JR九州が「株主1日乗車券」を発行へ。新幹線も別途料金で乗車可

どのくらいお得?

JR九州は、株主優待券として「1日乗車券」を発行します。従来の運賃・料金が5割引になる株主優待割引券は廃止します。

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次期株主優待制度から

JR九州は、株主優待制度として、「鉄道株主優待券」「JR九州グループ株主優待券」「JR九州高速船株主優待割引券」の3種類を発行しています。

このうち、「鉄道株主優待券」について、2023年3月31日を基準日とする次期株主優待制度から内容を変更し、普通・快速列車が乗り放題の「1日乗車券」にすることを明らかにしました。

現在の「鉄道株主優待券」は、片道の運賃・料金が5割引という内容です。これに対し、新たに発行される株主優待券(1日乗車券)は、JR九州の普通・快速列車が1日乗り放題で、別途料金を払えば新幹線や特急にも乗車できます。

いわば、「株主1日乗車券」を導入するわけです。フリーエリアはJR九州全路線。JR西日本の山陽新幹線(小倉~博多)などには乗車できません。

JR九州株主優待1日乗車券フリーエリア
画像:JR九州プレスリリース
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発行基準に変更なし

株主優待券1枚につき1人が利用できます。発行基準は変わりなく、100株以上500株未満の株主の場合、100株ごとに1枚が発行されます。

毎年6月下旬に株主に郵送されます。

鉄道株主優待券は引き換えることなく、そのまま1日乗車券として使えます。1日乗車券を購入する手間はかかりません。

JR九州株主優待券
画像:JR九州プレスリリース
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「お得度」はどう変わる?

現在の株主優待券と比べて、「お得度」はどう変わるのでしょうか。現在の株主優待券が最も効果的に使用できる九州新幹線の博多~鹿児島中央間を例にとって検討してみましょう。

博多~鹿児島中央間の自由席の正規価格は10,110円(乗車券5,610円、特急料金4,500円)です。5割引の株主優待券なら5,050円となります。一方、1日乗車券なら、特急料金の4,500円だけで済みます。したがって、550円安くなります。

効果を発揮しそうなのは日帰り旅行です。これまでの株主優待券は「片道のみ」でしたが、1日乗車券は日帰りなら往復でも利用できます。博多~鹿児島間の日帰り旅行が、株主優待券2枚で10,100円のところ、1日乗車券なら株主優待券1枚で9,000円で済むわけです。

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価格相場はどう変わるか

株主優待券の1日乗車券で、もう一つ気になる点として、表面に「本券の売買等はできません」と大きく記載されたことです。

この記述により、金券ショップでの流通がなくなるのかはなんともいえません。

ここでは、優待利回りを考える上で、株主優待券が1日乗車券になることで、価値がどう変わるかを考えてみます。

現在の「片道5割引」の株主優待券の流通相場は2,500円前後です。上記の「博多~鹿児島中央」を基準に考えれば、1日乗車券のほうが効力が強いので、それを反映するなら3,000円程度の価値ととみなしてもおかしくありません。

JR九州が販売している「ぐるっと九州きっぷ」とも比べてみましょう。「ぐるっと九州きっぷ」は、普通・快速列車乗り放題で、別料金で特急乗車可、3日間有効です。効力では株主優待の1日乗車券と似ています。

「ぐるっと九州きっぷ」は3日間14,300円(ネット価格)ですので、1日当たり4,766円です。これを基準に考えれば、株主優待の1日乗車券の価値は、4,000円前後と考えることもできます。

鉄道旅行者にしてみれば、JR九州に乗り放題で、1日だけでも利用可ということで、使いやすいフリーきっぷです。株主の方は上手に利用したいところです。(鎌倉淳)

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