「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第4弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが金沢~輪島で競う企画です。勝負を分析してみました。
なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)
NGT荻野由佳も参戦
「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。
2020年7月29日に放送された第4弾では、ルイルイこと太川陽介をリーダーに、荻野由佳(NGT48)、アントニー(マテンロウ)を加えた3人がバスチームを構成。鉄道チームは、「鬼軍曹」の異名をとる村井美樹をリーダーに、はるな愛、チャンカワイ(Wエンジン)を加えた3人です。
バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用できます。
第4弾のスタートは金沢市の近江町市場で、ゴールは能登半島の輪島キリコ会館。途中、富山県の庄川峡遊覧船、氷見牛牛屋、能登島の閨漁港という3箇所のチェックポイントを経て、1泊2日でのゴールを目指します。先にゴールしたチームが勝ちとなります。
水バラ ローカル路線バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅4 能登の陣 金沢~輪島
【出演】太川陽介、荻野由佳(NGT48)、アントニー(マテンロウ)、村井美樹、はるな愛、チャンカワイ(Wエンジン)
【ナレーター】 服部伴蔵門
【放送日】2020年7月29日 18時25分~22時00分(テレビ東京系列)
バスチームの実際ルート
まずは、ルイルイ率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。*はチェックポイントです。
▽1日目
武蔵ヶ辻・近江町市場10:04→10:14金沢駅前(東口)/金沢駅西口10:35→12:00井波→徒歩1.2km→12:40チューリップ交通井波庄川営業所→タクシー4.2km・1,920円→13:00小牧港(庄川峡遊覧船*)13:20→13:45小牧港/小牧15:55→17:38高岡駅前17:54→18:30氷見駅口→徒歩0.2km→18:50氷見牛牛屋*19:55→徒歩0.4km→氷見駅→徒歩0.2km→氷見駅口20:16→20:52脇→タクシー15.8km・6,420円→21:23七尾駅
▽2日目
七尾駅前07:32→08:10曲→徒歩5.9km→09:30閨漁港*12:00→タクシー4.3km・1,660円+徒歩1.1km→12:29長浦集会所→徒歩3.1km→西岸駅13:29→13:40横見集会所→徒歩1.2km→14:05曽福→徒歩0.5km→能登鹿島15:36→15:54穴水駅前16:10→17:03輪島駅前→徒歩1km→17:15輪島キリコ会館
バスチームの輪島キリコ会館到着時刻は、番組では示されませんでしたが、17時15分頃と推定しておきました。
鉄道チームの実際ルート
つぎに、村井率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。
▽1日目
近江町市場→徒歩1.1km→金沢駅11:07→11:46高岡駅11:51→12:24福野駅→徒歩5.7km→道の駅庄川14:15→タクシー4km、1,820円→14:24小牧港(庄川峡遊覧船*)14:30→15:40小牧港16:00→徒歩4km→道の駅庄川17:00→タクシー5.1km、2,120円+徒歩0.6km→17:15福野駅17:20→17:55高岡駅18:15→18:44氷見駅→徒歩0.5km→18:55氷見牛牛屋*19:25→徒歩0.5km→氷見駅19:36→20:07高岡駅20:11→20:37津幡駅20:40→21:51七尾駅22:00→22:05和倉温泉→宿送迎→金波荘
▽2日目
金波荘06:00→徒歩10.1km→09:40閨漁港*12:51→タクシー6.4km、2,460円+徒歩1.7km→13:28西岸駅13:39→13:52穴水駅14:35→徒歩2.2km→15:03おおぞら農業協同組合→タクシー11km、3,580円+徒歩9km→17:33輪島キリコ会館
鉄道チームの輪島キリコ会館到着は、バスチームの18分後ですので、17時33分と推定しています。結果として、僅差でバスチームの勝利となりました。
両者のとったルートについて、検証してみましょう。
井波でバスを待っていたら
バスチームは、金沢駅から井波まで一気に達しました。井波では、第1チェックポイントの庄川峡遊覧船(小牧)に向かうバスまで、1時間半あまりの待ち時間。ここで、ルイルイはバスを待たずに、徒歩で先を急ぎ、道に迷って途中のタクシー営業所からタクシーに乗ります。
このとき、井波でバスを待っていたらどうなっていたでしょうか。
▽1日目
