札幌丘珠空港の滑走路延伸について、2030年を完成の目標時期とすることが決まりました。早ければ7年後に、丘珠空港は1,800m滑走路を有する空港になります。
札幌駅から5km
丘珠空港は、JR札幌駅の北東約5kmに位置する空港です。正式名称は「札幌飛行場」で、防衛省が設置管理しています。1942年(昭和17年)に陸軍航空隊が飛行場を設置したことに始まり、1961年(昭和36年)に民間との共用飛行場となりました。
札幌中心部から近い立地ですが、滑走路長が1,500mと短いことや、施設規模が小さいこと、騒音問題などから、現在は十分に利活用されているとはいえません。
そのため、札幌市では、丘珠空港を積極活用するための検討をすすめていて、2022年11月に「丘珠空港の将来像」を策定。滑走路を1,800mに延伸することを決定しました。2023年6月から「丘珠空港周辺地域連絡協議会」を開催し、地元への説明もはじめています。
北海道新幹線と同時期に
気になる滑走路の延伸時期については、「概ね10年後を目途」とするのみで、具体的な日程は明らかにしていませんでした。
これについて札幌市は、2023年7月31日の市議会総合交通政策調査特別委員会で、滑走路延伸時期について、2030年を目標とすることをはじめて明らかにしました。
2030年は北海道新幹線の札幌延伸開業予定年度です。新幹線開業と同じタイミングで、丘珠空港の滑走路延伸も実現しようという構想です。
リージョナルジェットの通年運航が可能に
滑走路の延伸により、空港に発着できる機材が増加します。下表は、滑走路長ごとの、就航可能な機材です。
ベストセラー機として知られるB737型機やA320型機といった小型ジェット機は通年運航できませんが、ERJ170/175のようなリージョナルジェット機は、通年運航が可能になります。DHC8-Q400型機のようなターボプロップ機も、通年運航が可能になります。
70席クラスの機材が通年で飛べるようになるわけで、就航する路線が拡大するでしょう。
札幌市は、将来は道内各地に6路線程度、全国各地に10路線程度の就航を想定し、1日70便、年間100万人の旅客数を目指します。
空港機能も強化
滑走路延伸とあわせて、空港機能の強化もおこないます。利用者の増加を見据え、空港ビルの床面積を拡張します。商業施設や住民利用施設の導入も検討します。
丘珠空港の課題は航空アクセスですが、滑走路延長後、バスアクセスの充実を図ります。計画中の「都心アクセス道路」(高速道路)を利用した、札幌中心部への空港連絡バスの運行なども検討します。
札幌丘珠空港は、ポテンシャルの高い都市型空港です。本当に2030年に滑走路延長が完成するかは定かではありませんが、実現が楽しみです。(鎌倉淳)