東京臨海副都心BRTの事業計画が固まる。2019年に新橋~豊洲間で運行開始、車内で運賃収受なし

東京都は、都心と臨海副都心を結ぶバス高速輸送システム(BRT)の事業計画を発表しました。2019年に新橋駅~勝ちどき・豊洲駅を結ぶ2系統で運行を開始します。2020年度の東京オリンピック後に路線を増やし、将来的には東京テレポートや東京駅など13の停留所をつなぐ4系統を運行する構想です。

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開業時停留所は5カ所

都が発表した事業計画によりますと、臨海副都心BRTは2019年に勝ちどきルート(新橋駅~勝ちどき)と、晴海・豊洲ルート(新橋駅~豊洲駅)間の2系統で運行を開始します。2019年度内に予定される虎ノ門バスターミナル開業後は乗り入れをします。停留所は新橋駅、勝ちどき、晴海三丁目、晴海二丁目、豊洲駅の5カ所です。

2015年3月に発表された「基本計画に向けた中間整理」では、運行開始当初のルートとして新橋駅~国際展示場駅の「幹線ルート」が例示されていましたが、事業計画では豊洲ルートへ変更となりました。路線長としては「中間整理」より縮小したと言えます。BRTが走る環状2号線は、2019年度には暫定開通のため、運行本数を絞るためかもしれません。

臨海副都心BRT路線図

「幹線ルート」は2020年開業

環状2号線は、2020年早期に全線開通予定です。そのためか、新橋駅~国際展示場駅間の「幹線ルート」は、2020年の東京オリンピック終了後の運行開始とされました。2020年からは、上記2系統に幹線ルートを含めた3系統での運行となります。

さらに、選手村の再開発が終了した後は、新橋駅~晴海五丁目(選手村)への路線を加えた4系統の運行となります。将来的には、銀座、東京駅や東京テレポート、新客船埠頭への延伸も目指します。

所要時間については明記されていませんが、新橋~晴海三丁目で10分程度、新橋~有明テニスの森間で20分程度が目安になるようです。

臨海副都心BRT路線図

最大輸送量も縮小

2019年の運行開始時の運行本数は、新橋駅~勝ちどき間で、日中、ラッシュ時とも片道毎時6便程度。ラッシュ時でも10分間隔となりますので使いにくく、混雑時には乗れない恐れすらあり、試験運転の域を出ない運行本数といえます。

2020年のオリンピック終了後の本格運行時には、ラッシュ時毎時15便、日中12便の運行となり、全体で4~5分間隔となります。選手村再開発後はラッシュ時毎時20便に増便され、全体で3~5分間隔となります。

とはいえ、これでも最大輸送量は毎時1,500人程度。「中間整理」では最大毎時4,400人+αとしていたため、大幅な計画縮小に見えなくもありません。運行時間帯は新橋発5時台~24時台で、ほぼ地下鉄並みとなりました。

臨海副都心BRT運行本数

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停留所は「駅」に

停留所は、地域の生活拠点となることをめざし「駅」としての機能と構造にします。すなわち、上屋を設置し、情報提供機能を持たせ、高齢者へ配慮したバリアフリーとします。プラットホーム内にはベンチや情報案内装置等も設置します。

臨海副都心BRT停留場

停留所は下図の通りです。新橋の停留所はゆりかもめ新橋駅下付近、勝ちどき停留所は環状二号線と清澄通りの交差点付近、豊洲駅や市場前駅、有明テニスの森駅は、既存のゆりかもめ駅近くに設置されます。晴海二丁目は晴海通り沿いに交通ターミナルを設置し、車庫も併設します。

臨海副都心BRT停留場位置

専用レーンは「検討」

BRTで速達性・定時性を確保するためには、専用レーンの設置が不可欠です。これについては、「道路交通の状況や連節バスの軌跡等を踏まえ、BRT の優先施策について今後検討していきます」と記しているのみで、具体的な内容は明かされていません。

少なくとも、環状2号線が暫定供用となる2019年時点では、専用レーンが設定されたとしても限られた区間になりそうです。

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燃料電池車は単車型のみ

車両は単車型と連節型の2種類を使用。単車型は全数で燃料電池バスを導入する予定です。連節型車両については、現在は低公害型の車両が国内メーカーにはないようで、都としては国内メーカーに対し2020 年までの開発を求め、導入したい考えです。将来的には、燃料電池連節バスの導入も目指します。

運賃収受については、交通系ICカード(PASMOなど)の導入を予定。ICカードを持たない利用者に対しては、乗車券をバス停留所などで事前販売するなどし、車内での現金収受を実施しないシステムを検討しています。

これにより、従来のバスシステムとは異なるスムーズな乗降を実現し、速達性・定時性の向上を図ります。

車内では、ターミナル到着予想時刻の案内、鉄道遅延情報、停留施設周辺の地図情報等を表示することを目指します。また、訪日外国人旅行者向けに、車内などでWi-Fi を提供する予定です。各種案内は4か国語(日・英・中・韓)表記を基本とします。

専用レーンの確保に期待

今回発表された事業計画では、2015年に出された「中間整理」より、内容が後退したとみられる部分もあります。運行開始当初の路線は短めで、運行本数も多くはありません。

東京臨海副都心BRT計画が成功するかは、ひとえに専用レーンをどこまで確保できるかにかかっているといっても過言ではありません。道路混雑しやすい都内で専用レーンが確保されなければ、定時性の確保ができず、利用者の支持は得られないでしょう。

事業計画で、その肝心な点について「今後検討」となってしまっていることは、やや残念です。一方、車内運賃収受のない仕組みなど、新しいバス高速輸送めざしている点は評価に値するでしょう。

首都東京でのBRTの成否は、全国に影響を及ぼします。長い区間での専用レーンの確保を期待したいところです。(鎌倉淳)

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