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東京都、宿泊税引き上げへ。都内のホテル代がさらに高くなる!

定率制に移行か

東京都が宿泊税の引き上げを検討しています。現状の税額100円~200円からの引き上げや、定率制への移行を視野に入れているようです。都内のホテル代がさらに高くなりそうです。

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1泊1万円以上に課税

東京都の宿泊税は2002年に全国に先駆けて導入されました。税額は定額制で、1人1泊あたりの宿泊料金が「10,000円以上15,000円未満」は100円、「15,000円以上」は200円となっています。

「1万円未満」は免除しています。簡易宿所や営業日数180日以下の民泊も課税対象外です。

東京都庁

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69億円税収見込む

宿泊費の2023年度決算の税収は44億円で過去最高。2025年度の税収は当初予算で69億円と見込まれていて、過去最高をさらに更新する見込みです。宿泊税の使途は、観光産業振興にかかる費用などです。

ただ、導入から20年以上を経て、宿泊費や観光振興費が上昇していることから、東京都では制度改定の検討を開始。「宿泊税の見直しに関する意見交換」という有識者会議で議論をしています。

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定額制か定率制か

東京都の宿泊税改定に関して、現時点で決定していることはありません。ただ、資料や議事録をみてみると、増税(値上げ)を目指しているのは間違いなく、定額制のまま税額を引き上げるか、定率制に移行するかが論点となっているようです。

負担の公平性からみれば定率制が優れていますが、施設側としては定額制のままならシステム変更の負担が小さいという面もあります。しかし、定額制の「段階」を増やしすぎると、ホテル側でミスが生じやすくなります。

資料として示された経済同友会の資料では、「米国フロリダ州オレンジ郡(オーランド市)やハワイ州は、定率制(約10%)を導入していることと比較すると、日本国内の税額水準は低い」とし、日本でも定率制への移行を提言しています。具体的には「宿泊料金の3~5%程度が適切」としました。

この資料を有識者会議で提示しているということは、都としても「3~5%の税率」への移行を視野に入れているとみてよさそうです。1泊14,000円のビジネスホテルの場合、420円~700円となり、現状の100円から大きく値上がりします。

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1万円未満への論点

簡易宿所や民泊への課税も論点です。最近では、1泊10万円程度の民泊も登場していますが、現状では課税対象外です。負担の公平性という観点でみれば、こうした高級民泊にも宿泊税は課されるべきでしょう。

ただ、都のアンケートを見ると、簡易宿所・民泊の91%は1万円未満で、現行ルールでは仮に課税対象になっても、金額的には課税対象外です。簡易宿所や民泊にも負担を求めるなら、1万円未満への課税も議論となるでしょう。

いっぽう、低額の宿泊客には、修学旅行生なども含まれます。現状で1万円未満を課税対象外としているのは、こうした教育目的や国内のビジネスユースなどへの配慮です。

しかし、1万円未満に課税したうえで、たとえば教育目的の人を課税免除しようとすると、その選別は大変で、施設側の事務負担が増えます。

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課税免除基準額を引き上げの要求も

さらに、簡易宿所や民泊などの運営者が小規模事業者の場合、複雑な仕組みを導入すると、システム導入費や事務負担が重くなるという問題もあります。

ホテル・旅館事業者へのヒアリングでは、むしろ「課税免除基準額は3万円程度に引き上げてほしい」といった声も上がっているほどです。

東京都では、年内をめどに、宿泊税改定の方向性を示す予定です。いまのところ、結論は明確ではありませんが、旅行者の負担増になるのは間違いなく、東京の宿泊費がさらに高くなりそうです。(鎌倉淳)

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