「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第16弾 旭川~十勝を分析する【3】運休がなかったら?

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「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第16弾 旭川~十勝を分析する【1】見逃された乗り継ぎルート

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バスVS鉄道第16弾
Ⓒテレビ東京

「バスVS鉄道乗り継ぎ対決旅」第16弾のルート検証、ここからは鉄道チームの検証です。

鉄道チームの検証

続いて、鉄道チームの検証です。実際ルートを再掲しておきます。

▽1日目
旭川空港11:00→徒歩4km→11:50千代ヶ岡駅11:57→12:07美瑛駅(☆)→自転車7km、1,200円→セブンスターの木13:57→自転車6km→14:41ラーメン店→1km→美瑛駅15:13→16:01富良野駅17:19→徒歩19.3km→下金山駅21:19→タクシー→23km、8,780円→徒歩4.5km→22:36占冠駅22:40→22:54トマム(☆)

▽2日目
トマム駅08:26→08:49新得駅→徒歩6.4km→10:03ヨークシャーファーム(☆1,000円)→徒歩6.4km→新得駅13:04→14:11帯広駅14:30→14:36札内駅→徒歩2.8km→イタガキベーカリー付近→タクシー1.8km、960円→白鳥大橋北岸→徒歩1.1km→15:20ごろ十勝が丘公園

旭川空港を11時に出発して、千代ヶ岡駅11時57分の列車に乗れたのは堅調なスタートでした。千代ヶ岡駅は11時04分発もありますが、初手からタクシーで急がなければ間に合わないので、現実的には乗車不可能とみておきます。

美瑛の「絶景」ミッションはややハードでしたが、自転車を駆使し、おおむね4時間程度で片づけています。

問題は富良野駅。ここで、トマムへ近づける根室線が荒天で運休となっていて、行き詰まります。やむを得ず、下金山駅まで19.3kmを歩き、タクシーにめいっぱい乗り、さらに4kmも歩いて占冠駅に至るという強行軍で、なんとか乗り切りました。

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根室線が通常運行だったら

仮に、根室線が通常運行だったらどうなっていたのでしょうか。

▽1日目
美瑛駅15:13→16:01富良野駅16:48→17:19金山駅→タクシー20km、概算7,210円→占冠駅20:06→20:19トマム駅(☆1,000円)

このように、金山駅まで列車に乗り、占冠駅までの20kmをタクシーでつなぐことになります。

この乗り継ぎでもタクシー代を7,000円以上使ってしまいますが、全く歩かずにトマム駅まで到達できます。時間的には余裕がありますので、一部区間を歩いて、タクシー代を節約することもできたでしょう。

それでも、トマム駅にはバスチームより先着し、1,000円のボーナスを獲得できます。したがって、少なくとも3,500円程度、節約すれば5,000円程度のタクシー代を残して2日目を迎えることができたはずです。

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通常運行の2日目

鉄道チームの1日目が通常運行で、タクシー代を残せれば、2日目のルート取りがラクになります。

ヨークシャーファームから新得駅へタクシーを使うと仮定すると、以下のようになります。

▽2日目
トマム駅08:26→08:49新得駅→徒歩6.4km→ヨークシャーファーム(☆1,000円)→タクシー6.4km、概算2,440円→新得駅11:24→12:14帯広駅12:26→12:31札内駅→徒歩+タクシー計5.7km→13:00ごろ十勝が丘公園

新得~ヨークシャーファーム間の片道でタクシーを使えますから、新得駅を11時24分に出発する帯広行き列車に間に合います。札内駅から最後のタクシー代をつぎ込めば、13時ごろにはゴールできていたでしょう。

現実には、バスチームがヨークシャーファームにタクシーを呼んでもすぐには来なかったので、鉄道チームが上記の乗り継ぎを実現できたかは定かではありません。その点では理想解にとどまるかもしれませんが、時刻表上は実現可能な最速解といえます。

