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鉄道チームの検証
次に、鉄道チームのルートを検証しましょう。鉄道チームの実際ルートを再掲すると、以下の通りです。
▽1日目
五稜郭公園前10:09→10:26函館駅前→函館朝市*→函館駅12:31→13:17赤井川駅→徒歩3km→函館大沼プリンスホテル「そらの家」*15:00頃→タクシー5.9km、1,840円→大沼駅15:14→17:52長万部駅19:28→20:11洞爺駅→宿送迎→洞爺観光ホテル
▽2日目
洞爺観光ホテル07:00→徒歩8.9km→09:50頃レークヒルファーム*11:55頃→徒歩13km→三ノ原郵便局付近14:10頃→タクシー26.1km、7,240円→14:40頃ニセコ駅14:42(約30分遅延)→14:58(遅延詳細不明)倶知安駅16:45→17:39余市駅→徒歩1km→うに乃世壱屋*→徒歩1km→余市駅18:36→19:02小樽駅
鉄道チームの最初の決断は、函館朝市です。ミッションの食事に時間を要し、10時53分発の森行きには乗れませんでした。さかのぼって仮に、五稜郭公園を迷わずに出て、少し早い時間の市電に乗れていれば、森行きに間に合ったかもしれません。その場合は、以下のようになります。
▽1日目
函館駅10:53→11:49赤井川駅→徒歩3km→12:20頃函館大沼プリンスホテル「そらの家」13:20頃→徒歩5.9km→大沼駅15:14→17:52長万部駅
このように、函館大沼プリンスホテルには1時間以上早く着けます。その後、長万部駅へつながる早い時間の列車がありませんので、長万部駅到着時刻は同じになります。それでも、大沼駅まで歩く時間的余裕ができますので、ここでタクシー代1,840円を節約できます。この金額が2日目に効いてきた可能性はあるでしょう。
ただ、実際のところ、オンエアを見る限り、仮に函館朝市に10分程度早く着けていたとしても、食事に要する時間を考慮すると、函館駅10時53分の列車に乗るのは難しかったと思います。そのため、この仮定はこれ以上検討しません。
ということで、鉄道チームは12時31分発の列車で函館を出発するのをデフォルトと考えます。
大沼駅までタクシーを使わなかったら
さて、鉄道チームの最初のポイントは函館大沼プリンスホテルから大沼駅までタクシーを使ったことでしょうか。ここで急がず、次の列車を待っていたらどうでしょうか。赤井川駅18時26分発です。
▽1日目
函館駅12:31→13:17赤井川→徒歩3km→函館大沼プリンスホテル「そらの家」→徒歩3km→赤井川駅18:26→20:10長万部駅
▽2日目
長万部駅05:36→06:16洞爺駅→徒歩10.1km→09:30頃レークヒルファーム11:55頃→徒歩13km→三ノ原郵便局付近14:10頃→タクシー26.1km、7,240円→14:40頃ニセコ駅
このように、赤井川18時26分発の列車では、1日目が長万部泊になります。2日目の朝に洞爺駅まで列車移動し、駅からレークヒルファームまで約10kmを歩けば、その後は実際ルートに収斂します。つまり、プリンスホテルから大沼駅までタクシーを使わなくても、翌朝、洞爺駅からレークヒルファームまで歩けば挽回できた、ということです。
実際ルートでも洞爺湖温泉からレークヒルファームまで9km歩いているので、洞爺駅から歩いたとしても、2日目朝の徒歩距離が劇的に伸びるわけではありません。その結果、プリンスホテル→大沼駅で使ったタクシー代を、レークヒルファーム→ニセコ間に投入できていたことになり、ニセコ駅へのアプローチで徒歩距離を減らせたでしょう。
東室蘭に向かっていたら
鉄道チームの最大のポイントは、そのレークヒルファームでの選択でしょう。鬼軍曹一行は、レークヒルファームの搾乳ミッションを終えたあと、10時45分にはカウンターで次のルートの相談をしていました。このタイミングなら、洞爺発11時25分発の東室蘭行きに間に合います。実際、鬼軍曹はこの列車を検討し、タクシーを呼ぼうとしました。
仮にこの列車に乗っていたらどうなっていたでしょうか。
▽2日目
洞爺駅11:25→12:10東室蘭駅13:23→14:28苫小牧駅14:53→16:22手稲駅16:25→16:47小樽駅16:52→17:16余市駅18:36→19:02小樽駅
