ANA新ブランド「エアージャパン」はどこへ行く? LCCではない!

中途半端な気もしますが

ANAが新たな中距離国際線ブランドとして「エアージャパン」を立ち上げました。「LCCではない」と強調する新エアラインは、どこへ向かうのでしょうか。

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良いところを組み合わせ

ANAホールディングスと傘下のエアージャパンは、中距離国際線を運航する新ブランドの名称を「AirJapan」(エアージャパン)に決定したと発表しました。

エアージャパンは、基本的な運賃は格安航空会社(LCC)並みに抑え、ANAなどフルサービスキャリア(FSC)のようなサービスをオプションとして提供するのが特徴です。同社は、「フルサービスでもLCCでもない、双方の良いところを組み合わせながら全く新しい空の旅を創出する」と宣言しました。

機材はANAが運航してる国際線用のボーイング787-8型機を転用し、2クラス、300席程度とします。就航予定は2023年下期です。

エアージャパンのロゴも公開しました。ブランドカラーは日本の伝統色「藍色」と「曙色」の組み合わせたもので、藍色は、藍染の巧みで丁寧な技法を表現し、曙色は、春の「日の出」の色から、心地よい暖かさを表現しています。

エアージャパン
画像:ANA

第3ブランド

エアージャパンはANAグループの航空会社で、これまでANAブランドの路線のうち、アジアやリゾートなど近距離路線の運航を担ってきました。これにくわえて、「エアージャパン」という独自ブランドを立ち上げることになります。

ANAグループとしては、ピーチ・アビエーションに続く第3ブランドとなります。エアージャパンは成田を拠点に東南アジアやオセアニアに就航し、LCC的な格安運賃とFSC的なサービスを、一つの機体で並立させることを目指します。

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快適性を重視

それにしても意外だったのは、ANAがエアージャパンを「LCCではない」と強調していることでしょう。

ANAが中距離新ブランド戦略を初めて公表したのは、2020年10月の「ANAグループの新しいビジネス・モデルへの変革について」という資料です。

このときは、ANA、ピーチに続く第3ブランドを「LCC」「シンプル、ボーイング787、2クラス」と規定。「中距離東南アジア・豪州路線を中心に拡大が見込まれるレジャー需要獲得を担う新たな低コストエアライン」と定義していました。

ANA グループの新しいビジネス・モデルへの変革について
「ANA グループの新しいビジネス・モデルへの変革について 」より

しかし、最終的に、ANAはエアージャパンをLCCとはせずに、「LCCとFSCの良いとこどり」という立ち位置に据えたわけです。その理由として、シートピッチをピーチより広くするなど、「快適性」を重視していることなどを挙げました。

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LCCそのもの?

とはいえ、基本運賃を低価格に設定し、サービスをオプションで追加する仕組みは、LCCそのものです。また、中長距離国際線のシートピッチは、LCCでも広めに取られていることが多く、エアージャパンが特別ではありません。そう考えると、ANAがエアージャパンを「LCCではない」と強調する理由がわかりません。

可能性として考えられそうなのは、ANAブランド路線の移管を視野に入れていることでしょうか。ANAブランドで運航している路線の一部をエアージャパンに移管する際、客単価の高いビジネス客を逃さないために、移管先を「LCC」と呼ぶのを避けたのではないか、ということです。

その場合、エアージャパンは、「ビジネス客には高く、レジャー客には安く」という価格設定で、価格に見合ったサービスをそれぞれ提供する形になりそうです。上級クラスでANA本体並みのサービスを提供し、エコノミークラスで低価格を提供するのでしょう。

世界のフルサービスキャリアでは、エコノミークラスの一部で受託手荷物料金を含まない運賃を設定するなど、LCC的な課金方式を取り入れている会社もあります。ANAは、「プレミアムエアライン」と位置づけたANAブランドではそれをせずに、第3ブランドで取り入れたとも解釈できます。

このあたりは筆者の想像なので、確かなことはわかりません。なんであれ、「LCCとFSCの良いとこどり」というのは、立ち位置としては中途半端な気もしますが、中庸を好む日本人には案外受けるのではないでしょうか。(鎌倉淳)

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