なんであれ、鬼軍曹がこのルートを取れなかったのは列車の運休のためであり、不運というほかありません。

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新夕張ルート

根室線が運休しているのであれば、大回りをして新夕張方面へ回り込めばいいのでは、と考える方もいるでしょう。もし、鬼軍曹が美瑛駅で根室線運休の情報を得て、旭川駅から新夕張駅を目指していたら、時刻表上は次のように乗り継げます。

▽1日目
美瑛駅15:31→16:05旭川駅16:12→17:54岩見沢駅19:38→20:27追分駅→タクシー25.4km、概算8,740円→新夕張駅22:19→22:54トマム駅

函館線・室蘭線を乗り継いで追分駅に至り、タクシーで新夕張駅に達します。新夕張~トマム間は、特例により普通乗車券で特急に乗車できますので、実際ルートと同じ時刻にトマム駅に到着できます。

タクシー代9,000円程度を投じますが、徒歩区間はありません。すなわち、新夕張ルートなら、富良野~下金山間20kmの徒歩を免れるわけです。

ただ、ロケ当日は、北海道各地が局地的な豪雨に見舞われていたようです。鉄道の運行障害は、根室線富良野以南だけではなかったようで、他路線でも運休が生じています。そのため、上記の通りに乗り継げたかといえば、難しかったでしょう。つまり、新夕張ルートは、机上論にとどまると思われます。

なお、富良野駅で根室線の運行障害に気付いた場合、その時点で滝川駅へ向かっても、新夕張ルートで当日中にトマムに着くことは時刻表上もできません。

その場合は、岩見沢や追分などで一泊し、トマムに翌朝8時26分に着くのが最速となります。もちろんこれも、他路線に運行障害が生じていないという前提の机上論です。

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富良野に泊まっていたら

実際ルートに戻ります。富良野で足止めを食らった鉄道チームが、仮に、1日目に無理にトマムを目指さず富良野に宿泊したらどうなっていたでしょうか。

翌朝、列車の運行再開を待って出発した場合、以下のようになります。

▽2日目
富良野駅07:17→07:48金山駅→タクシー20km、概算7,210円→占冠駅09:20→09:34トマム駅10:46→11:09新得駅→タクシー6.4km、概算2,440円→ヨークシャーファーム→徒歩6.4km→新得駅14:34→16:47札内駅

このように、富良野駅を始発列車で出発した場合、占冠駅に到着するのが08時10分ごろ。乗り継いでトマムに到着するのは09時34分です。

しかし、トマムの夏期のゴンドラ営業時間は朝8時までです。したがって、この時間に着いても、通常営業なら時間切れでリタイアとなります。

また、トマムでは、駅からゴンドラ乗り場まで片道1.7kmあり、急いだとして往復30分です。ゴンドラは片道13分なので、往復26分。ゴンドラが臨時営業していて、ミッションを最短で片付けたとしても、トマム駅10時46分発に間に合うかは微妙です。

ゴンドラが営業していて、間に合ったと仮定し、新得駅~ヨークシャーファームの片道でタクシーを使ったとしても、最終局面の新得駅発の列車は14時34分発になってしまいます。札内駅到着は16時47分で、ゴールは17時を回るでしょう。

バスチームのゴールが16時ごろですので、鉄道チームは1時間以上の差を付けられて、敗退していたことになります。

2日目に工夫の余地は?

