中央線グリーン車がなかなか実現しません。計画発表は2015年でしたが、二度の延期を経て、営業開始時期は早くて2025年春になりそうです。
2015年に計画公表
JR東日本が、中央線にグリーン車を導入するという方針を初めて明らかにしたのは2015年2月。対象区間は中央快速線の東京~大月間と、青梅線の立川~青梅線で、当初は2020年度のサービス開始を目指すとしていました。
しかし、駅構内バリアフリーなど他施策との調整に時間がかかるとして、2017年3月に、開始時期を「数年程度」延期すると発表。2018年4月に、2023年度末(2024年3月)にサービスを開始すると発表していました。
さらに、このほど公表された2022年度設備投資計画のなかで、中央線グリーン車のサービス開始時期が少なくとも1年程度遅れる見通しであることを明らかにしました。早くても2025年3月頃になりそうで、もっと遅くなる可能性もあります。
トイレも設置
中央線グリーン車計画は、E233系電車の普通車10両に、2階建てのグリーン車2両を4・5両目に増結するというもの。合計12両編成となり、普通車は減らさず、グリーン車部分の輸送力が純増となります。グリーン車は合計で116両(2両×58編成)を新造します。
グリーン車のほか、普通車にもトイレを設置します。対象となるのは中央快速線(E233系通勤電車)と、中央快速線と直通運転を行う青梅線の全列車。グリーン車トイレは4両目、普通車トイレは6両目で、分割編成の場合も同じです。
優先順位が低くなり
JR東日本は、再延期の理由を「世界的な半導体不足の影響」としています。半導体不足で車両が作れない、ということです。
中央線グリーン車の車両が、取り立てて半導体を沢山使うわけでもないでしょうから、半導体不足のなか、鉄道車両全体で納期が後ろ倒しになっているという事情があるのでしょう。
一方、新型コロナの影響で鉄道利用者は一時期に比べて減少しており、輸送力増強は喫緊に必要な対策でなくなっています。そうした背景があり、JR東日本としては、他の導入予定車両に比べ中央線グリーン車の優先順位は低いと判断し、後回しにしたとみられます。
ただ、利用者にとっては間違いなくサービス改善につながる施策だけに、後ろ倒しになるのは残念でしょう。2025年に実現しても、計画公表から10年後という長期プロジェクトになってしまいました。
なかなかできない中央線グリーン車計画。乗車できるのは、早くても3年後です。(鎌倉淳)