「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第17弾 清里~修善寺を分析する【3】負けに不思議の負けなし

よかったですね、乗れなくて

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「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第17弾 清里~修善寺を分析する【1】序盤の停滞は避けられたか

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バスVS鉄道対決旅第17弾
Ⓒテレビ東京

「バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」第17弾のルート検証、ここからは鉄道チームの検証です。

鉄道チームの検証

あらためて、鉄道チームの実際ルートを再掲しておきます。

▽1日目
清泉寮09:50→徒歩2km→10:15清里駅12:54→13:17小淵沢駅14:07→14:52石和温泉駅→徒歩6.2km→16:26イチフル(☆1,000円)18:30→徒歩6.2km→19:52山梨市駅19:59→20:34大月駅20:51→21:46河口湖駅→徒歩1.6km→登り坂ホテル

▽2日目
登り坂ホテル06:03→徒歩7.2km→ゆらり(☆1,000円)09:01→タクシー10,820円+徒歩2km、計30.6km→10:19市ノ瀬駅10:23→12:24富士駅12:27→12:52三島駅13:07→13:34田京駅→タクシー6.6km、2,500円→マリンパーク(☆)14:54→徒歩1.9km→内浦交番付近→タクシー4km、1,600円→田方中消防署付近→徒歩0.7km→田京駅15:38→15:50修善寺駅→徒歩3.9km→16:40頃虹の郷

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清里10時15分発に乗れていたら

鉄道チームで最初に気になるのは、清里駅で10時15分発の列車に乗れていたら、ということでしょう。時刻表で乗り継ぎをたどってみると、以下のようになります。

▽1日目
清里駅10:15→10:37小淵沢駅11:04→11:54石和温泉駅→徒歩6.2km→イチフル(☆)→徒歩6.2km→山梨市駅16:13→16:58大月駅17:03→18:04河口湖駅

実際ルートに即したタクシーの使い方で進むと、河口湖駅に18時ごろに到着します。河口湖駅から第2チェックポイントまでは9km離れているので、1日目にクリアすることは難しそうです。

したがって、仮に清里発10時15分発に乗れていたとしても、1日目の河口湖泊は同じで、大勢に影響はなかった、ということになります。

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タクシーを積極投入したら

ただし、1日目からタクシー代を積極投入すれば、以下のように進むこともできます。

▽1日目
清里駅10:15→10:37小淵沢駅11:04→11:54石和温泉駅→タクシー6.2km→イチフル(☆1,000円)→タクシー6.2km→石和温泉駅15:06→15:41大月駅15:51→16:46河口湖駅→タクシー9.1km→ゆらり(☆1,000円)→タクシー9.1km→河口湖駅18:32→19:31大月駅19:40→20:25八王子駅20:37→21:03町田駅21:16→22:11小田原駅22:53→23:30三島駅

1日目に第2チェックポイントをクリアできそうで、八王子や小田原を経由して三島駅まで到達することができます。タクシー代はほぼ使い尽くしそうですが、これだけリードすれば、2日目の徒歩区間が増えても問題は小さそうで、勝利の可能性は高かったといえます。

とはいえ、現実に清里駅10時15分発の列車には乗れなかったので、捕らぬ狸の皮算用です。以下では、この列車には乗れないという前提で、検証を進めていきます。

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長坂ルート

鉄道チームが清里駅で取り得るもう一つの選択肢として、中央線の最寄り駅である長坂駅までタクシーを使うという方法もあるでしょう。以下のようになります。

▽1日目
清里駅→タクシー+徒歩14km→長坂駅12:14→12:52石和温泉駅→徒歩6.2km→イチフル(☆1,000円)→徒歩6.2km→山梨市駅17:51→18:34大月駅19:00→20:02河口湖駅

実際ルートに即した場合、河口湖駅到着が20時過ぎになります。この時間から第2チェックポイントのミッションに挑むことはできないでしょうから、2日目朝にチャレンジという形は変わりません。

