ホーム 地域 関西

大阪・関西万博に子連れで東京から週末に行ってみた。行列、混雑で疲れたけれど

2泊3日で土曜日に

東京から小学5年生の息子を連れて、週末に大阪・関西万博を訪れてみました。土曜日とあって混雑しており、パビリオンはどこも行列ができていました。

広告

金曜日夕方に出発

遠方から子連れで万博に行くのであれば、土曜日しかありません。金曜日の夕方、学校が終わってから新幹線に乗って大阪に入り、土曜日に会場を訪れ、日曜日の午後、早い時間に帰ります。日曜日にゆっくりしていると、月曜日の学校に差し障るからです。

新大阪駅付近のホテルに家族で宿泊し、4月19日土曜日に万博を訪れました。新大阪駅08時20分発のJRエキスポライナーに乗車。323系の8連で、とくにラッピングなどはされていない大阪環状線用車両です。車内の混雑はそれほどでもなく、乗客の半分はユニーバーサルシティ駅で降りていきました。

桜島駅08時43分着。桜島駅からのバスは予約済みで、行列には並んだものの、15分ほどで乗車できました。

万博会場の西ゲート到着は9時20分頃。ゲートの行列は短く、5分ほどで入場。ここまで、混んではいたものの、全体的にはスムーズでした。

大阪・関西万博西ゲート

広告

予約できたのは2館のみ

万博は時間ごとに入場枠が決められていて、9時台に入場できる人は限られています。そのため、この時間の園内は空いていて快適です。

パビリオンの事前予約の抽選は外れていて、予約してあるのは3日前予約で取れた10時台のタイ館のみ。園内に入って当日予約にチャレンジすると、18時にアメリカ館が空いていたので、それも確保。

後で知ったのですが、アメリカ館が予約システムを導入したのはこの日からで、事前予約で埋まっていなかったから、当日に枠を確保できたようです。

大阪・関西万博

スタンプ帳を購入

まずは、ゲート前のショップでスタンプ帳を購入。各パビリオンにスタンプ台があるので、押して回ります。子ども連れには楽しめる仕掛けです。

スシローの前を通りかかって整理券をゲット。これを持っていると、「任意の時間に入店する権利」が得られます。ただし、そのとき満席だと待たなければならない仕組み。「午後6時ごろになると混む」そうで、早めの来店を促されました。

大阪・関西万博スタンプ帳

広告

10時台まではスムーズで

タイのパビリオンは、スクリーンの映像の後、タイ料理や観光地を紹介する展示コーナーがあり、観光立国らしい雰囲気でした。

大阪・関西万博タイパビリオン

つづいて他のパビリオンも見学しましたが、この時間帯までは、行列もなく、パビリオンにスムーズに入れます。10時台までの入場の人しか来ていないからです。

大屋根リングの上も空いていて快適です。

大阪・関西万博大屋根リング

広告

フードコートの予約がもったいなく

11時頃でも、飲食店の前の食事スペースは空席だらけで、「土曜日とはいえ、思ったほど混んでないな」という感想。筆者は、11時に有料フードコートの予約をしていたので、もったいなかったかな、とちょっと後悔したほどです。

フードコートの有料席利用者は、各店舗で並ばずに注文できる「ファストパス」がもらえるのですが、店舗にも行列がなく、必要ありませんでした。

このフードコートは「大阪のれんめぐり」という名称で、大阪の名店が揃っています。筆者は、やまもとのねぎ焼きを賞味しました。

大阪・関西万博フードコート

コモンズ館でスタンプラリー

11時半頃にフードコートを出ると雰囲気は一変していて、急に人が増えていました。先ほどまで空いていた店舗外の食事スペースが、みっちり埋まっていて驚きます。パビリオンの行列もぐっと伸びています。11時を境に「混んできた」印象です。

ただ、この時点でも、共同パビリオンの「コモンズ」には行列がみられず、すぐに入場できました。アジアやアフリカ、中南米の小国が入居しています。各国の展示は、写真と少しの動画、簡単な展示物くらいで、ざっくりとしたものです。

大阪・関西万博コモンズ館

各国にスタンプが備えられているので、「スタンプラリー」が楽しめます。スタンプを押し、気になった国は内部に入って展示をさっと見られるので、子どもの行動を促せます。コモンズ内部に入ってしまえば行列はほとんどないので、ストレスがありません。

大阪・関西万博スタンプ

広告

「並ばない万博」の幻想

12時を過ぎると、時間指定のないチケット利用者が入ってくるので、園内はさらに混雑してきます。各パビリオンもレストランも行列だらけになりました。

すでにさんざん報じられていますが、「並ばない万博」は幻想で、現実には、大型イベントにありがちな行列が、園内各所に存在しています。

それは仕方ないのですが、困ったことに、入場行列での「待ち時間の目安」が示されていないので、どの程度待てば入れるのか見当がつきません。行列を捌くスペースも乏しく、列がパビリオンの前に連なっていて雑然としています。

「並ばない万博」を想定していたからか、運営側の行列への準備が整っていなかった印象を受けます。

大阪・関西万博

スシローに逃げ込んで

息子はすでに疲れ始めていました。金曜日、学校が終わってから大阪へ連れてきただけでなく、駅前ホテルのエキストラベッドに寝かせたのが、まずかったようです。

疲れた子どもを抱えて、何分待つかわからない行列に並ぶのも大変なので、結局、これ以降、コモンズ館以外の、予約不要のパビリオンには入りませんでした。

この日は夏日。気温が上がっていて、木陰で座れるスペースは奪い合いです。座れる場所はあるのですが、日が当たって暑くなってきました。そのため、まだ14時台でしたが、スシローの整理券を使うことに。

