「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第11弾 箱根~秩父を分析する。ハプニングに救われた?

一番大変な坂道の地獄

前ページより続きます

鉄道チームの検証

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第11弾、つづいては鉄道チームの検証です。

先に示した、鉄道チームの実際ルートを再掲しておきます。

▽1日目
箱根湯本09:57→10:14小田原10:19→10:29新松田/松田11:07→11:57御殿場→徒歩9.8km→14:30まぁちゃん☆→タクシー20.1km、6,140円→16:22富士山16:28→17:15大月17:29→18:03相模湖→徒歩3.4km→18:45さがみ湖プレジャーフォレスト☆20:00→徒歩3.4km→相模湖21:17→21:50立川

▽2日目
立川06:04→06:34青梅06:36→06:59軍畑→徒歩8.4km→フォーミュランド・ラー飯能☆10:28→徒歩3km→小沢トンネル出口→タクシー5km、2,000円→11:22軍畑11:28→11:40青梅11:41→11:57拝島12:01→12:26高麗川→徒歩2.5km→たかはしたまご☆13:20→徒歩1.8km→13:50醤遊王国→徒歩1.8km→たかはしたまご14:43→タクシー1.5km、600円+徒歩1km→14:57高麗川15:00→15:06東飯能15:15→16:10西武秩父→徒歩1.3km→近戸町付近→タクシー3.2km、1,220円→音楽寺付近→徒歩1.1km→秩父ミューズパーク展望台

広告

御殿場に戻っていたら

鉄道チームは、スタート直後、箱根湯本から御殿場を目指します。小田原から小田急で新松田に至り、JR松田駅から御殿場線に乗るというルートでした。

小田原からJR東海道線に乗り、国府津を経由するルートもありますが、御殿場到着時刻に差はありません。

第1チェックポイントのまぁちゃんは、御殿場駅から約10km。富士急行の富士山駅から約20km離れています。

ミッション終了後、鬼軍曹は当初、距離の近い御殿場駅に戻って相模湖へ向かう計画を立てていたようです。しかし、お店で時刻表を検索してもらうと、御殿場経由では相模湖まで時間がかかりすぎることを知り、富士山駅経由に変更します。

このとき、御殿場駅経由とすると、以下のような乗り継ぎでした。

▽1日目
まぁちゃん☆→タクシー9.9km、概算3,030円→御殿場16:22→16:53松田/新松田17:05→17:54町田18:05→18:31八王子18:45→19:01相模湖→タクシー3.4km、概算1,300円→さがみ湖プレジャーフォレスト

御殿場駅にタクシーで戻った場合、相模湖駅着が19時すぎとなります。相模湖駅からプレジャーフォレストまで3.4kmなので、タクシーなら10分、1,300円程度。その場合、プレジャーフォレストに着くのは19時10分頃なので、実際ルートより20~30分遅い程度です。営業時間内ですから、ミッションをこなすのに支障はありません。

この場合、タクシー代は合計4,300円程度で、富士山駅経由より約1,800円安くつきます。しかも、まぁちゃんからプレジャーフォレストまで、ほとんど徒歩区間がありません。これに対し、実際ルートでは相模湖駅からプレジャーフォレストまで3.4km歩いています。

要するに、御殿場駅経由は到着が20分遅くなるものの、ミッション遂行に支障はなく、タクシー代は1,800円浮いて、歩かずに済んだ、ということになります。となると、富士山駅経由よりも、御殿場駅経由のほうに優位性があったといえそうで、鬼軍曹の判断はちょっともったいなかったです。

広告

飯能駅からアプローチしたら?

実際ルートに戻ります。2日目、一行は宿泊した立川駅を6時すぎの列車で出発し、第3チェックポイントのフォーミュランド・ラー飯能を目指します。

フォーミュランドは、鉄道でのアクセスが難しい場所です。「飯能」の文字に釣られて西武線の飯能駅からアクセスしようとすれば、約15kmも歩くことになります。

一方、都県境を挟んだ青梅線の軍畑駅からなら、約半分の8.4kmにすぎません。小沢峠越えのアップダウンを挟むものの、歩く距離が6km以上も短いなら、軍畑駅からのアクセスのほうが優れているといえそうです。

要は、「市内の駅より県外の駅のほうが近い」という「引っかけ問題」だったようにも感じられます。渡される道路地図が都県ごとに分かれているため、はまりやすそうな陥穽でしたが、さすがに鬼軍曹は引っかかりませんでした。

地図を破ってつなぐという「新技」まで編み出し、ルートを確認した甲斐があったというものでしょう。

ミッション終了後、軍畑駅に戻った際は、列車出発6分前に駅に到着できました。青梅線のこのエリアは毎時2本程度しか列車がありませんので、待ち時間を最小限にとどめられたことには、大きな価値がありました。

広告

卵を落とさなかったら

第4チェックポイントの2か所のお店には、高麗川駅を拠点にアクセスしました。地図を見ると、醤遊王国は東武越生線の西大家駅が最寄りですが、飯能駅から行きにくいですし、秩父に向かうにも大回りです。したがって、高麗川駅を拠点に往復した判断は間違っていません。

このとき、ステテコが卵を割ってしまったため、たかはしたまごに2度寄るというアクシデントがありました。仮に、このアクシデントがなかったら、どうなっていたでしょうか。

▽2日目
拝島12:01→12:26高麗川→徒歩2.5km→たかはしたまご☆13:20→徒歩1.8km→13:50醤遊王国→タクシー1.2km+徒歩2.2km→高麗川15:00→15:06東飯能