番組でも表示されていましたが、余市着が17時16分。うにを食べるのに1時間計上したら、小樽到着は19時過ぎになり、ルイルイが実際ルートをたどった場合、勝てません。勝利の可能性があるとすれば、ルイルイが札幌を経由した場合でしょうか。
念のため、長万部駅経由も確認してみます。
▽2日目
洞爺駅14:48→15:33長万部駅16:38→19:26余市駅20:19→20:44小樽駅
こちらは余市に着くのが19時過ぎとなってしまいます。小樽に着くのは21時前で、ロープウェイの最終に間に合いません。つまりゴール不可能です。
こうしてみると、洞爺駅へ戻って余市へ向かうルートは、東室蘭経由でも長万部経由でも、時間がかかりすぎます。すなわち、鬼軍曹が選んだニセコルートだけが唯一の正解で、選択は間違っていないことがわかります。
ニセコルートの場合、倶知安方面の前発列車は11時23分発なので、レークヒルファームのミッションスタートを10時以降と仮定した場合、鉄道チームが乗るのは不可能だったとみられます。つまり、鉄道チームが18時04分より早く小樽駅に着くことはできません。
定時運行だったら
実際には、ニセコルートは列車の遅延により余市駅到着が遅くなってしまいましたが、もし定時運行だったらどうだったのでしょうか。
▽2日目
ニセコ駅14:42→14:58倶知安駅15:18→16:03余市駅→徒歩1km→うに乃世壱屋→徒歩1km→余市駅17:39→18:04小樽駅
小樽駅到着が18時04分です。バスチームの小樽駅着はオンエアによると18時07分なので、鉢合わせになっていたかもしれません。
小樽駅~天狗山ロープウェイ山麓駅は約3.4kmあり、タクシーは1,000円ほどかかります。市街地なので時間料金が上乗せされればもう少し高いかもしれません。一方、実際ルートで鉄道チームが小樽駅到着時に残していたタクシー代は920円。つまり、タクシーだけで到達するには少し足りません。
最後の1km程度は、ロープウェイ山麓駅まで登り坂を歩かなければならなかった可能性があります。そう考えると、列車が定刻に小樽駅に着いたとしても、18時30分までに山麓駅に到着できていたかは微妙で、直前でバスチームに逆転されていたかもしれません。仮定の話なのでわかりませんが、僅差の勝負となっていたことは間違いありません。
ニセコまでのタクシー配分
鉄道チームで少し不可解だったのは、洞爺のレークヒルファームでの出発でもたついたことでしょうか。ニセコへ向かうなら11時すぎにでも出発すればいいはずですが、実際には12時前までレークヒルファームに滞在していました。
これについては、おそらくは、呼んだタクシーがなかなか来なかったのでしょう。ただ、不思議なのは、せっかく来たタクシーに乗らずに、13kmも先の三ノ原郵便局近くでタクシーを待たせた点でしょうか。
普通に考えれば、先にタクシーに乗って、適当な場所で降りて、ニセコ駅まで歩く、という使い方のほうがスムーズだったと思えます。
想像ですが、鬼軍曹は、最後の天狗山へのタクシー代をいかに残すかを考えていたのでしょう。そのためには、洞爺~ニセコ間のタクシー代を最小化する必要があります。
最小化のための戦略として、洞爺~ニセコ間の後半にタクシーを配置し、列車に余裕で間に合いそうならタクシーを途中で降りて節約しようと目論んでいたのでしょう。一方で、列車に乗り遅れたら元も子もないので、時間がなければニセコ駅まで全部タクシーを使う算段だったと考えられます。
最初からタクシーに乗って、途中で降り捨ててしまうと、北海道のような土地では再びタクシーを拾うのは困難です。そのため、飛び道具であるタクシーを区間の後半に置いて、計画に柔軟性を持たせたのではないでしょうか。
ただ、レークヒルファームから三ノ原郵便局までは13kmあります。一行は11時55分に出発して、待ち合わせは14時でした。約2時間で13kmを歩ききる計画には無理があります。おそらく、軍曹は距離を読み誤っていたのでしょう。実際、オンエアで平子は「10km」とつぶやいています。10kmで2時間なら可能性はあると踏んだのでしょう。
さらにいえば、経路的にも、三ノ原郵便局経由は大回りで、地図を見ると、道道97号から230号を経由した方が少しばかり近いです。