金沢駅西口10:35→12:00井波13:47→14:12小牧/小牧港(庄川峡遊覧船)14:30→15:40小牧港/小牧15:55→17:38高岡駅前
このように、一便あとの遊覧船で鉄道チームと同舟となり、小牧発高岡駅行きのバスで実際ルートに収斂します。要するに、井波でタクシー代を2,000円近く投じて先を急いだことは、結果的に意味がなかったわけです。
井波から庄川峡(小牧)へ向かうバスは、高岡始発です。逆に言えば、井波の停留所に最初に着いたときに、高岡方面へのバスを調べることは可能でした。つまり、ルイルイが金沢から井波に着いたとき、庄川峡往復後のことまで見通して高岡行きのバス時刻を調べておけば、歩いて先を急ぐ必要がないと判断することはできたでしょう。
バス旅の経験豊富なルイルイですから、ちょっと残念でした。
脇に泊まっていたら
次に気になったのは、氷見から七尾です。ルイルイ一行は第2チェックポイント・牛屋で氷見牛を食べたあと、夜のバスで脇へ出て、タクシーを呼んで七尾を目指します。
ルイルイは脇には宿泊できないと判断していたようですが、実際には脇周辺に数件の宿があります。仮に脇に宿泊した場合、どうなっていたでしょうか。
▽1日目
氷見駅口20:16→20:52脇
▽2日目
脇06:30→07:06七尾駅前07:32→08:10曲
このように、2日目に七尾駅07時32分発のバスに間に合い、実際ルートに収斂します。これにより、6,420円・約15km分のタクシー代を節約できます。すると、2日目に、たとえば以下のように展開できたでしょう。
▽2日目
脇06:30→07:06七尾駅前07:32→08:10曲→タクシー5.9km・概算2,870円→08:30閨漁港10:30→タクシー12.1km・概算5,350円→曽福12:35→12:54穴水駅前14:10→14:49輪島駅前
曲~閨漁港間でタクシーを使った上に、閨漁港から能登鹿島までタクシーを使用したとして、総額10,140円。つまり、曽福の手前までタクシー到達することが可能になります。結果として、輪島駅に15時前に到着できたでしょう。
ただ、脇は県境の小さな町です。そのため、「脇に泊まる」という決断をするのは、現実問題として難しかったかもしれません。コロナが流行している時節柄、当日予約の宿泊自体ができなかった可能性も高く、泊まれないかもと用心したのは妥当でしょう。
氷見に泊まっていたら
では、1日目に脇にいくことじたいをあきらめ、氷見に泊まっていたらどうなっていたでしょうか。以下のようになります。
▽2日目
氷見駅口07:44→08:20脇08:45→09:21七尾駅前09:27→09:52大橋駐車場09:52→10:11閨→徒歩0.2km→閨漁港
このように、実際ルートよりも40~50分ほど遅くなりますが、タクシーを使わず、徒歩もなく、閨に到着できます。番組でも紹介されましたが、七尾駅前09:27発のバスは、途中の停留所で閨方面へのバスに接続しますので、歩かずに済むわけです。
その後の接続は以下のようになります。
▽2日目
氷見駅口07:44→08:20脇08:45→09:21七尾駅前09:27→09:52大橋駐車場09:52→10:11閨→徒歩0.2km→閨漁港13:00→タクシー5.1km→長浦集会所13:20→13:40横見集会所
閨漁港を13時までに出て、長浦集会所までタクシーに乗れば、実際ルートに追いつけます。
ただ、閨漁港に10時過ぎに到着していたら、釣果に影響を及ぼしたかもしれません。よく知られている通り、釣りは早朝のほうが狙いやすく、日が高くなるにつれ、食いが悪くなるからです。釣り始めが10時半過ぎになると、15匹を釣るのに骨が折れた可能性はあります。
その点で、実際ルートでルイルイ一行が七尾駅で9時27分のバスまで待たずに曲へ行き、がんばって歩いて閨に早着したことには、意味があったとみることもできそうです。
2日目にバスを待っていたら
実際ルートに戻ります。一行は閨漁港からタクシーで能登島を脱し、ツインブリッジを渡ったところでタクシーを降りました。
その後、長浦集会所のバス停に至ったものの、次のバスまでの待ち時間が長いので待たずに西岸駅まで歩きました。さらに、横見集会所から曽福バス停まで歩き、曽福からバスがあるにもかかわらず、能登鹿島まで歩いています。
このあたり、仮にそれぞれの停留所でバスの出発を待っていたらどうなるでしょうか。
▽2日目
七尾駅前07:32→08:10曲→徒歩5.9km→09:30閨漁港→タクシー4.3km・1,660円+徒歩1.1km→12:29長浦集会所13:20→13:40横見集会所→徒歩1.2km→曽福15:35→15:54穴水駅前16:10→17:03輪島駅前
実際ルートで一行が西岸駅前から乗ったバスは、長浦集会所を経由してきた路線です。また、能登鹿島から乗ったバスは、曽福が始発の路線です。要するに、どちらもバスを待っていれば、実際ルートに収斂したわけで、長浦集会所~西岸駅と、曽福~能登鹿島の徒歩合計約3.6kmは、回避可能でした。
バスチームの最適解は?
