「バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」第22弾のルート検証、ここからは鉄道チームのルートを検証してみましょう。
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「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第22弾 熊本~大分を検証する【1】
ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅 熊本・大分名湯めぐりSP
【出演】太川陽介、久保田磨希、鏡優翔、村井美樹、高橋光臣、迫田さおり
【放送日】2024年12月4日 18時25分~21時54分(テレビ東京系列、見逃し配信あり)
鉄道チームの検証
最初に、鉄道チームの実際ルートの乗り継ぎを再掲しておきます。以下のようになっていました。
▽1日目
熊本空港09:50→徒歩7km→11:43肥後大津11:49→12:03立野駅12:42→12:55阿蘇下田城→徒歩3.2km→14:07地獄温泉青風荘★15:30→タクシー7,000円+徒歩、計24km→16:36宮地駅16:38→17:35豊後竹田駅18:08→18:14朝地駅→タクシー3,050円+徒歩3km、計13km→19:10長湯温泉★21:00→徒歩+タクシー2,000円+徒歩4km、計13km→22:05朝地駅22:07→23:27大分駅
▽2日目
大分駅06:13→07:30由布院駅→徒歩2.1km→08:00由布院温泉束の間/湯の坪街道☆10:34→徒歩0.9km→10:40由布院駅10:41→11:37大分駅11:52→12:13向之原駅12:18→12:38大分駅13:19→13:31別府駅→タクシー1.7km、900円→別府ラクテンチ★14:50→タクシー8.1km、3,150円→15:15浜田温泉/亀川駅16:10→17:00宇佐駅→タクシー4km、1,600円→17:18宇佐神宮
肥後大津まで歩いたのは?
鉄道チームは、熊本空港を出発後、肥後大津駅まで約7kmを歩き、ちょうどいいタイミングで11時49分発の列車に間に合いました。
肥後大津発の立野方面行き列車は、11時49分発の前は、09時26分発です。熊本空港のスタート時刻が09時50分ごろでしたので、この列車には、空港からタクシーを使っても間に合いません。
つまり、無駄なタクシー代を費やさずに、最速で肥後大津駅を出発したことになります。鉄道チームの滑り出しは上々でした。
立野駅でタクシーを拾えたら
立野駅の到着は12時03分。ここで南阿蘇鉄道に乗り換えます。ただし、次発は12時42分です。約40分の待ち時間が生じてしまいました。
駅前にはこれといった飲食店はなく、空腹の一行は売店でカップ麺をすすってしのぎます。
では、ここでカップ麺をすすらずに、先を急いでタクシーで第1チェックポイントに向かっていたら、どうなっていたでしょうか。
▽1日目
肥後大津駅11:49→12:03立野駅12:10→タクシー10km、3,300円→12:30地獄温泉
第1チェックポイントの地獄温泉に到着するのは12時30分頃。ミッションに1時間かかったとして、地獄温泉を13時30分ごろには出発できたでしょう。
その場合、実際ルートのように、宮地駅までタクシーを飛ばさなくても、以下のように乗り継げます。
▽1日目
立野駅12:10→タクシー10km→12:30地獄温泉13:30→徒歩3.3km→14:00阿蘇下田城駅14:46→14:58立野駅15:07→15:58宮地駅16:38→17:35豊後竹田駅
阿蘇下田城駅14時46分発の南阿蘇鉄道の列車に乗れば、立野駅で宮地方面行き列車に接続し、宮地駅で実際ルートと同じ列車に乗り継げます。
この乗り継ぎの場合、使うタクシーは概算で3,300円。実際ルートでは、地獄温泉~宮地駅間で7,000円も使っていますので、比較すれば、半分以下で済みます。3,700円も節約できるのです。
タクシー営業所がなく
と書きましたが、おそらくは、このルートは実現できません。立野駅周辺にタクシー会社や営業所が存在しないからです。
タクシーを呼ぶには、赤水駅か肥後大津駅周辺の会社に配車を依頼する必要があります。
とはいえ、そこまでするなら南阿蘇鉄道の列車を40分待って、阿蘇下田城駅に向かうという判断になるでしょう。
その阿蘇下田城駅付近にもタクシー会社はありません。したがって、第1チェックポイントへのアプローチに、タクシーは、事実上、使えない設定になっていました。
由布院・別府ショートカット
実際ルートに戻ります。鉄道チーム一行は、豊後竹田駅で聞き込みをして、朝地駅からタクシーで長湯温泉に至ります。ミッションに時間を要したものの、その夜のうちにタクシーで折り返し、朝地駅22時07分の列車に乗り、大分駅に至りました。
2日目は、大分駅からの始発列車で由布院に至り、先着ボーナス3,000円を獲得。記憶力が試されるミッションをミスなくクリアし、次のチェックポイントである別府ラクテンチを目指します。
