JR北海道の留萌線について、石狩沼田~留萌間が2023年3月にも廃止される方向であることがわかりました。残る深川~石狩沼田間は、数年間存続します。
留萌市は廃止に同意
JR留萌線は深川~留萌間50.1kmを結ぶローカル線で、JR北海道が単独では維持困難として廃止を求めています。2020年8月には、沿線4市町のうち留萌市が市内区間の廃線に同意。沼田、秩父別、深川の3市町が深川市~沼田町間の部分存続を求める姿勢を示していました。
JR北海道は、深川~石狩沼田間の部分存続の場合に年3億4500万円が必要で、さらに初期投資として踏切工事などの費用が4000万円かかるという条件を提示しています。
石狩沼田~留萌間を先行廃止
この問題について、北海道新聞2022年7月16日付は「沿線4市町とJRが石狩沼田―留萌間を早ければ2023年3月末で廃止し、深川―石狩沼田間は3年程度存続させて廃止する方向で調整している」と報道。
同紙によれば、「深川―石狩沼田間は高校生の通学利用があることを踏まえ、地元要望を受けてJRが期間限定で運行する方向となった」ということで、近く自治体の首長との会合で合意する見通しです。
段階的廃止
この報道の通りなら、留萌線は「段階的廃止」という形になります。
沼田以南の沿線自治体に配慮して、まず石狩沼田~留萌間を廃止。深川~石狩沼田間にどの程度旅客が残るかを見極めたうえで、同区間を自治体負担で残すのか最終結論を求める、という手順を踏むのかもしれません。
石狩沼田~留萌間は、峠を越える山間部で維持費用がかかることから、JR北海道としては、全線の議論が帰着する前であっても、先行して廃止してしまいたいという考え方に傾いたのでしょうか。
最後の夏に
留萌線の輸送密度は2018年度が145で、以後、137、90、90と落ち込んでいます。深川~石狩沼田間の輸送密度は、2018年度で218です。鉄道として維持するのに利用者が少ないのは全線同じで、数年間の延命措置が執られたとしても、最終結論は変わらない気がします。
今回の報道が事実なら、石狩沼田~留萌間の夏季の運行は今年が最後です。多くの鉄道ファンが訪れそうです。(鎌倉淳)