ANAがLCCピーチと共同運航へ。活用法を考えてみる

値段が同じなら買わないけれど

ANAがピーチ・アビエーションとの共同運航(コードシェア)を開始します。LCCの狭い座席をANAの値段で買うとなると抵抗がありますが、選択肢が広がることのメリットもあります。活用方法を考えてみましょう。

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ピーチなのにANA便

ANAホールディングスは、傘下のANAとピーチが8月から旅客便の共同運航(コードシェア)を実施すると発表しました。ピーチは格安航空会社LCCですが、その運航便にANAの便名も付け、座席の一部をANAが販売します。

8月下旬から成田~札幌、福岡、那覇線と、中部~札幌、那覇線の5路線で開始します。対象路線は順次拡大します。

料金などは未定です。ANAのウェブサイトでチケットを購入する際は、ANAの運航便ではなく、ピーチ運航便であることがきちんと表示されます。

ピーチ
画像:ピーチ・アビエーション

国内LCCでは初

ANAはこれまでも、AIRDOやソラシドエア、スターフライヤーといった中堅航空会社との共同運航を実施していますが、国内LCCと共同運航を行うのは初めてです。

ライバルのJALは、2013年から、出資先のLCCジェットスター・ジャパンと共同運航を行っていますが、国際線乗り継ぎに限られます。つまり、国内線単独で、大手航空会社がLCCとコードシェアを始めるのは初めてです。

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ANAとの違い

ピーチはLCCですので、荷物預けや座席指定は別料金、予約を取り消しても返金不可といった独自ルールがあります。ただ、こうしたルールはANAで販売する座席には適用されないとみられます。ピーチは機内サービスが有料で、ANA予約者にも同じ扱いをするのかは不明ですが、ドリンクサービスのみ無料とする可能性はあるでしょう。

ANAとの違いとしては、シートピッチの狭さが挙げられます。横幅は変わりありませんが、席の前後間隔が狭く、圧迫感があります。

定時運航率も大きく異なります。コロナの影響の小さい2019年度のデータでは、ANAの88%に対し、ピーチは78%と、10ポイントも差が開いています。定時運航率は航空会社を選択する際の重要な要素ですので、ANAとしてピーチ運航便を予約する際は、頭に入れておきたいところです。

また、関西空港では、ピーチは第2ターミナルからの出発となります。いわゆるLCCターミナルで、ANAが使用する第1ターミナルに比べると不便です。ただ、今回の5路線に関西空港発着便は含まれていません。成田空港では、ピーチは2020年10月に第1ターミナルに移転済みですので、不便はありません。中部空港も第1ターミナル利用です。

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料金は?

もっとも気になるのは料金ですが、未発表です。一般論で考えると、ANAの値段でピーチ便を販売したら、事情を知っている人はほとんど買わないでしょう。そのため、通常のANA便に比べると、手頃な価格の割引運賃が設定されそうです。

チケットの取消・変更時の手数料は、旅客にとってANAの制度が有利です。こうしたキャンセル料の安さや柔軟性に目を付けるなら、あえてANA便として予約するのは、一つの活用方法でしょう。

また、ピーチとのコードシェア便を、ANA便名で購入し搭乗した場合、ANAマイルが積算されます。マイルの積算を優先するなら、価格を確認しつつANA便で予約するという選択もできそうです。(鎌倉淳)

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