2022年3月までの航空会社別「定時運航率」「欠航率」の統計がまとまりました。定時運航率ではスカイマークが5年連続の首位。新型コロナウイルス感染症の影響から回復するなか、10社中8社が90%以上というハイレベルの争いになりました。
国土交通省の2021年度統計
航空会社の国内線の「定時運航率」と「欠航率」は、国土交通省の「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報」で公表されています。2022年発表の最新のデータとして、2021年度(2021年4月~2022年3月)の数字がまとまりました。
ここでは、その数字をランキングにまとめて、順にみていきます。なお、統計上の「日本航空」は、日本航空、ジェイエア、日本エアコミューター、北海道エアシステム、日本トランスオーシャン航空(一部路線)の合計、「全日空」は、全日本空輸、ANAウイングスの合計です。
この統計では、客席数が100または最大離陸重量が5万kgを超える航空機を使用する航空会社のみが対象ですので、小型機使用のフジドリームエアラインズやアイベックスなどは対象外です。
順位 | 航空会社名 | 2021年度 | 2020年度 |
---|---|---|---|
1 | スカイマーク | 98.44 | 99.14 |
2 | スターフライヤー | 98.15 | 98.79 |
3 | ソラシドエア | 97.66 | 98.93 |
4 | 日本トランスオーシャン航空 | 97.36 | 97.76 |
5 | 日本航空 | 94.49 | 96.81 |
6 | 全日空 | 94.26 | 96.97 |
7 | エアドゥ | 93.87 | 97.13 |
8 | ジェットスター | 93.16 | 94.93 |
9 | スプリング・ジャパン | 87.99 | 93.83 |
10 | ピーチ | 86.80 | 93.94 |
定時運航率は、出発予定時刻より15分以内に出発した便のことをいいます。「出発」とはブロックアウトした時間。つまり、機体が動き出した時間のことです。定時運航率は運航した便に対する率ですので、欠航は反映していません。
8社が90%以上
今回の統計の注目点は、新型コロナウイルス感染症による運航本数削減で高まった定時性を、運航本数回復に向かうなかでどこまで維持できるかということでした。
新型コロナウイルスが直撃した2020年度は、各航空会社とも運航本数を減らした結果、LCCを含め全10社が定時運航率90%を達成。LCCを除くレガシーキャリア7社は95%以上という好成績を残しています。
2021年度では、各社とも2020年度よりは数字を悪化させましたが、スカイマークが98.44%という高い定時率で首位の座を守りました。つづくスターフライヤーも98%台を確保し、2位に浮上しています。
全日空、日本航空という大手2社は、互いの順位は入れ替えて5位と6位になりました。地方空港は天候による遅延が生じやすいので、地方路線が多い大手航空会社は、中堅航空会社よりも不利な面があります。
ワースト3は、ジェットスター、スプリング、ピーチのLCC3社でした。LCCは定時性に難があるという「定説」通りの結果になっています。
2021年度欠航率ランキング
次に2021年度の欠航率を見てみましょう。欠航率は低い方が優秀なので、「低欠航率」という形でランキングしてみます。
順位 | 航空会社名 | 2021年度 | 2020年度 |
---|---|---|---|
1 | スターフライヤー | 0.50 | 1.01 |
2 | ソラシドエア | 0.66 | 1.07 |
3 | ジェットスター | 0.96 | 0.92 |
4 | スカイマーク | 1.04 | 0.57 |
5 | スプリング・ジャパン | 1.23 | 0.00 |
6 | ピーチ | 1.38 | 0.88 |
7 | エアドゥ | 1.50 | 1.09 |
8 | 日本トランスオーシャン航空 | 1.51 | 1.67 |
9 | 全日空 | 1.70 | 0.41 |
10 | 日本航空 | 1.86 | 2.48 |
スターフライヤーが好成績
低欠航率の最優秀は、スターフライヤーとなりました。わずか0.5%で、欠航のきわめて低い航空会社といえます。
そのほか、ソラシドエア、ジェットスターで欠航率の割合が1%を下回りました。定時運航率で首位のスカイマークは、低欠航率では4位となっています。
2020年度には低欠航率0.41ときわめて低い数字だった全日空は、2021年度は1.7と平凡な数字となりました。日本航空が1.86で最下位です。
LCC3社は、他の航空会社と同水準の欠航率でした。「遅れても飛ぶ」という、こちらもLCCの「定説」を裏付ける形の統計となりました。(鎌倉淳)