これらの検証を前提として、バスチーム一行が現実的に取り得る最適なルートを考えてみましょう。たとえば、以下のような乗り継ぎをすれば、ほぼ歩かずに済みました。
▽1日目
武蔵ヶ辻・近江町市場10:04→10:14金沢駅前(東口)/金沢駅西口10:35→12:00井波13:47→14:12小牧/小牧港(庄川峡遊覧船)14:30→15:40小牧港/小牧15:55→17:38高岡駅前17:54→18:30氷見駅口→徒歩0.2km→氷見牛牛屋19:55→徒歩0.2km→氷見駅口
▽2日目
氷見駅口07:44→08:20脇08:45→09:21七尾駅前09:27→09:52大橋駐車場09:52→10:11閨→徒歩0.2km→閨漁港13:00頃→タクシー5.1km・概算2,150円→長浦集会所13:20→13:40横見集会所→タクシー1.2km・概算710円→曽福15:35→15:54穴水駅前16:10→17:03輪島駅前
このように、1日目にタクシーを使わず、氷見に泊まれば、2日目はバスがない区間で全てタクシーを使えます。それで実際ルートと同じ時刻にゴール可能です。タクシー料金の総額は概算2,810円にすぎません。
これではタクシー代が余りすぎるので、実際にこうした展開になったら、閨~穴水間を一気にタクシーで移動したことでしょう。
▽1日目
武蔵ヶ辻・近江町市場10:04→10:14金沢駅前(東口)/金沢駅西口10:35→12:00井波13:47→14:12小牧/小牧港(庄川峡遊覧船)14:30→15:40小牧港/小牧15:55→17:38高岡駅前17:54→18:30氷見駅口→徒歩0.2km→氷見牛牛屋19:55→徒歩0.2km→氷見駅口
▽2日目
氷見駅口07:44→08:20脇08:45→09:21七尾駅前09:27→09:52大橋駐車場09:52→10:11閨→徒歩0.2km→閨漁港13:00頃→タクシー19.2km・概算8,470円→穴水駅前14:10→14:49輪島駅前
この乗り継ぎの場合、輪島駅到着時に1,000円以上のタクシー代が残っていますので、輪島駅から残金をつぎ込んでタクシーに乗れば、輪島キリコ会館に15時頃には到着できていたでしょう。
あるいは、閨漁港の釣りのミッション内容を先に知っていれば、午前中早い時間に閨漁港に着くことを意識したかもしれません。その場合、次のような乗り継ぎもあり得たでしょう。
▽1日目
武蔵ヶ辻・近江町市場10:04→10:14金沢駅前(東口)/金沢駅西口10:35→12:00井波13:47→14:12小牧/小牧港(庄川峡遊覧船)14:30→15:40小牧港/小牧15:55→17:38高岡駅前17:54→18:30氷見駅口→徒歩0.2km→氷見牛牛屋19:55→徒歩0.4km→氷見駅→徒歩0.2km→氷見駅口20:16→20:52脇→タクシー15.8km・6,420円→21:23七尾駅
▽2日目
七尾駅前07:32→08:10曲→タクシー5.9km・概算2,790円→08:30閨漁港10:20→タクシー1.6km・概算790円+徒歩3.8km→11:20長浦集会所11:30→11:46横見集会所→徒歩1.2km→曽福12:35→12:54穴水駅前14:10→14:49輪島駅前
早朝の強みを活かして、閨漁港でさくっと釣りを終えられれば、やはり15時頃には輪島キリコ会館に到着できます。
結局のところ、バスチームは、1日目の井波~小牧港(庄川遊覧船)にタクシーを使ってしまったことが、後半に響いています。過去の対戦でも、ルイルイは前半戦から待ち時間を嫌い、バスがあってもタクシーを使って勝負する傾向があるのですが、今回はそれが裏目に出た格好です。
この区間をバスにしていたら、2日目がラクになって、15時頃に輪島に着くのは難しくなかったでしょう。
鉄道チームの検証
