近い状態でしたが、発車時刻を統一してわかりやすい時刻表となりました。

パターンダイヤは、「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」で必要な施策と指摘されており、JR四国としては積極的に推進しているようです。

29位 北海道の「スーパー特急」消滅

在来線特急の話題としては、北海道内の「スーパー北斗」「スーパーおおぞら」「スーパーとかち」の列車名がそれぞれ「北斗」「おおぞら」「とかち」に変更となります。

かつて、JR北海道では新型車両の列車に「スーパー」を冠していたのですが、現在、これらの列車は新型車両に統一されており、旧型車両との差別化を図るという当初の意義が薄れています。そのため、JR北海道内の特急の列車愛称名から「スーパー」を外します。

また、JR北海道では今回のダイヤ改正で261系20両を新製投入し、283系「おおぞら」12本中6本を置き換えます。

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30位 阪和間ノンストップ特急が消滅

特急「くろしお」のうち、これまで日根野駅を通過していた上下計5本が、日根野駅に停車します。これにより、全列車が日根野駅に停車することになります。和歌山方面と関西空港のアクセス利便性向上を図る目的です。

これにより、阪和間のノンストップ列車が消滅することになります。それだけ関西空港アクセスの存在感が高まっている、ということですが、少し残念に思うファンもいそうです。

31位 特急「南風」が全て高知発着に

中村~岡山間の土讃線特急「南風6号」の運転区間を、高知~岡山間に変更します。これで、「南風」は全列車が岡山~高知間の運転となり、岡山~中村・宿毛方面を直通する列車はなくなります。

岡山~中村・宿毛を移動する場合、高知駅で「あしずり」に乗り換えとなります。長距離特急の分断は、旅行者的には残念に思う方も多いでしょう。

南風

32位「かわせみ やませみ1号、2号」を不定期化

肥薩線熊本~人吉間で毎日運転している特急「かわせみ やませみ1号・2号」を、不定期化します。利用状況が悪いことが理由のようです。

JR九州のローカル線特急では、「はやとの風」が2018年3月ダイヤ改正で不定期化されましたが、それに続くことになります。

0位 常磐線全線復旧

今回のダイヤ改正概要発表から漏れた内容として、常磐線の全線復旧が挙げられます。

常磐線富岡~浪江間は、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故の影響により運転を見合わせていますが、2019年度末までに運転再開される予定と発表されています。運転再開は2020年3月14日ダイヤ改正にタイミングを合わせるとの観測があります。

現在、富岡~浪江間の大部分は帰宅困難地域に指定されていますが、不通区間にある夜ノ森、大野、双葉の各駅は、先行して避難指示を解除する特定復興再生拠点区域に含まれています。同区域の避難指示の解除が常磐線運転再開の前提であるため、政府による解除発表前に、全線復旧の日にちをJRが発表するわけにもいかないのでしょう。それが、今回のダイヤ改正概要から、常磐線全線復旧の内容が漏れたと理由とみられます。

実際に常磐線全線復旧が2020年3月14日に実施されれば、それこそがダイヤ改正の最大のトピックスになることでしょう。あの未曾有の原発事故から、わずか9年で常磐線が復旧できるとは、当時は想像すらできませんでした。

全線再開時には、東京~仙台間の特急列車の運転も予定され、復旧のシンボルとなることでしょう。ここでは、「常磐線全線復旧」を「0位」として最後に記しておきます。

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質実剛健なダイヤ改正

全体をまとめてみると、2020年3月ダイヤ改正のポイントは、新幹線高速化、空港アクセス強化、ローカル線の車両更新、快速サービス効率化、といった点が挙げられそうです。

新線開業のような派手な話題に乏しい一方、ローカル線の大規模な列車本数削減のような寂しい話題も少ないです。寂しい話題はプレスリリースに乗りにくい、という側面もあるでしょうが。

鉄道各社がいま直面している課題に向き合って輸送改善をするという、地味ながら堅実な施策が目立ったように感じられました。そういう意味で、質実剛健なダイヤ改正といえそうです。(鎌倉淳)

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