鉄道チームの2日目は、トマム駅から新得駅にいたり、徒歩でヨークシャーファームを往復します。

タクシー代を残していない鉄道チームにとっては、これが最速の乗り継ぎで、これより早く進むことはできません。

1日目にタクシー代を使い切ってしまうと、新得発13時04分発より速い列車に乗るのは不可能で、2日目に工夫の余地はなさそうです。

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最終局面まとめ

最終局面の乗り継ぎをまとめると、以下のような設定になっていました。

▽バスチーム
A 新得駅11:30→13:02帯広駅13:26→13:54十勝川温泉
B 鹿追役場13:02→14:02帯広駅14:33→15:01十勝川温泉
C 鹿追役場14:02→15:02帯広駅15:26→15:54十勝川温泉
E 鹿追役場15:22→16:28帯広駅18:11→18:39十勝川温泉
E 新得駅15:25→17:03帯広駅 18:11→18:39十勝川温泉
※十勝川温泉からゴールまで約1km

▽鉄道チーム
S 新得駅11:24→12:14帯広駅12:26→12:31札内駅
B 新得駅13:04→14:11帯広駅14:30→14:36札内駅
D 新得駅14:34→16:47札内駅
E 新得駅16:41→18:05札内駅
※札内駅からゴールまで約6km

列車の運休がなければ、鉄道チームは最速なら「S」でのゴールが可能でした。この場合、バスチームには、つけいる隙がありません。したがって、両チームが最善を尽くすと鉄道チームが勝つため、本質的には、今回は鉄道チームに有利な設定になっていたといえます。

しかし、現実には鉄道チームは列車運休に見舞われ、「B」が最速となりました。このため、バスチームは「A」を実現できていれば勝利できていました。

ところが、バスチームは、ヨークシャーファームでタクシーが狙った時刻に来なかったことで「A」を実現できず、西達布ルートを見落としたことで「B」にも持ち込めませんでした。最後に鹿追まで歩いたものの「C」にとどまってしまい、鉄道チームに及びませんでした。

バスチームが「C」の場合、鉄道チームが「D」以下でないと勝てません。鉄道チームが「D」となるのは富良野泊だった場合です。

つまり、鉄道チームからみると、富良野泊を選んでいたら、トマムのゴンドラが営業していたとしても、勝利できませんでした。富良野から下金山まで20kmの強行軍は、報われたわけです。

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富良野泊で勝てる条件

ちなみに、鉄道チームが富良野泊を選んで「D」だった場合でも、バスチームが「E」ならば、勝利できます。

現実のバスチームは、発車17分前に鹿追(中市街)のバス停に到着していますので、一歩間違えれば「E」になる可能性もありました。ルイルイが鹿追ルートに気付かないというミスを犯し、新得駅でひたすら次発のバスを待ったとしても、同様に「E」となります。

そう考えると、列車運休で富良野泊でも、ゴンドラが営業していれば、鉄道チームに勝利の芽が残っていなかったわけではなかったといえます。

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まとめてみると

バスチームの敗因は、直接的にはヨークシャーファームで、タクシーが思う時間に来なかったことです。その点では、バスチームに不運な面もありました。

ただ、バスチームには、勝利を引き寄せる二つのチャンスがありました。

ひとつは、富良野から西達布行きのバスです。これに乗っていれば、2日目のタクシー代に余裕ができ、悪くても互角の勝負、うまくいけば完勝できていました。

もうひとつが、2日目、ヨークシャーファームへのアプローチです。ここでタクシーを使って先着していれば、勝利の可能性が一気に高まりました。

タクシーは新得駅からでもサホロからでもいいのですが、先着できていれば、そのぶんタクシーを呼ぶ時間も早まっていたので、新得駅11時30分発のバスに乗れていた可能性が高まりますし、鉄道チームに最後の資金を与えない効果もありました。

要するに、今回は、本質的には鉄道チーム有利の設定だったところ、荒天でバスチーム有利に転じたにもかかわらず、タクシーが来ないという不運で互角となったといえます。最終的には、ルイルイが細かいミスをしたことで、勝利の女神は鬼軍曹の上に輝きました。

というよりも、鉄道チームの奮闘をみれば、今回ばかりは、鬼軍曹の執念が勝利を呼び寄せた、と受け止めたほうがよいのでしょう。

これで、両チーム8勝8敗の五分となりました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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