JR各社が2023年お盆の列車利用状況を発表しました。台風7号の上陸で東海道・山陽新幹線は大混乱に見舞われましたが、全国的には新型コロナ禍からの回復傾向がみられました。詳細をランキング形式で見ていきましょう。
お盆の新幹線利用状況
JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表しています。当サイトでは、JR各社が発表した統計をまとめて、各期ごとにランキングにしています。
今回は、「2023年お盆の新幹線利用者数ランキング」です。2023年8月10日~17日の8日間の統計です。
順位 | 路線名 | 区間 | 利用者数(万人) | 対前年比 | 対18年比 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 東海道新幹線 | 新横浜~静岡 | 268.5 | 125% | 86% |
2 | 山陽新幹線 | 新大阪~西明石 | 138.6 | 131% | 85% |
3 | 東北新幹線 | 大宮~宇都宮 | 109.8 | 144% | 85% |
4 | 山陽新幹線 | 岡山~広島 | 107.9 | 133% | 87% |
5 | 上越新幹線 | 大宮~高崎 | 95.8 | 140% | 85% |
6 | 東北新幹線 | 那須塩原~郡山 | 95.4 | 149% | 86% |
7 | 山陽新幹線 | 広島~新山口 | 77.4 | 132% | 88% |
8 | 山陽新幹線 | 新山口~小倉 | 70.9 | 134% | 91% |
9 | 山陽新幹線 | 小倉~博多 | 64.3 | 131% | 95% |
10 | 北陸新幹線 | 高崎~軽井沢 | 53.5 | 139% | 89% |
11 | 東北新幹線 | 古川~北上 | 49.0 | 154% | 87% |
12 | 九州新幹線 | 博多~熊本 | 30.6 | 153% | 92% |
13 | 北陸新幹線 | 上越妙高~糸魚川 | 26.5 | 146% | 93% |
14 | 上越新幹線 | 越後湯沢~長岡 | 25.0 | 156% | 84% |
15 | 東北新幹線 | 盛岡~八戸 | 23.5 | 152% | 91% |
16 | 九州新幹線 | 熊本~鹿児島中央 | 16.3 | 161% | 94% |
17 | 山形新幹線 | 福島~米沢 | 9.5 | 162% | 84% |
18 | 西九州新幹線 | 武雄温泉~長崎 | 7.7 | 205% | 96% |
19 | 秋田新幹線 | 盛岡~田沢湖 | 7.2 | 156% | 87% |
20 | 北海道新幹線 | 新青森~新函館北斗 | 6.7 | 160% | 88% |
21 | 山形新幹線 | 山形~新庄 | 2.6 | 166% | 79% |
上記のランキングは、JR各社から広報発表された内容をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。
新型コロナウイルス感染症の影響をみるため、2018年比も掲載しました。
東北・九州で好調
2022年のお盆は、11日の山の日が金曜日で、13日までの3連休となりました。16日まで休みなら6連休、17日、18日も休めば10連休と、日並びに恵まれたお盆でした。新型コロナウイルス感染症の影響は残ったものの、各新幹線とも利用者数は前年比で伸びています。
とくに好調だったのは、東北・北海道や九州方面で、各路線とも対前年比150~160%台に乗せました。関東近郊の新幹線も堅調で、対前年比140%前後の数字を記録しています。
東海道・山陽新幹線は伸び悩み
一方、台風7号が近畿地方を直撃したことで、東海道・山陽新幹線は長時間の運休を余儀なくされ、利用は伸び悩みました。
なかでも東海道新幹線は対前年比125%で、唯一の120%台です。山陽新幹線も130%台前半にとどまりました。
それでも、台風であれだけ停まっても対前年比で100%超えというのは、堅調というほかありません。遅延・運休は出たものの、とにかく運べるだけ運んだ、ということでしょうか。
ただし、2時間以上の遅延が続出したことから、特急料金が払い戻しとなった列車は多いことでしょう。したがって、JRの収益面では、数字以上に厳しい結果に終わったかもしれません。
西九州新幹線は?
今回の統計では、お盆として初めて西九州新幹線が登場しました。利用者数は7.7万人で、「山形新幹線未満・秋田新幹線以上」にランキングされました。
在来線だった前年と比べると205%となっていて、利用者は倍増した計算です。ただし、この数字は特急「かもめ」諫早~長崎間の利用実績と比較したものなので、やや多めに出ているようです。
コロナ前と比べると
対2018年比では、九州新幹線が92~94%程度と高くなっています。山陽新幹線運休の余波を受けながらの数字ですから好調で、九州地方では「コロナ前」まで需要が戻りつつあるようです。
一方、東北・北海道方面は85%前後の路線が多く、コロナ前には及びません。対前年比では高い数字を出したものの、コロナ前と比べると全国平均並みです。北日本ではコロナからの回復が遅かった、ということでしょうか。
東海道新幹線は対2018年で86%です。「のぞみ12本ダイヤ」をフル稼働する体制だっただけに、台風が来なければ「コロナ越え」が見えたかもしれないだけに、残念です。(鎌倉淳)