JR九州が「ななつ星in九州」の車両とコースをリニューアルします。2号車のダイニングカーをサロンに改造するほか、コースも刷新します。
ダイニングカーをサロンに
JR九州は、豪華寝台列車「ななつ星in九州」の車両とコースを2022年10月にリニューアルすると発表しました。車両のリニューアルは、2013年の運行開始以来初めてです。
リニューアルでは、2・3号車を刷新。ダイニングカーだった2号車は乗客らが交流できるサロンにし、車内アクティビティにも使えるようにします。
また、本格的な茶室も設置し、クルーや茶師からの「お点前」を楽しめるようにします。
客室だった3号車には、ギャラリーショップとバーラウンジを新設。ギャラリーショップでは、九州各地の工芸品を展示し、オリジナルグッズの販売もします。
バーラウンジでは、専属のバーテンダーやクルーがサービスします。
3号車の客室をなくすことで、乗車定員を現在の最大14室30人から10室20人に減らします。
霧島コース
コースも刷新します。3泊4日のコースは季節によって2つ設定し、10~12月が「霧島コース」、1~3月が「雲仙コース」です。
「霧島コース」は、博多から久大線に入り大分に至り、豊肥線から鹿児島線、肥薩おれんじ鉄道、日豊線と抜けて隼人に達します。そこから肥薩線と吉都線でえびのを経由して都城、大分から再び豊肥線に入り、熊本経由で博多に戻ります。
「ななつ星」が吉都線に乗り入れるのは初めてです。
霧島コースのテーマは「九州の焼き物と歴史に触れ、100年の鉄道浪漫に想いを馳せる旅」。九州をぐるりとめぐりながら、焼き物や地酒、霧島連山の雄大な自然を体感します。価格は1人125万円(2人1室利用)から170万円です。
雲仙コース
「雲仙コース」は、博多から久大線で大分に至り、豊肥線で熊本に到達した後、フェリーで島原に渡り、バスで雲仙を周遊します。諫早から再び列車に乗り、長崎で折り返し、大村線・佐世保線経由で博多に戻ります。
その後、再び久大線に入り、大分から門司港まで行って折り返し、博多に戻ります。島原鉄道を利用するプランも選択できます。
雲仙コースのテーマは「大地の恵みと伝統文化を体感し、未来へと繋がる九州の魅力に出逢う旅」。九州に息づく文化、豊かな大地の恵みに触れる旅です。価格は同115万円から160万円です。
九州周遊コース
1泊2日は「九州周遊コース」を設定。博多から鹿児島線、肥薩おれんじ鉄道で鹿児島に至り、日豊線で大分、久大線で博多に戻ります。ななつ星の車両をゆったりと楽しみながら九州を周遊できるプランで、価格は65万円から90万円です。
出発月は2022年10月~2023年3月。ツアーの設定本数は霧島コース5本、雲仙コース4本、1泊2日コース11本の全20本です。申し込み受付は2022年4月15日~5月13日です。
食堂車がなくなる?
今回のななつ星のリニューアルの注目点は、2号車ダイニングカーの廃止でしょう。サロンと茶室に改造することで、「ななつ星から食堂車がなくなる」と惜しむ声も多そうです。
ただ、1号車にはラウンジカーがあり、これまでも食事は1号車と2号車に分かれて供されていました。乗車定員が20名に減ることで、食事スペースが2両分も要らなくなったのでしょう。食堂車の機能を1号車に集約し、2号車をパブリックスペースに転用するわけです。
プレスリリースでは触れられていませんが、1号車もリニューアルを行って、テーブル数を増やすのかもしれません。
定員減の理由
では、なぜ「ななつ星」は定員減に踏み切るのでしょうか。その理由をJR九州ははっきりと説明していませんが、「カスタマイズ性の高い旅程・サービスをご用意し、一人一人に合わせた旅をご提案します」という新たな方針を示しています。
曖昧な記述ですが、人数を絞って選択肢を増やすことで、マンネリ化に陥らないようにするのかもしれません。人数を減らせば、受け入れ可能な高級旅館やレストラン、アクティビティも増えそうです。
定員を減らしたために、ツアーの価格は大幅値上げとなっています。2人1組130万円が最低価格で、さらに敷居が高くなりました。この価格では、なかなか気軽には参加できませんが、それだけ価値のある旅が待っているのでしょう。(鎌倉淳)