高麗川駅の先発列車は14時30分発ですが、醤遊王国に13時50分に到着してミッションをこなし、実際ルートと同様にタクシーを1メーターだけ使って、残りを歩いたと仮定すると、この列車に乗るのは難しそうです。

ルート取りにもよりますが、醤遊王国から高麗川駅にまっすぐ歩いて3.4km。たかはしたまごを経由して4.8km。つまり、ロスは約1.4km。歩けば20分足らずの違いに過ぎません。

列車は30分間隔で、実際ルートではギリギリのタイミングで15時発の列車に間に合っています。それを前提に考えれば、アクシデントがなくても、高麗川駅で乗れたのは15時発の列車で変わらなかったでしょう。ただ、駅までタクシーを使わずに済んだかもしれませんので、そのお金を秩父市内に回せば、ゴール時刻が早まった可能性はありました。

広告

タクシーのメーターが回りすぎなかったら

そのタクシーでも、小さなハプニングがありました。たかはしたまごから利用したタクシーの降り際にメーターが回ってしまい、1メーターのみ乗る予定が、結局2メーター分乗ってしまったのです。

その後、鉄道チームが高麗川駅に到着したのは、15時発の列車の3分前。1メーターで300mほど乗れますから、仮にメーターが回らなければ300m手前で降りていたことになり、15時発の列車を乗り逃していた可能性があります。

その場合は、以下のような乗り継ぎとなりました。

▽2日目
高麗川15:30→15:36東飯能15:44→16:34西武秩父→タクシー3.5km+徒歩2.4km→秩父ミューズパーク展望台

西武秩父到着は実際ルートより24分遅くなり、秩父駅から展望台へのタクシーは約0.3km長く乗れます。相殺すると実際ルートより20分程度遅くなっていたでしょう。となると、バスチームとほぼ同着になっていた計算で、ひょっとしたら敗北していた可能性もあります。

一方、たかはしたまごから、タクシーを一切使わずに高麗川駅に戻った場合はどうでしょうか。その場合、秩父市内で使えるタクシー代が増えますので、以下のようになります。

たかはしたまご14:43→徒歩2.5km→高麗川15:30→15:36東飯能15:44→16:34西武秩父→タクシー4.7km+徒歩0.9km→秩父ミューズパーク展望台

駅から1km歩けば、その後はタクシーで展望台下まで乗り切れた計算になります。したがって、展望台に17時前には着けるので、先にゴールして勝利できていたでしょう。

要するに、たかはしたまごからは、タクシーに1メーターだけ乗って、高麗川発15時発に間に合わないという状況だけが悪手だった可能性があるわけです。メーターが回りすぎたことで15時の列車に間に合ったのであれば、鬼軍曹は予期せぬハプニングに救われたことになります。

広告

最終局面の乗り継ぎ比較

ここで、勝負を分けた最終局面の乗り継ぎを比較してみましょう。

▽バスチーム
秩父駅15:07→15:16展望台入口
秩父駅16:21→16:45展望台入口
秩父駅17:02→17:11展望台入口(実際ルート)
※展望台入口から展望台まで約0.3km

▽鉄道チーム
高麗川14:30→15:32西武秩父
高麗川15:00→16:10西武秩父(実際ルート)
高麗川15:30→16:34西武秩父
高麗川16:00→17:14西武秩父
※西武秩父駅から展望台まで約4km

バスチームは、秩父駅から展望台入口のバスを3つ記しましたが、長渕~秩父間のバスの接続を受けるのは秩父駅17時02分発のみです。したがって、バスチームの17時11分展望台入口着、17時20分ごろゴールは今回の基本設定で、ルイルイはその通りに到着したと見做してよさそうです。

これに対し、鉄道チームはタクシー代の残金にもよりますが、高麗川15時発に乗れば勝利、15時30分発の場合は互角、16時発だと敗退という設定になっていました。鬼軍曹は15時発にしっかり乗り込み、勝利をものにしました。

ただ、15時発に乗ったとしても、秩父駅からのタクシー代が不足すれば負ける可能性もありました。その点、鬼軍曹は、1日目に富士山駅へ向かったことでタクシーに余計に乗ってしまった部分があったものの、さがみ湖プレジャーフォレストや、フォーミュランド・ラー飯能への往復で節約し、ラストスパートへの余力を残していました。

広告

鬼軍曹が取りこぼさず

端的にいえば、今回はバスチームのゴール時刻はほぼ決まっていて、勝敗の帰趨は鉄道チームが握っていました。鉄道チームがベストを尽くせば、バスチームより早くゴールすることができ、その難易度はそれほど高くありませんでした。つまるところ、本質的に鉄道チームが有利な設定だったといえます。

ただ、高麗川駅で1本乗り逃していたら、鉄道チームは敗北を喫していた可能性もあり、勝敗は紙一重だったといえます。勝因をさかのぼれば、フォーミュランドへのアクセスに往復とも軍畑駅をきちんと使い、運転本数の少ない青梅線を待たない範囲で、最小限の区間のみタクシーを使用したことでしょうか。

全体として鬼軍曹にミスはあったものの、勝負どころで間違えず、自軍に有利なゲームを取りこぼしませんでした。これで鉄道チームが6勝5敗となり、一つの勝ち越しです。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

【Amazon】ローカル路線バス乗り継ぎの旅DVD
【テレビ東京公式】バスVS鉄道「勝てたルート」大公開動画

広告