2023年3月までの航空会社別「定時運航率」「欠航率」の統計がまとまりました。定時運航率ではスカイマークが6年連続の首位。同社は欠航率も低く、信頼感の高さをみせました。
国土交通省の2022年度統計
航空会社の国内線の「定時運航率」と「欠航率」は、国土交通省の「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報」で公表されています。2023年発表の最新のデータとして、2022年度(2022年4月~2023年3月)の数字がまとまりました。
ここでは、その数字をランキングにまとめて、順にみていきます。なお、統計上の「日本航空」は、日本航空、ジェイエア、日本エアコミューター、北海道エアシステム、日本トランスオーシャン航空(一部路線)の合計、「全日空」は、全日本空輸、ANAウイングスの合計です。
順位 | 航空会社名 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|
1 | スカイマーク | 95.90 | 98.44 |
2 | スターフライヤー | 95.35 | 98.15 |
3 | 日本トランスオーシャン航空 | 95.03 | 97.36 |
4 | スプリング・ジャパン | 94.93 | 87.99 |
5 | ソラシドエア | 93.47 | 97.66 |
6 | 日本航空 | 92.04 | 94.49 |
7 | 全日空 | 90.56 | 94.26 |
8 | ジェットスター | 87.79 | 93.16 |
9 | エアドゥ | 87.59 | 93.87 |
10 | ピーチ | 81.35 | 86.80 |
この統計は、客席数が100または最大離陸重量が5万kgを超える航空機を使用する航空会社が対象です。小型機使用のフジドリームエアラインズやアイベックスなどは対象外です。
定時運航率は、出発予定時刻より15分以内に出発した便のことをいいます。「出発」とはブロックアウトした時間。つまり、機体が動き出した時間のことです。定時運航率は運航した便に対する率ですので、欠航は反映していません。
スカイマークとスターフライヤーが好成績
今回の統計の注目点は、新型コロナウイルス感染症から旅客が急激に回復するなか、航空会社がどこまで定時性を確保できるかということでした。
新型コロナウイルスの影響が色濃く残った2021年度は、各航空会社とも運航体制を縮小していたため、空港混雑が少なく、LCC以外のレガシーキャリアは93%以上の定時運航率を確保。スカイマーク、スターフライヤーの2社は98%以上という好成績を残しました。
2022年度では、多くの会社が2021年度よりは数字を悪化させましたが、スカイマークが95.90%という高い定時率で首位の座を守りました。つづくスターフライヤーも95.35%という高い数字で、2年連続の2位を確保しています。
エアドゥが数字落とす
中堅航空会社は、上記のスカイマーク、スターフライヤーが例年好成績を残しているほか、ソラシドエアも93.47%と高い数字です。一方、エアドゥは87.59%と大きく数字を落とし、全体9位と振るいませんでした。
全日空、日本航空の大手2社は、両社とも順位をひとつずつ落として、6位と7位になりました。大手航空会社は就航先が多く多彩な機種を持つため、中堅航空会社より遅延が生じやすいのはやむを得ません。数字としてみれば90~92%で、10便に1便程度は遅延が生じていることになります。
ピーチは5便に1便が遅延
LCCは、スプリングが94.93%で4位に入り、2021年度の87.99%から大きく改善しました。同社は国内線の運航規模が小さいので、他社と同列に比較するのは難しい面がありますが、2021年6月にJALの子会社になったことで、運航体制が改善されたのかもしれません。
ジェットスターは87.79%で数字を落としました。最下位は2年連続のピーチで、81.35%と低い数字です。データ上は、おおむね5便に1便が15分以上遅延しているわけで、利用する際は気をつけたほうがいいでしょう。
2022年度欠航率ランキング
次に2022年度の欠航率を見てみましょう。欠航率は低い方が優秀なので、「低欠航率」という形でランキングしてみます。
順位 | 航空会社名 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|
1 | スプリング・ジャパン | 0.51 | 1.23 |
2 | スカイマーク | 0.76 | 1.04 |
3 | 全日空 | 1.06 | 1.70 |
4 | ソラシドエア | 1.10 | 0.66 |
5 | エアドゥ | 1.25 | 1.50 |
6 | ジェットスター | 1.30 | 0.96 |
7 | 日本トランスオーシャン航空 | 1.32 | 1.51 |
8 | ピーチ | 1.33 | 1.38 |
9 | スターフライヤー | 1.46 | 0.50 |
10 | 日本航空 | 1.55 | 1.86 |
スプリング・ジャパンが最優秀
低欠航率の最優秀は、スプリング・ジャパンとなりました。わずか0.51%で、欠航のきわめて少ない航空会社といえます。ただ、前述のように、スプリングは国内線の運航規模が小さいので、他社と同列に比べられない面があります。
2位に入ったのはスカイマークで0.76%。定時運航率との2冠は逃しましたが、「定時性が高く欠航率が低い」わけで、信頼感の高い航空会社といえます。
3位に入ったのは全日空。1.09%で、2021年度の1.7%から大きく改善しました。順位も9位から一気に上げています。
LCCは遅れても飛ぶ
全体的にみて2022年度は欠航率が低く、もっとも数字が悪い日本航空でも1.55%となりました。
ジェットスターとピーチの2大LCCは、ともに1.3%程度の欠航率です。LCCは遅延率は高いですが、欠航率は他の航空会社と変わらない水準で、「遅れても飛ぶ」ということです。(鎌倉淳)