近鉄橿原線の八木西口~畝傍御陵前間に計画されている「医大新駅」の整備が具体化しています。奈良県は新駅周辺の駅前広場やアリーナなどの整備事業者を募集しました。新駅は2030年度の開業を目指しており、長年の構想が実現に向けて進んでいます。
駅前整備を公募
奈良県は、近鉄橿原線の「(仮称)医大新駅」周辺のまちづくり事業について、民間事業者の募集を開始しました。新駅の東西に整備する駅前広場やアクセス道路、駐輪場などに加え、アリーナの建設・運営や民間施設の開発を一体的に進めるものです。
駅前広場にはロータリーや歩行者空間を設け、新駅と周辺施設を結ぶ交通環境を整えます。アリーナの建設・運営費などを含めた入札の予定価格は約383億8,100万円で、このうち駅前広場などの整備分が約15億8,200万円です。
今回の入札には、新駅の駅舎やホーム、東西自由通路の建設は含まれません。これらは別事業として整備する計画で、今回は駅周辺の施設整備が具体化した形です。

医大前に新駅
医大新駅は、奈良県橿原市の近鉄橿原線、八木西口~畝傍御陵前間に設置する計画です。奈良県立医科大学附属病院の南側に位置し、病院へのアクセス改善と周辺のまちづくりを目的としています。
奈良県立医科大学では、キャンパスの移転や附属病院周辺の再整備が進められてきました。2025年4月には新キャンパスの供用が始まっています。こうした大学の再編にあわせて、新駅の設置が検討されてきました。
奈良県と橿原市は2015年、医大周辺のまちづくりに関する包括協定を締結しました。2022年11月には奈良県、橿原市、奈良県立医科大学、近鉄の4者が連携協定を結び、新駅の設置に向けた協議を進めることになりました。

八木西口と併存
新駅計画では、近接する八木西口駅の扱いが長く課題となっていました。
近鉄は当初、新駅を設置する条件として八木西口駅の廃止を求めていました。しかし、橿原市や地元住民は同駅の存続を求め、両駅の併存をめぐって調整が難航していました。
転機となったのは2022年です。近鉄が八木西口駅の廃止を新駅設置の条件としない方針を示し、両駅の併存が可能になりました。これによって、新駅の設置に向けた協議が進みました。
2025年3月には、奈良県、橿原市、近鉄の3者が新駅の設置に関する基本協定を締結しました。新駅は奈良県の事業として整備し、費用は県、市、近鉄が分担します。工事は近鉄が担当することになりました。
アリーナも整備
新駅周辺では、病院へのアクセス改善だけでなく、スポーツや商業などの機能を備えた新たな拠点づくりも進められています。
新駅の西側には、5,000席以上の観客席を備える「奈良県アリーナ」を建設します。2031年に奈良県で開催される国民スポーツ大会・全国パラスポーツ大会の会場として使用するほか、大会後はプロスポーツやコンサートなどにも活用する計画です。
東側では、医大附属病院の駐車場を確保しながら、商業・医療・交流機能などを備えた民間施設の導入を目指します。民間開発は事業者が独立採算で進める仕組みです。
今回の事業者募集では、アリーナと駅前広場の整備、東側の民間開発を一体的に提案することを求めています。病院利用者だけでなく、スポーツ観戦やイベントなどで訪れる人の利用も想定した駅前空間を整備する計画です。
2030年度開業へ
奈良県は、2027年2月に入札提案書類を受け付け、3月18日に開札、3月31日に落札者を決定する予定です。同年7月の県議会での議決を経て、事業契約を締結する計画です。
新駅の供用開始は2030年度中を予定しています。一方、アリーナは2031年5月30日までに完成させる計画で、駅前施設についても整備区域によって完成時期が異なります。
このため、新駅の開業時には、必要に応じて仮設の歩行者通路などを設け、安全な通行環境を確保する方針です。






