由布院駅に駆け戻り、久大線の列車に飛び乗り、大分方面へ向かいました。
しかし、由布市と別府市は隣接していて、由布院駅から別府駅へは、直線距離なら13km程度です。第3チェックポイント(束の間)と第4チェックポイント(ラクテンチ)の直線距離ならば、11km程度にすぎません。
鉄道を使うと大きく南東へ迂回するため、54kmもあります。となると、ここはショートカットが頭によぎることでしょう。
仮に、由布院から別府へショートカットしていたら、どうなっていたでしょうか。
▽2日目
由布院駅→タクシー22.6km、7,300円→ラクテンチ
直線距離は短いですが、山間部なので道路は曲線が多く、総距離は22kmにも及びます。そのためタクシー代もかさみ、概算で7,300円もかかります。いっぽうで、鉄道チームに残されていたタクシー代は5,850円で1,500円ほど足りません。
それでも、残されたタクシー代を全投入すれば、17kmほど進むことができますので、残り5kmほどを歩けば、12時30分ごろ、別府ラクテンチに到着できそうです。
▽2日目
由布院駅10:45→タクシー+徒歩、計22.6km→12:30ラクテンチ★13:30→徒歩1.6km→別府駅14:06→14:13亀川駅→浜田温泉→亀川駅15:29→16:08宇佐駅→徒歩4km→17:00宇佐神宮
実際ルートに即してその後の時刻をたどると、ラクテンチでのミッションをこなした後、歩いて別府駅にいたり、亀川駅で下車して浜田温泉のミッションを実施します。終了後、亀川駅15時29分発の列車で、宇佐駅には16時08分に到着します。
タクシー代は残されていないので、宇佐駅から宇佐神宮まで4kmを歩くことになりますが、1時間程度で歩き切れば、17時ごろに宇佐神宮に到着できます。バスチームのゴールが17時10分ごろでしたので、僅差で鉄道チームが勝利できた可能性があります。
由布院ショートカットは選べたか
では、鉄道チームがこの選択をする余地はあったでしょうか。
由布院から別府への距離を考えると、6,000円足らずのタクシー代では届かないことが明らかです。一方で、鉄道チームは第3チェックポイントのミッションをミスなくクリアして、由布院駅10時41分の久大線列車にギリギリ間に合う状況になりました。
この状況で、由布院から別府へのショートカットを選択しないのは当然といえます。
ただ、仮にミッションでミスをして、列車に乗り遅れた場合は、上記のショートカットで別府に向かっていたでしょう。それでもゴール可能だった、というわけです。
由布院・別府ショートカットは、積極的に選ぶ理由はなさそうです。しかし、列車に乗り遅れた場合には選択するほかありませんし、その点で、バックアップ的な位置づけだったと解釈できそうです。
大分駅での乗り間違い
実際ルートに戻ります。
鉄道チーム一行は、由布院駅10時41分発の久大線列車に飛び乗り、大分駅に11時37分に到着しました。15分の乗り継ぎ時間で、11時52分発の列車で別府に向かう予定でした。
しかし、ここで、痛恨の乗り間違いをしてしまいます。久大線に誤乗車し、逆戻りする形で、向之原駅に到着してしまいました。
向之原駅到着は12時13分。折り返しの大分行き列車は12時18分。わずか5分ですので、情報収集する間もありません。一行は折り返し列車に乗車し、大分駅に戻ってしまいました。
あいにく大分駅での接続は悪く、41分待ち。13時19分発の列車で、別府駅に到着したのは13時31分でした。
そこからタクシーを駆使してラクテンチと別府市内のミッションをこなし、亀川駅16時10分発の日豊線列車に飛び乗ります。宇佐駅到着は17時。宇佐駅から宇佐神宮は4km離れていて、タクシーを使って17時18分ごろにゴールしました。
大分駅で乗り間違えなかったら
仮に、大分駅で乗り間違えなければどうなっていたでしょうか。実際ルートに即してみると、以下のようになります。
▽2日目
大分駅11:52→12:04別府駅→タクシー1.7km、900円→12:15ラクテンチ13:15→タクシー3,150円→13:45浜田温泉→14:45亀川駅15:29→16:08宇佐駅→タクシー4km、1,600円→16:25宇佐神宮
亀川駅15時29分発の列車に十分間に合います。これに乗れば、宇佐駅に16時08分に到着。実際より1時間早いゴールで、余裕の勝利です。
ということで、大分駅で乗り間違いをしなければ勝てた、という単純な話です。
向之原・別府ショートカット案
ただ、大分駅で乗り間違えても、勝利できる可能性はありました。
乗り間違いの列車で向之原駅に到着後、そのままタクシーで別府へ向かうという方法です。
▽2日目
由布院駅10:41→11:37大分駅11:52→12:13向之原駅→タクシー16.9km、5,500円→12:50ラクテンチ13:50→徒歩1.6km→別府駅14:06→14:13亀川駅→浜田温泉→亀川駅15:29→16:08宇佐駅→徒歩4km→17:00宇佐神宮