次に鬼軍曹・村井率いる鉄道チームについて検証してみましょう。真っ先に気になったのは、冒頭、近江町市場での食べ歩きでしょう。バスチームは近江町市場を10時すぎに出発していますので、鉄道チームも同様の時間に出たら、金沢駅10時半頃の列車には間に合ったはずです。
ただ、実際には、金沢発高岡方面行きの列車は、一行が乗った11時07分発の前は、10時09分発です。これにはどのみち間に合わなかったでしょうから、金沢11時07分発の利用は、制作側の想定通りと考えていいでしょう。
今回の鉄道チームはJR線の利用が多かったのですが、JR線の車内は撮影許可をとれなかったようで、映像がありません。そのため、制作側としては、尺を稼ぐため車外の撮れ高が必要なはずです。そうした事情を考慮すれば、近江町市場の食べ歩きは演出と捉えてもよさそうです。
福野駅まで歩いて戻っていたら
ということで、鉄道チームは、金沢駅から福野駅までの乗り継ぎにロスはありません。最初のポイントは、福野駅~小牧港(庄川峡遊覧船)までの道のりでしょう。距離にして片道9.7km。鬼軍曹一行は、道の駅庄川を拠点に、往路と復路に分けてこの区間のほぼ片道分をタクシーにしました。
上り坂の往路はともかくとして、復路は下りなのでタクシーを使わなくても良かったのでは、という気もします。仮に、復路を全て歩いた場合、どうなっていたでしょうか。
▽1日目
小牧港(庄川峡遊覧船)14:30→15:40小牧港→徒歩9.7km→18:10頃福野駅19:03→19:37高岡駅19:41→20:09氷見駅→徒歩0.5km→氷見牛牛屋→徒歩0.5km→氷見駅22:08→22:37高岡駅22:47→23:13津幡駅23:22→00:27七尾駅
福野まで早足で歩いてもう一本早い列車に乗れば、22時半に七尾に着くことも可能です。いずれにせよ、1日目に和倉温泉までは到達できませんが、一つ手前の七尾には着くことができます。
その結果、1日目のタクシー代5km相当分2,120円を持ち越せますので、これを2日目の最後に使うことができます。すると、たとえば以下のような形で乗り継げます。
▽2日目
七尾駅07:12→07:39西岸駅→徒歩8.1km→09:40頃閨漁港12:51→タクシー6.4km、2,460円+徒歩1.7km→西岸駅13:39→13:52穴水駅→タクシー15km+徒歩7km→16:10頃輪島キリコ会館
番組で確認した限りですが、穴水のタクシーは小型車です。穴水駅~輪島間で5,720円のタクシー代を残していますので、小型車なら約15km程度は走れます。すると輪島キリコ会館まで7km程度の歩きで済みますので、16時すぎにはゴールできそうです。
閨漁港には、和倉温泉駅よりも西岸駅のほうがやや近いです。ですので、七尾駅を始発列車で出た場合、西岸駅下車にして徒歩距離を縮める経路を選びそうです。ただ、和倉温泉駅で降りたとしても、閨到着時刻に大差はなく、16時すぎにゴールできるのは同じです。
いずれにしろ、1日目に庄川峡戻りのタクシー代を節約すると、和倉温泉泊は不可能で、七尾に泊まることになります。ただ、それは一行にとってハンディにはならず、実際ルートより早くゴールすることが可能で、バスチームのゴールが17時過ぎだった場合、鉄道チームは勝利できていたでしょう。
和倉温泉~閨漁港でタクシーを使ったら
実際ルートに戻ります。2日目、鉄道チームで気になったのは、閨漁港での停滞です。一行は閨漁港に9時40分頃に到着したようですが、釣りを終えて出発したのは12時51分。ミッションをこなすのに3時間以上もかかっています。
バスチームは2時間半ほどでミッション完了していますので、30~40分余計にかかっています。これが西岸駅までの歩く時間を削りタクシー利用距離を増やす一因となりました。結果として、穴水~輪島間のタクシー利用距離が減り、最後に18分差で敗れる伏線となっています。
