「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第16弾 旭川~十勝を分析する。見逃された乗り継ぎルート

小走りなんてしない

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」の第16弾が放送されました。太川陽介率いるバスチームと、村井美樹率いる鉄道チームが、北海道旭川空港から十勝が丘公園で競う企画です。勝敗を分析してみました。

以下はネタバレ100%です。また、記事公開後に加筆・修正することがあります。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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武田梨奈、ねおが登場

「ローカル路線バスVSローカル鉄道 乗り継ぎ対決旅」は、ローカル路線バスを乗り継ぐチームと、ローカル鉄道を乗り継ぐチームが対決するテレビ番組です。

2023年7月27日に放送された第16弾では、「ルイルイ」こと太川陽介率いるバスチームと、「鬼軍曹」こと村井美樹率いる鉄道チームが、北海道東神楽町の旭川空港から、同音更町の十勝が丘公園で乗り継ぎ対決しました。

途中のチェックポイントは、美瑛、トマム、ヨークシャーファーム(新得)の3箇所です。

バスチームのメンバーは、太川陽介、武田梨奈、豊ノ島。鉄道チームのメンバーは村井美樹、ねお、お見送り芸人しんいちです。

バスチームが使っていいのはローカル路線バスのみ。鉄道チームが使っていいのはローカル鉄道のみです。ただし、両者とも1万円までタクシーが利用できます。また、チェックポイントに先着するとボーナス1,000円がもらえるというルールも設定されています。

バスVS鉄道対決旅第16弾
Ⓒテレビ東京

ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 バスvs鉄道 第16弾 北海道・旭川~十勝 北の大地で鬼軍曹が大号泣SP!
【出演】太川陽介、武田梨奈、豊ノ島、村井美樹、ねお、お見送り芸人しんいち
【放送日】2023年7月26日(水) 18時25分~21時00分(テレビ東京系列、同時配信あり)

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バスチームの実際ルート

まずは、ルイルイが率いるバスチームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。☆はチェックポイント、金額は獲得ボーナスです。

▽1日目
旭川空港11:40→11:56美瑛駅(☆1,000円)12:11→12:37白金温泉13:07→13:38美瑛駅14:36→15:22富良野駅前17:15→18:26 6号線→徒歩8km+タクシー17km、5,900円→トマム(☆1,000円)

▽2日目
トマム駅07:35→07:56落合駅前/落合08:26→08:55サホロリゾート前→徒歩4.5km→10:06ヨークシャーファーム(10:47クリア)11:23→タクシー15km、6,000円+徒歩6km→13:45中市街14:02→15:02帯広駅15:26→15:54十勝川温泉→徒歩0.6km→16:00十勝が丘公園

最終局面では、鹿追町の中市街バス停から帯広駅行きに乗り、乗り継いで十勝川温泉に向かっています。番組では正確な時刻は放送されませんでしたが、時刻表をたどると、十勝川温泉バス停の到着が15時54分です。十勝が丘公園までは約0.6kmなので、ゴール時刻は16時すぎと推定できます。


※Googleマップのルートは概略です。実際とは異なります。配信先では表示されない場合があります。

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鉄道チームの実際ルート

つぎに、鬼軍曹率いる鉄道チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻を示しています。番組ではっきり示されなかった時刻は筆者による推定で、距離はGoogleマップにより測定しています。

▽1日目
旭川空港11:00→徒歩4km→11:50千代ヶ岡駅11:57→12:07美瑛駅(☆)→自転車7km、1,200円→セブンスターの木13:57→自転車6km→14:41ラーメン店→1km→美瑛駅15:13→16:01富良野駅17:19→徒歩19.3km→下金山駅21:19→タクシー→23km、8,780円→徒歩4.5km→22:36占冠駅22:40→22:54トマム(☆)

▽2日目
トマム駅08:26→08:49新得駅→徒歩6.4km→10:03ヨークシャーファーム(☆1,000円)→徒歩6.4km→新得駅13:04→14:11帯広駅14:30→14:36札内駅→徒歩2.8km→イタガキベーカリー付近→タクシー1.8km、960円→白鳥大橋北岸→徒歩1.1km→15:20ごろ十勝が丘公園

1日目、本来なら富良野駅から東鹿越駅までJR根室線を利用できるはずですが、ロケ当日は荒天のため運休。救済措置はなく、結局、徒歩とタクシーを乗り継いで、なんとか当日中にトマムに到着しました。

2日目の最終局面は、新得駅13時04分の列車に乗り、札内駅に14時36分着。約6km離れた十勝が丘公園まで、タクシーと徒歩で急ぎました。ゴール時刻は15時20分ごろのようです。

最終的に、約50分差で鉄道チームが先着しました。鉄道運休という不運を乗り越えての勝利です。

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バスチームの検証

では、両チームのルートを検証してみましょう。最初はバスチームです。

バスチーム一行は、旭川空港11時40分発のバスに乗り、美瑛駅に11時56分に到着。先着ボーナス1,000円を獲得しました。鉄道チームがバスチームより早く到着することは、ほぼ不可能なので、この1,000円は、当初からバスチームに加算される「設定」になっていたといえます。

ミッション選択では「温泉」を引きました。地元の方のおすすめの場所を聞くという体裁ですが、美瑛町の温泉と言えば白金温泉なので、「温泉」を引いた場合の白金温泉往復も「設定」だったといえます。