したがって、序盤で長坂駅へ急いだとしても意味はなく、清里駅で時間を潰して観光したのは正解という結論になります。

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大回りルート

鉄道チームのもう一つのポイントは、2日目、第2チェックポイント終了後、身延線の市ノ瀬駅に向かったことです。

別の選択として、富士宮駅や御殿場駅にタクシーで向かうこともできましたし、河口湖駅から八王子駅などを経て大回りで三島駅に達する方法もあります。

先に、大回りルートについてみてみましょう。時刻表上は以下のように乗り継げます。

▽2日目
ゆらり→タクシー→河口湖駅09:58→10:55大月駅11:04→11:48八王子駅12:09→12:32町田駅12:53→13:48小田原駅14:02→14:26熱海駅14:53→15:06三島駅15:12→15:31韮山駅→タクシー6.5km→15:45マリンパーク(☆)16:45→タクシー13km→17:05虹の郷

第3チェックポイントのマリンパークに着くのは実際ルートより2時間近く遅れます。しかし、資金に余裕があるので、クリア後、ゴールまでタクシーを利用できます。ゴールは17時すぎとなり、実際より20分くらい遅くなりますが、勝利することに変わりありません。しかも、この場合、河口湖駅以降は一切歩かずに済みます。

ただ、この日は台風が近づいていて、列車の運休が予測されている状況でした。大回りルート自体が成立するかは危うく、鬼軍曹がこれを選択しなかったのは的確な判断だったといえるでしょう。

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富士宮駅や御殿場駅は?

では、第2チェックポイントから富士宮駅や御殿場駅へ向かうのはどうでしょうか。

問題となるのは、第2チェックポイントからの距離です。Googleマップで測ると、以下のようになっています。

第2CP→市ノ瀬駅30.6km
第2CP→富士宮駅36.5km
第2CP→御殿場駅37.0km

三択では、市ノ瀬駅が最も近いわけです。

鉄道チームの場合、タクシー代をいかに残すかが重要です。そのため、時刻表と運行状況を確認したうえ、最も近い市ノ瀬駅を選択した鬼軍曹の判断は、正しかったといえそうです。

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田京駅まで歩いたら

鉄道チームの最終局面についても検証してみます。第3チェックポイント終了後、田京駅までタクシーを使いました。ここで、もし使わなければどうなっていたでしょうか。

▽2日目
マリンパーク14:54→徒歩6.6km→田京駅16:22→16:32修善寺駅→タクシー+徒歩4km→虹の郷

修善寺駅から虹の郷は約4kmで、1,680円のタクシー残金では及びません。それでも1km程度の徒歩で済みそうで、虹の郷には16時50分頃にはゴールできるでしょう。つまり、実際ルートより少し遅れる程度で、大勢に影響はありません。

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まとめてみると

全体をまとめてみてみると、バスチームは河口湖から新富士駅を目指さなかった点と、御殿場駅からアウトレットを目指さなかった点が悔やまれます。

振り返ると、御殿場駅で慌ててタクシーに乗ってしまい、資金のほぼ全額を投じてしまったことは痛恨です。最終局面の資金不足を招き、直接的な敗因となってしまいました。

新富士、アウトレットのいずれかを選択していれば勝利の可能性は高かったので、今回ばかりはルイルイの決断に冴えがなかったというほかありません。

鉄道チームにミスなく

一方の鉄道チームは、ルート選択に悩む局面は少なく、オーソドックスに乗り継いだと表現できます。

台風がなければ、八王子経由の大回りルートも検討に値しますが、現実の天候を考えれば、選択肢から外れます。となると、市ノ瀬駅からの身延線ルートが妥当です。

あとはタクシーの使いどころですが、1日目に無理をせず資金を温存し、市ノ瀬駅へのアプローチに集中投入した鬼軍曹の判断が奏功しました。総じて、鉄道チームにはミスらしいミスがみあたりませんでした。

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負けに不思議の負けなし

鉄道チームにミスがなかったということは、16時40分頃のゴール時刻を大幅に前倒しすることは難しかったことを意味します。それに対して、バスチームは、ベストを尽くせば16時前にゴールすることが可能でした。

つまり、本質的にはバスチーム有利の設定だったことになります。ところが、ルート選択とタクシー代の使いどころを誤って、勝機を逸してしまいました。

いずれも、確たる情報が得られなかった状況での判断なので、やむを得ないと言えばそれまでですが、新富士もアウトレットも奇想天外のルートではありません。そう考えると、もったいなかった気がします。

「負けに不思議の負けなし」は松浦静山『常静子剣談』の一節で、故・野村克也氏の座右の銘として知られます。残念ながら、今回のバスチームにも当てはまりそうで、捲土重来を期したいところでしょう。(鎌倉淳)

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