釣りに時間がかかったのは、メンバーの技量もあったかもしれませんが、前述したように、時間帯が遅くなり食いが悪くなったこと、そしてバスチームの後塵を拝したことで釣り場が荒れてしまったことも一因でしょう。
逆にいえば、もっと早い時間に閨漁港に着けていれば、釣りの時間を短縮できたかもしれないわけです。ミッション内容を事前に察知していたら、2日目の早朝にタクシーを使って閨を目指す、という選択もあり得たでしょう。
仮に、和倉温泉金波荘から、6.4km(閨~西岸間で使った分)だけタクシーを使って閨を目指していたらどうなっていたでしょうか。
▽2日目
金波荘06:00→タクシー6.4km、2,460円+徒歩3.7km→07:00頃閨漁港
コンビニで朝食を購入し食べる時間を勘案しても、閨漁港で8時には釣りを始めることができていたでしょう。その場合に、2時間でミッション終了できていたと仮定すると、たとえば以下のようになります。
▽2日目
金波荘06:00→タクシー6.4km+徒歩3.7km→08:00頃閨漁港10:00頃→徒歩8.1km→西岸駅12:10→12:23穴水駅→徒歩約2km→おおぞら農業協同組合→タクシー11km、3,580円+徒歩9km→16:20頃輪島キリコ会館
西岸駅から実際ルートより1本早い列車に乗ることができれば、その後の到着時刻は実際ルートより1時間20分繰り上がることになります。実際ルートと同じアプローチをしたと仮定すると、輪島キリコ会館には16時20分頃に到着できていた計算です。その場合、鉄道チームが勝利となります。
西岸駅を一本後の列車にしていたら
実際ルートに戻ります。閨漁港以降で気になったのは、閨漁港から西岸駅へのタクシー利用距離でしょうか。一行は閨漁港からタクシーに乗りましたが、列車を一本遅らせる覚悟で西岸駅まで歩き、タクシー代6.4km分2,460円を浮かせていたらどうなっていでしょうか。
▽2日目
閨漁港12:50→徒歩8.1km→西岸駅15:03→15:22穴水駅→タクシー18km+徒歩4km→17:00頃輪島キリコ会館
西岸駅から乗れる列車は15時03分発です。その後、穴水駅からすぐにタクシーに乗って残額を使い切ったとして、輪島市内の徒歩は4km程度になります。すると、輪島キリコ会館には17時頃に到着できていたでしょう。バスチームといい勝負で、鉄道チームが勝てていた可能性もあります。
合計60km
今回の鉄道チームで、鉄道が途切れる区間、言い換えれば、歩くかタクシーに乗らなければならない区間は、全部で約60kmです。一方、1万円で乗れるタクシーの最大距離は、中型車で26km程度、小型車で30km程度です。つまり、2日間で30km~34km程度は歩かなければなりません。
60kmのうち、上り坂で負荷が高いのは、道の駅庄川~小牧港(庄川峡遊覧船)間と、穴水駅~輪島市境間です。この両区間はタクシー必須と考えたうえで、残りの区間を鉄道のダイヤに合わせてどうタクシーを使いこなすか、がポイントになっていたわけです。
1日目の庄川峡戻りでタクシーを使うと、夜に和倉温泉まで到達することができ、翌朝の始発列車の時間に左右されずに閨漁港へ向かって歩き出せる、というアドバンテージを得られます。その代償として、約5km分のタクシー代を初日に費やします。
1日目の庄川峡戻りでタクシーを使わないと宿泊地は七尾になり、2日目に始発列車を待つなら七尾駅07時32分発となります。しかし、5km分のタクシー代を余分に温存できます。
比べてみて、どちらが有利とは一概にはいえません。