大阪・関西万博スシロー

エアコンの効いた店内で10分ほど待つだけで、席に案内されたのは助かりました。ちなみに、スシローの整理券の番号は関係ありません。整理券は列に並ぶ権利にすぎず、実際に待ち始めた順番に案内されます。

スシローは「未来型万博店」と銘打っており、店内の各座席にデジタルビジョンが設置され、楽しくオーダーできます。価格も手ごろです。一般店舗よりは高いようですが、それでもこの時勢に、この立地にしてはお値頃で、驚きました。

味も良く、鮮度管理がしっかりしているのか、街中のスシローより、明らかに美味しかったです。

大阪・関西万博スシロー

広告

チェコビールはウルケル

ビールを目当てに、チェコ館も訪れました。

愛知万博のチェコ館では「クルショヴィツェ」(KRUSOVICE)という、日本ではあまり見かけないビールを扱っていて美味しかったのですが、今回はピルスナーウルケル(Pilsner Urquell)だけのようでした。

大阪・関西万博ビール

チェコ料理のレストランもあって、覗いてみると、グラーシュなどの名物料理がメニューにありました。こういうグルメ巡りが、万博の一つの楽しみ方でしょう。子連れだと、好き嫌いもあって思うようにはいきませんが、大人だけの旅なら、それだけで楽しそうです。

大阪・関西万博チェコ館メニュー

アメリカ館で月の石

最後は、予約していたアメリカ館です。映像が主体で、最後は「没入型宇宙展示」を楽しめます。

ただ、座るところがなく、30分立ちっぱなしなので、すでに疲れ切っていた息子は、「早く終わらないかなあ」という感じでした。月の石もチラ見。

大阪・関西万博月の石

広告

夢洲駅は行列もなく

見学を終えて、園外に出たのは19時ごろ。夢洲駅からメトロ中央線で帰りました。

この時間帯は空いていて、駅に行列はなく、列車も一本待てば座れました。混雑と行列で疲れ果てたものの、最後の電車に座って帰れたのは助かりました。

大阪・関西万博夢洲駅

広告

入場者8.9万人

さて、この日は、開幕日を除いて初の週末で、一般入場者数は 8万9000人でした。10万人にも満たなかったわけです。そのためか、交通機関や入場ゲートに、深刻な混雑はみられませんでした。

それでも、各パビリオンには行列ができ、日中のベンチは結構埋まっていて、ピーク時の飲食店は満席でした。

大阪・関西万博混雑

いずれも「入れないほどではない」「座れないほどではない」という程度なので、元気な大人なら張り切って回れたことでしょう。

とはいえ、たった8.9万人でこれだけ混雑するとなると、GWや会期後半のピーク時にはどうなるのか、と心配になります。また、多くの人が指摘しているように、日陰が少ないので、真夏の暑さは心配です。

大阪・関西万博

動画中心の展示の意味

パビリオンの展示に関しては、動画やプロジェクションマッピングなどの映像が中心で、わざわざ万博に来なくても、インターネットで流せば十分に思える内容が多かったのは確かです。

Googleマップで世界旅行ができ、世界中の動画がYouTubeに流れている現代に、動画を博覧会で流す意味がどれだけあるのかは、考え込まずにはいられません。

大阪・関西万博パビリオン

お国柄を感じられ

一方で、リアルにパビリオンを回る面白さや、展示にお国柄が感じられる楽しみはあります。タイパビリオンは観光面を強調していましたし、アメリカ館は留学PRに熱心で、優れた頭脳を集めようとしているように感じられました。

トルクメニスタンの大統領の肖像画も、話題になっています。

世界にさまざまな国があり、さまざまな民族が、さまざまな暮らしをしていることを、息子が少しでも感じ取ってくれたのであれば、来て良かったと思います。

連休でもない週末に遠方から訪れると、やっぱりちょっと疲れましたが、いい体験でした。

大阪・関西万博イエメン

広告

週末のレジャーとしては?

万博は、崇高な理念を掲げた博覧会ですが、ぶっちゃけた話をすれば、多くの人にとってはレジャーで訪れる遊び場に過ぎません。

ただ、週末のレジャーとして楽しむには、今回の万博は、ちょっと手間がかかりすぎます。事前にIDを取得して、入場時間からシャトルバス、パビリオンまで、しっかり事前予約をしないと楽しめません。そして、週末の予約はハードルが高く、思うように予約が取れません。

東京など遠方から来る場合は、さらにホテルの予約が加わります。大阪市内のホテルの宿泊料金は驚くほど高騰していて、手頃なホテルはどこも予約が取りにくくなっています。

平日に行けるなら、予約なしでも入場しやすく、パビリオンも回りやすそうです。しかし、子どもが学校を休んで万博に来るわけにもいきません。夏休みは平日でも混むでしょうし、何より猛暑のさなかに訪れるのは大変そうです。

ということで、遠方から家族連れで来るのならば、混雑日は避けられないでしょうから、気候の良い時期の週末に早めの予約をして、人の少ない午前中に見られるだけみて、午後はのんびり過ごすくらいの気持ちでいるのがよさそうです。

大阪・関西万博

「最後の大型万博」

念のために書きますが、筆者は万博のほんの一部を見ただけです。ニュースで注目されたパビリオンはほとんど見ていません。それでも、行ってよかったと思っていますし、たぶん、見てみたいパビリオンのために、もう1、2回は訪れると思います。

なにより、この規模の万博は、筆者が生きている間に、日本では二度と開催されない気がします。インターネットが発達した現代に、万博の意義が薄れてきているのは確かですし、最近の日本の社会状況からも、大型国際イベントを実施するだけの機運は失われつつある気がします。

つまり、中高年世代にとっては「最後の大型万博」になる可能性が高いわけです。その価値については議論があるものの、しっかり見届けておくのもよさそうです。(鎌倉淳)

広告