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留萌線、完全廃止まで9ヶ月。JR北海道の路線整理、最後の線区に最後の夏

10年越しの路線整理は一段落へ

JR留萌線の深川~石狩沼田間の廃止まで、9ヶ月を切りました。廃止されれば、留萌線は全線が廃止されます。JR北海道が10年ほどかけておこなってきた路線整理の、最後の対象線区が、最後の夏を迎えます。

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段階的に路線縮小

JR留萌線は、深川~石狩沼田間14.4kmを結ぶ路線です。かつては深川~留萌~増毛間を結んでいましたが、2016年に留萌~増毛間が廃止。2023年には石狩沼田~留萌間が廃止されていて、段階的に路線を縮小してきました。

残る深川~石狩沼田間も2026年3月31日限りでの廃止が決まっています。廃止されれば、留萌線は全線が廃止となります。

留萌線は国鉄時代は「本線」の扱いとされ、正式には留萌本線と呼ばれてきました。支線として、留萌~羽幌~幌延間に羽幌線という路線もありました。141.1kmにおよぶ長大路線でしたが、1987年に廃止されています。

留萌線が全線廃止されることにより、羽幌線を含めた留萌本線ファミリーが完全に廃止されることになります。

留萌線

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乗客10人程度

6月上旬の平日に、乗りに行ってきました。深川駅16時08分発の列車です。乗車したのは、沿線住民の買い物客とおぼしき婦人と、高校生、それに鉄道ファンが、それぞれ数人でした。

全部で10人程度でしょうか。北海道のローカル線の夕方の列車とみれば、この程度でも乗っているほうですが、もちろん、小型バスで十分運びきれる人数です。

列車は特急「ライラック25号」の接続を受けて出発。ただ、特急からの乗り換え客はいません。

石狩平野の北端の田園地帯を横切って進みます。

留萌線

途中の秩父別で、ご婦人が一人降りたほかは、全員、石狩沼田まで乗り通しました。16時25分の到着です。

留萌線

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かつてのターミナル駅

石狩沼田駅は、かつては2面3線の設備を擁していました。1972年までは、ここから札沼線が分岐していたので、ターミナル的な機能もあった駅です。

現在は1面1線の棒線駅になっていますが、ターミナル駅的な雰囲気も残しています。ホームの上屋は古いながらもしっかりしていて、駅舎は鉄骨造で重厚です。

待合室も、ローカル線の駅としては広く、かつて出札口があった場所には、窓口3つ分のスペースがあります。実際に、窓口が3つ開いていた時代があったのかはともかく、この駅が設備に余裕をもって作られていたことが察せられます。

留萌線

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町の玄関口

駅前には広いロータリーがあり、道路が街中へ延びています。石狩沼田駅は、沼田町の市街地に隣接しています。町の玄関口としての機能を果たしてきたのでしょう。

折り返し列車は16時40分発。乗車したのは、鉄道ファンとおぼしき数名だけです。行き来た道を同じペースで走り、終点深川駅に到着しました。

留萌線石狩沼田駅

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10年前の廃止提案

JR北海道は2016年に「当社単独では維持困難な線区について」という文書を公開しました。

この文書では、輸送密度200未満の3線区について、バス転換を提案しています。該当の路線は、札沼線北海道医療大学~新十津川間、根室線富良野~新得間、留萌線深川~留萌間です。

このうち、札沼線は2020年に、根室線は2024年に、該当区間がそれぞれ廃止されました。留萌線の石狩沼田~留萌間も、前述のように2023年に廃止されています。

留萌線の深川~石狩沼田間が2026年3月に廃止されれば、JR北海道の廃止提案が、10年がかりで実現することになります。

JR北海道の廃止提案
画像:JR北海道「当社単独では維持することが困難な線区について」(2016)

 
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5線区328.2km

JR北海道は、この他にも、石勝線新夕張~夕張間を2019年に廃止しています。災害で不通となっていた日高線鵡川~様似間についても、復旧せず2021年に廃止としました。

この10年で廃止対象となったJRの路線は、計5線区328.2kmにも達します。

さらに、函館線長万部~小樽間も、北海道新幹線札幌開業にあわせて廃止することが決まっています。

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路線整理は一段落

JR北海道では、さらに宗谷線や石北線の一部区間など8線区についても、「単独では維持困難」としています。ただし、これらの路線は、北海道の骨格的な路線であり、廃止を前提にはしていません。

したがって、JR留萌線が全線廃止になることで、JR北海道が進めてきた路線整理が、一段落することになります。

留萌線の深川~留萌間は、この10年の路線整理で残った最後の線区となります。最後の線区に最後の夏が訪れますので、夏休み期間には、多くの旅行者が訪れそうです。(鎌倉淳)

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