東武鉄道が新たなフラッグシップ特急して「スペーシア」の新型車両N100系を投入します。車両の内装やシートの概要も発表されましたので、わかっていることの詳細をまとめてみました。
新フラッグシップ特急
「スペーシア」は東武鉄道100系特急車両の愛称で、浅草~東武日光・鬼怒川温泉間で運行しています。その後継となる新型車両がN100系で、2023年に登場します。
6両編成で、定員は212名。1両あたり約36名というゆったりした座席配置です。その内装とシートバリエーションの概要が発表されました。
コクピットスイート
シートバリエーションは6種類あり、目玉となるのが6号車の「コックピットスイート」。浅草方車両端に11平方メートルの個室を設置しました。室内にはソファーを配置し、最大7人が利用できます。コンセプトは「走るスイートルーム」で、N100系の最上級シートとなります。
1車両に一つだけの個室で、展望を独占できるスイートルームだけに高い人気となりそう。時間帯のいい列車ではプレミアムチケットとなりそうです。
コンパートメント
6号車は他も全て個室となり、4名定員の「コンパートメント」が4室配置されます。コの字型ソファーと可変テーブルを採用し、利用者がテーブルのレイアウトを変更させることができます。
ファミリーやグループ旅行向けの部屋となります。4室あるので、チケットは比較的入手しやすいでしょう。
プレミアムシート
開放型の座席は3種類あり、上級席が2号車の「プレミアムシート」(35席)です。2+1の3列シートで、電動リクライニングやバックシェル構造を採用。シートピッチは現行のスペーシア(1,100mm)より広い1,200mmとなります。
近鉄「ひのとり」の1,350mmや、「サフィール踊り子」プレミアムグリーン車の1,250mmには及ばないものの、「プレミアム」の名に恥じないゆったりとした座席となります。大型インアームテーブルや読書灯を搭載します。
スタンダードシート
標準席となるのが、3~5号車の「スタンダードシート」(112席)。2×2の4列シートで、シートピッチは現スペーシアと同じ1,100mmです。
コクピットスイートやプレミアムシートに気を取られてしまいますが、こちらも十分ゆったりとしたシートです。
ボックスシート
5号車の一部は「ボックスシート」(4席)となります。といっても、古典的な普通車のボックスシートとは異なり、横幅80cmに一人が座るゆとりある設計です。
2シートが向かい合う形で2組が配置され、半個室の雰囲気でプライベート感が味わえます。
コクピットラウンジ
東武日光方の先頭車両となる1号車は、「コックピットラウンジ」という空間になります。コンセプトは「時を超えるラウンジ」で、日光金谷ホテルや、日光に残る大使館別荘をモチーフにした落ち着きのある空間を作ります。
4人、2人、1人掛けの各種ソファーがあり、カフェカウンターも併設します。「新しいものを積極的に取り入れ、ここでしか出会えない五感で楽しむ商品」を提供するそうです。
利用方法ははっきりしませんが、乗客が自由に使える形をイメージしているようです。
外観デザイン
外観デザインは日光東照宮陽明門などの「胡粉(ごふん)」を彷彿とさせる白をイメージしています。窓枠は栃木県の伝統工芸である鹿沼の組子や江戸の竹編み細工などをモチーフにしています。
列車名は?
列車名は未発表ですが、東武鉄道は2021年11月に「プレミアム スペーシア」「スペーシア ルクス」「スペーシア クロス」「スペーシア エックス」「グラン スペーシア」の5つの商標を出願しており、このうちのどれかと思われます。
筆頭に挙げられている「プレミアム スペーシア」が最有力候補に感じられますが、とくに根拠はありません。
運行区間は
運行区間は、これまでの「スペーシア」と同じで、東武スカイツリーライン・日光線・鬼怒川線の浅草~東武日光・鬼怒川間です。
製造が決まっているのは、4編成24両です。現行100系は9編成あるので5編成少なく、当面は現行スペーシアとの併用になりそうです。N100系は2024年以降に増備するようですが、9編成を新造するかはわかりません。
運転区間に新宿が含まれていないことから、N100は東武線内で運用され、当面、JR直通はしないようです。(鎌倉淳)