JR各社が2022年お盆の列車利用状況を発表しました。新型コロナに加え悪天候もあって東北方面で不振でしたが、山陽新幹線系統で回復傾向がみられました。詳細をランキング形式で見ていきましょう。
お盆の新幹線利用状況
JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表します。当サイトでは、JR各社が発表した「お盆の利用状況」の情報をまとめて、「お盆の新幹線利用者数」をランキングにまとめてみました。
2022年8月10日~17日の8日間の統計です。
順位 | 路線名 | 区間 | 利用者数(万人) | 対前年比 | 対18年比 |
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1 | 東海道新幹線 | 新横浜~静岡 | 215.6 | 209% | 69% |
2 | 山陽新幹線 | 新大阪~西明石 | 115.1 | 220% | 65% |
3 | 山陽新幹線 | 岡山~広島 | 81.0 | 218% | 65% |
4 | 東北新幹線 | 大宮~宇都宮 | 75.8 | 198% | 59% |
5 | 上越新幹線 | 大宮~高崎 | 68.3 | 191% | 61% |
6 | 東北新幹線 | 那須塩原~郡山 | 63.9 | 210% | 57% |
7 | 山陽新幹線 | 広島~新山口 | 58.5 | 216% | 67% |
8 | 山陽新幹線 | 新山口~小倉 | 53.1 | 218% | 68% |
9 | 山陽新幹線 | 小倉~博多 | 49.1 | 209% | 77% |
10 | 北陸新幹線 | 高崎~軽井沢 | 38.5 | 191% | 61% |
11 | 東北新幹線 | 古川~北上 | 31.9 | 208% | 56% |
12 | 九州新幹線 | 博多~熊本 | 20.0 | 169% | 61% |
13 | 北陸新幹線 | 上越妙高~糸魚川 | 18.1 | 236% | 64% |
14 | 上越新幹線 | 越後湯沢~長岡 | 16.0 | 205% | 54% |
15 | 東北新幹線 | 盛岡~八戸 | 15.5 | 200% | 60% |
16 | 九州新幹線 | 熊本~鹿児島中央 | 10.1 | 226% | 59% |
17 | 山形新幹線 | 福島~米沢 | 5.9 | 227% | 52% |
18 | 秋田新幹線 | 盛岡~田沢湖 | 4.6 | 229% | 56% |
19 | 北海道新幹線 | 新青森~新函館北斗 | 4.2 | 212% | 55% |
20 | 山形新幹線 | 山形~新庄 | 1.6 | 228% | 47% |
上記のランキングは、JR各社から広報発表された内容をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。
新型コロナウイルス感染症の影響をみるため、前年比と2018年比を掲載しました。
山陽方面で回復
2022年のお盆は、11日の山の日が木曜日で、金曜日を挟んで13、14日の週末と続く飛び石連休になりました。中日の15日が月曜日だったことで、5連休が取りやすい日並びです。新型コロナウイルス感染症の影響は残ったものの、各新幹線とも利用者数は前年比で大幅に伸びました。
それでも、コロナ前の2018年度に比べると厳しく、全体的には6割程度の回復にとどまっています。東日本を中心に、前線停滞や台風8号の大雨の影響もあり、直前のキャンセルも多かったようです。
対前年比で高い伸び率となったのは山陽方面です。山陽新幹線は全区間で210~220%という高い数字を記録。小倉~博多間は、2018年比で77%と全区間最高を記録しました。
北日本方面が不調
そのほかに対前年比で高い数字となったのは、北陸新幹線(上越妙高~糸魚川)の236%や、秋田新幹線の229%、山形新幹線の227~228%、九州新幹線(熊本~鹿児島中央)の226%といったあたりです。
ただ、これらのエリアで景気がいいという話ではなく、新型コロナで旅行控えが深刻だったエリアが多く、その反動にも感じられます。
東北・北海道、上越方面の新幹線は、対2018年でみると伸び悩みました。東北新幹線(大宮~宇都宮)が59%、上越新幹線(大宮~高崎)が61%。北海道新幹線も55%です。いずれも大雨の影響を受けたとみられます。
「ひかり」の戻りが鈍く
最も利用者の多い東海道新幹線の利用者数は209万人で、その輸送ボリュームは相変わらず、圧倒的です。
列車ごとの対2018年比を見ると、「こだま」61%、「ひかり」58%、「のぞみ」73%と「のぞみ」の回復の割合が高く、「ひかり」とは15ポイントも差がついています。
「のぞみ」の回復は、東名阪間の旅行需要がかなり回復してきたことを示しているのでしょう。
一方、「ひかり」の伸び悩みは、中距離客の利用者回復が遅れていることと、ジャパン・レールパス利用者の外国人観光客が戻っていないことを示しているのでしょうか。(鎌倉淳)