結果論、机上論ですが、ニセコ方面に行くなら、レークヒルファームですぐにタクシーに乗り、最短経路でニセコ郊外まで運んでもらい、最後の10km程度を歩いたほうがよかったように思えます。
鉄道チームの最適解
では、鉄道チームの最適解はどうなるのでしょうか。判断が難しいところがありますが、レークヒルファームからニセコまでショートカットをするのが必須条件と考えると、それ以外のタクシー代をなるべく節約する必要があります。
となると、初日の大沼のタクシー代がもったいないという結論になり、以下のルートが最適に思えます。
▽1日目
函館駅12:31→13:17赤井川駅→徒歩3km→函館大沼プリンスホテル「そらの家」→徒歩3km→赤井川駅18:26→20:10長万部駅
▽2日目
長万部駅05:36→06:16洞爺駅→徒歩10.1km→09:30頃レークヒルファーム→徒歩+タクシー35.6km→ニセコ駅14:42→14:58倶知安駅15:18→16:03余市駅→徒歩1km→うに乃世壱屋→徒歩1km→余市駅17:39→18:04小樽駅→タクシー3.4km→天狗山
初日はタクシーをまったく使わず、2日目のレークヒルファーム~ニセコ間と、最後の天狗山ロープウェイへのアクセスのためにとっておく、という考え方です。
レークヒルファーム~ニセコ駅間をフルでタクシーに乗った場合は、概算で11,530円。小樽駅~天狗山が概算1,000円で、必要なタクシー代は概算で12,530円です。予算から2,530円足りないことになります。実際のタクシー代の按配は簡単ではないでしょうが、多少のロスがあったとしても、レイクヒルファーム~ニセコ間の徒歩距離は10km以下で済みそうです。
鉄道チームの最適解で、ゴールの天狗山ロープウェイに付くのは18時20分頃とみられます。バスチームの最適解では天狗山ロープウェイ到着が18時32分ですので、互角の勝負ながら、鉄道のほうが早く着けそうです。
鬼軍曹の涙
お互いが最適解をたどった場合、鉄道チームが若干早く着くのなら、本質的には鉄道チームに有利な設定だったと考えることは可能です。ただ、上述のように、鉄道チームはレークヒルファーム~ニセコ間約35kmを鉄道を使わずに乗り切るのが唯一の解となっていて、タクシー代の按配が難しく、絶対的には難易度の高いお題に思えました。
そもそも、レークヒルファームで深く考えずに最寄りの洞爺駅に戻ってしまったら、まったく勝負にならなかったわけです。レークヒルファームでしっかり情報を集め、乗り継ぎを確認したあたり、さすがに鬼軍曹。ルイルイが「やっぱりあいつすげえ」と唸るのも頷けます。
実際、函館線の遅延がなければ、鉄道チームにも勝機はありました。鬼軍曹の最後の涙は、最善を尽くしたにもかかわらず、どうにもならない外的要因で敗れたが故の悔しさなのでしょう。
バスチームの勝因は?
ひるがえって、ルイルイは勝利したものの、今回は重要な判断で冴えていたとはいえませんでした。ベテランであってもうまくいかないことがあるという、バス旅の難しさを再認識させてくれました。それでも、苦しい場面で見せた粘り腰には、熟練の強さが漂います。ルイルイも「やっぱりすげえ」です。
難易度的には、バスチームには選択肢が複数あり、ミスをした後のリカバーも可能だったため、絶対的にはやや平易と感じられました。北海道ではローカル鉄道よりもローカルバスのほうが発達しているという現実が、そのままゲームの難易度に表れたと言えるかもしれません。
まとめると、お互い最善を尽くせば鉄道チームが早く着けるので、本質的には鉄道有利と言えますが、お題の難易度が絶対的に違うので、相対的にはバスチームが有利だったのではないか、というのが筆者の感想です。
ところで、今回は、元AKB48センターのぱるるが出演するという点でも注目を集めたようです。ルート探しには全く役に立っていませんでしたが、塩対応で余計な口を出さないためルイルイとの相性はよかったようで、チームの雰囲気は良好に感じられました。
ジャンケンでAKB48のセンターを勝ち取っただけあって、運の強さは折り紙付き。精彩を欠いたルイルイを支えたこの強運の女神の存在こそが、バスチームの陰の勝因だったのかもしれません。(鎌倉淳)