向之原駅到着時のタクシー残金は5,850円です。向之原駅から別府ラクテンチへのタクシー代は、概算で5,500円。途中、信号はあまりないので、渋滞がなければ、それより安く到着することも可能でしょう。
そのため、手元のタクシー代で、別府ラクテンチまでなんとか届きそうです。ミッションを1時間程度で済ませれば、別府駅14時06分発に乗車可能です。
亀川駅で降りてミッションを1時間程度で終わらせれば、亀川駅15時29分発の日豊線に乗車でき、宇佐駅に16時08分に到着します。宇佐神宮までの約4kmを急げば、17時00分ごろにゴールでき、ギリギリでバスチームに勝利できていた可能性があります。
地図を見れば、向之原駅から別府に向かうのに、大分駅を経由するのは大回りであることがわかります。
そのため、鬼軍曹は、向之原駅に着いたときに、別府へのショートカットが頭をよぎったことでしょう。しかし、折り返し時間はわずかで、きちんと検討する間がなかったように察せられます。
先手ショートカット案
向之原ショートカット案に効果があるのならば、最初からそのルートを採っていればよかったのでは、とお考えになる方もいるでしょう。
由布院駅からの列車を大分駅まで乗らずに、先手を打って、向之原駅で降車していたらどうなっていたか、ということです。
▽2日目
由布院駅10:41→11:16向之原駅→タクシー16.9km、5,500円→11:50ラクテンチ12:50→徒歩1.6km→別府駅13:32→13:38亀川駅→浜田温泉→亀川駅15:29→16:08宇佐駅→徒歩4km→17:00宇佐神宮
このように、前述の向之原・別府ショートカットより1時間前倒しになりますが、ゴール時刻は同じです。亀川駅から宇佐駅に向かう列車が、15時29分までないからです。
宇佐駅に到着する時刻は、大分駅で乗り間違えない場合と同じです。ただし、タクシー代が尽きていますので、ゴールまで歩かなければなりません。
したがって、由布院駅からの列車を向之原駅で乗り捨てて、タクシーに乗る価値はありません。大分駅で乗り間違えないのであれば、ここで先手を打つ意味はない、ということです。
最終乗り継ぎ
では、ここで、最終局面の乗り継ぎをまとめてみましょう。
■バス乗り継ぎ(⇒はタクシー)
X 別府駅11:50→12:33別府霊園前⇒安心院支所13:31→13:59法鏡寺14:25→14:34宇佐八幡
B 別府駅12:50→13:33別府霊園前⇒安心院支所16:01→16:29法鏡寺16:35→16:45宇佐八幡
B 別府駅13:50→14:33別府霊園前⇒安心院支所16:01→16:29法鏡寺16:35→16:45宇佐八幡
B 別府駅14:50→15:48仙人田⇒安心院支所16:01→16:29法鏡寺16:35→16:45宇佐八幡
A 別府駅14:50→15:48仙人田⇒16:30宇佐八幡
■鉄道最終乗り継ぎ
X 別府駅12:28→13:27宇佐駅
A 別府駅15:22→16:08宇佐駅
B 別府駅16:03→17:00宇佐駅
C 別府駅18:07→19:00宇佐駅
バスの場合、安心院支所13時31分発の次が16時01分発です。安心院支所13時31分発に乗るには、別府駅を11時50分に出るバスに乗らなければなりません。これは不可能です。
一方、鉄道チームが別府発12時28分発に乗るのも不可能です。したがって、両チームの「X」は実現不能です。
本質的に有利なのは?
バスチームは、タクシー代を豊富に残せたら「A」の乗り継ぎがあり得ます。ただし、その場合は、ボーナスポイントの位置が第3チェックポイント以外でなければならないので、実際の設定では無理でした。
実際の設定では、バスでゴール「B」の乗り継ぎが最速となります。「B」の場合、法鏡寺からタクシーやバスを使えば16時45分頃のゴール、歩けば17時10分頃のゴールと目されます。
鉄道チームは「A」なら16時08分に宇佐駅に到着し、タクシー代が残っていれば16時25分ごろにはゴール可能でしょう。実際、大分駅で乗り間違えなければ、鉄道チームはこの乗り継ぎを実現できていたはずです。
バスチームが16時25分にゴールするのは不可能なので、本質的には鉄道チームが有利だったといえます。
バランスは取れていた
ただ、鉄道チームが有利といっても、ミッションをノーミスでクリアして、タクシーを上手に使ってこその話で、「A」の難易度は高かったといえます。実際には、鉄道チームは、「乗り間違い」という意外な理由で「B」になりました。
鉄道チームの「B」は、宇佐駅17時着。バスチームの「B」は、法鏡寺16時29分着です。宇佐神宮は宇佐駅と法鏡寺の中間付近(やや法鏡寺寄り)にあるので、タクシー代がなければ鉄道チームの勝利は難しく、タクシー代があっても、やや不利です。
そう検討していくと、バスチームが「A」を実現するのは難しいものの、「B」の場合はやや有利になっていました。鉄道チームの「A」の難易度が高いことを考慮すれば、バランスは取れていたように感じられます。
鉄道チームの連敗により、対戦成績は12勝10敗となりました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)