白金温泉で乗り遅れていたら

一行は白金温泉での折り返し時間約30分うちに、入浴ミッションをこなして美瑛に戻りました。もしここで、乗り遅れていたらどうなっていたでしょうか。

実際ルートに即して進むと、以下のようになります。

▽1日目
白金温泉16:43→17:14美瑛駅前18:11→18:57富良野駅前

▽2日目
富良野駅前09:25→10:33 6号線→徒歩8km+タクシー17km、5,900円→13:00ごろトマム(☆)14:40→15:29落合15:33→16:02サホロリゾート前

富良野駅に19時頃に到着し、その先へ進むバスはありません。したがって富良野に泊まることになります。2日目を富良野スタートとした場合、サホロリゾート到着が16時ごろとなり、このあたりでタイムアップとなっていた可能性が高そうです。

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白金温泉の救済ルート

ただ、白金温泉乗り遅れの場合の、救済ルートがないわけではありません。

白金温泉で、美瑛行きのバスに間に合わないとわかった段階ですぐにタクシーを手配すれば、以下のような方法もあります。

▽1日目
旭川空港11:40→11:56美瑛駅12:11→12:37白金温泉→タクシー8.3km、概算3,160円→吹上いこいの広場13:52→14:26大町1丁目/上富良野役場前14:58→15:22富良野駅前

このように、吹上温泉(吹上いこいの広場)までタクシーに乗れば、十勝川温泉からやってきた上富良野行きのバスに乗車できます。上富良野では、実際ルートの富良野行きバスを捕まえられます。

この「吹上ルート」なら、白金温泉を13時30分頃までに出られれば、吹上発のバスに間に合います。したがって、白金温泉の滞在時間を20分程度、延ばすことができたでしょう。

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白金温泉からタクシーで戻ったら

白金温泉から美瑛まで直接タクシーで戻る手もあります。その場合は、白金温泉を14時頃に出れば、美瑛で実際ルートのバスに間に合います。しかし、タクシーの乗車距離が約20kmにも達します。

▽1日目
美瑛駅12:11→12:37白金温泉14:00→タクシー20km、概算7,300円→美瑛駅14:31→15:22富良野駅前

序盤でタクシー代を7,000円も費やしてしまうわけです。そうなると、トマムやヨークシャーファームへのアクセスで苦労することになっていたでしょう。

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「ノースライナー」の存在

実際ルートに戻ります。一行は白金温泉のトンボ帰りを達成し、富良野から占冠村営バスに乗り込みます。このバスは占冠駅行きで、次のチェックポイントであるトマムには行きません。

そのため、トマムに最も近いバス停で降りて、徒歩とタクシーでトマムに到達しました。タクシーの乗車距離は約17kmで、5,900円も使っています。

この区間で、もう少しタクシーの乗車距離を減らす方法はないのでしょうか。じつは、旭川~帯広間を結ぶ「ノースライナー」という長距離バスを使えば、時刻表上は次のように乗り継げます。

▽1日目
白金温泉13:07→13:38美瑛駅14:31→15:22富良野駅前16:02→16:47道の駅南ふらの→徒歩1.2km→幾寅駅前17:40→18:11トマム駅

富良野駅前で「ノースライナー」に乗り込み、南富良野町の道の駅で降車します。1.2km先に幾寅駅があり、トマム行きの占冠村営バスが発着しています。ちょうど夕方便があり、絶妙のタイミングで乗り継げます。

ただ、「ノースライナー」は事前予約制です。「バスVS鉄道対決旅」で予約制バスは必ずしも利用不可ではありませんが、今回に関しては、利用を想定していなかったように感じられます。

番組内でその理由は明かされていませんが、「ノースライナー」は、始発停留所の出発時刻前の予約を推奨しています。バスチームが富良野駅前に到着した時点では、当該「ノースライナー」は始発の旭川を出発済みで、予約タイミングが終わっていました。

空席があれば乗ることはできたかもしれませんが、テレビ番組として好ましい使い方ではありません。

「ノースライナー」を利用可にするとバスチームが有利になりすぎますし、今回は「使えない」設定だったのでしょう。

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西達布ルート

「ノースライナー」に乗れないという前提では、富良野駅から以下のようなルートも考えられます。

▽1日目
旭川空港11:40→11:56美瑛駅(☆1,000円)12:11→12:37白金温泉13:07→13:38美瑛駅14:31→15:22富良野駅前16:20→17:05西達布→タクシー12.8km、概算4,780円→幾寅駅17:50→18:21トマム駅

富良野から西達布行きのバスに乗り、終点にタクシーを呼んで幾寅駅に抜けるルートです。

この場合、タクシー乗車距離は12.8kmで、実際ルートの占冠~トマムより5km程度短くなります。実際ルートではさらに4kmほど歩いていますが、西達布ルートでは、歩かずともタクシーの乗車距離が5km短いのです。

西達布ルートは、「ローカル路線バスの旅Z」第14弾(ニセコ→知床)で、田中・羽田一行が利用しています。したがって、富良野駅の情報収集で発見可能なルートですし、実際にルイルイは案内所で聞き出しています。

幾寅駅からのバス時刻表も手に入れていましたので、ルイルイが「西達布→幾寅」のつながりに気付けば、実現できた乗り継ぎでした。これを見逃してしまったことが、バスチーム敗退の遠因となっていきます。

【続きはこちら】
「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第16弾 旭川~十勝を分析する。【2】完勝ルートは存在した

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