ただ、庄川峡戻りでのタクシー利用により、2日目の総歩行距離が22km以上に達してしまったことが、メンバーの負担になってしまった可能性はあるでしょう。1日目のタクシーを庄川峡への往路だけにしておけば、両日の徒歩距離が平準化されます。そうしていれば、2日目の休憩時間を減らし、歩行速度を高くでき、最終的に18分の差を詰められていた可能性はありそうです。
初日にタクシーを使わなかったら
机上論として考えてみると、1日目の七尾着の終電が遅いという点に着目したくなります。庄川峡往復に時間をかけても大勢に影響がないことを意味しており、となると、庄川峡の往復を全て徒歩にすれば、時間の使い方としては優れています。
▽1日目
近江町市場→徒歩1.1km→金沢駅11:07→11:46高岡駅11:51→12:24福野駅→徒歩9.1km→小牧港(庄川峡遊覧船)16:00→17:05小牧港→徒歩9.1km→19:30頃福野駅19:40→20:13高岡駅20:22→20:49氷見駅→徒歩0.5km→氷見牛牛屋→徒歩0.5km→氷見駅22:08→22:37高岡駅22:47→23:13津幡駅23:22→00:27七尾駅
▽2日目
七尾駅07:00→タクシー14.5km・6,230円→07:30頃閨漁港09:00→徒歩8.1km→11:00西岸駅11:02→11:19穴水駅→タクシー10km+徒歩12km→15:00頃輪島キリコ会館
早朝の釣りが入れ食いで1時間半でこなせれば、15時頃にゴールすることができそうです。といってもこれは本当に机上論で、実現可能性には乏しいと言わざるを得ませんが。
鉄道チームの最適解は
鉄道チームの最適解は難しいですが、これまで書いたなかでは、庄川戻りを徒歩にして、そのぶん穴水~輪島間のタクシーに長く乗る、という乗り継ぎが、現実的に採りうる最善手に思えます。以下の通りです。
▽1日目
小牧港(庄川峡遊覧船)14:30→15:40小牧港→徒歩9.7km→18:00頃福野駅18:05→18:40高岡駅18:52→19:22氷見駅→徒歩0.5km→氷見牛牛屋→徒歩0.5km→氷見駅20:16→20:47高岡駅20:51→21:18津幡駅21:23→22:35七尾駅
▽2日目
七尾駅07:12→07:39西岸駅→徒歩8.1km→09:40頃閨漁港12:51→タクシー6.4km、2,460円+徒歩1.7km→西岸駅13:39→13:52穴水駅→タクシー15km+徒歩7km→16:10頃輪島キリコ会館
つまり、鉄道チームは16時すぎにゴールできればベスト、ということになりそうです。
どこでタクシーを使うか
今回は、2日間でチェックポイントが3カ所もあったため、両チームともルート選択の余地はほとんどなく、「どこでタクシーを使うか」がポイントになりました。
そして両チームとも、庄川峡付近でタクシー代を使ってしまったために、2日目に苦戦した形です。
常識的な活動時間の範囲で最善手を尽くした場合、バスチームが15時頃にゴール可能であったのに対し、鉄道チームは16時頃になります。つまり、本質的にバスチームが有利な設定でした。
可変チェックポイント
今回は、チェックポイントの滞在時間が可変でした。遊覧船は便により所要時間が異なりますし、焼肉店では大量の食事を食べきるのに個人差が出ました。釣りは個人の技量や時間帯、さらには運で、かかる時間が異なります。
そうした要素があるので、単に時刻表だけを見て、結果を評価するのは難しい回だったともいえます。
たとえば、鉄道チームが実際ルートをたどったとしても、仮に閨漁港であっという間に15匹を釣り上げて、西岸駅までのタクシーを最小限に済ませたら、穴水からのタクシーに長く乗れて、バスチームを逆転していたことでしょう。そう考えると、勝敗を分けたのは、実は釣りの技術だった、ともいえるわけです。
とまれ、バスチームが連勝し、勝敗を五分に戻しました。ルイルイ・鬼軍曹の対決、今後とも楽しみにしたいところです。(鎌倉淳)