福岡市営地下鉄七隈線の天神南~博多間の開業月が、2023年3月になると発表されました。新線の概要をおさらいしてみましょう。
1.4kmの延伸
福岡市営地下鉄七隈線は、天神南~橋本間12.0kmを結ぶ地下鉄です。2005年の開業当初から博多駅へ1.4kmの延伸構想があり、2013年に着工していました。
着工当時は2020年度の開業が予定されていましたが、2016年に博多駅前で道路陥没事故が発生し、工事が中断。その影響で完成予定を2022年度に繰り下げていました。
その後は順調に工事が進み、すでにトンネル掘削は完了。高島宗一郎市長が1月7日の記者会見で、同年度末にあたる2023年3月に開業することを明らかにしました。
詳細な開業日は未定ですが、鉄道各社のダイヤ改正にあわせるなら3月11日もしくは18日が候補です。ただ、七隈線は他線と直通運転しないため、他線のダイヤ改正にあわせる必要がありません。そのため、平日に開業日を設定する可能性もありそうです。
櫛田神社駅が開業
天神南~博多間には、キャナルシティ近くに櫛田神社前駅が設置されます。同駅のシンボルマークとして、「櫛田の銀杏」で知られる神社境内のイチョウの葉と、博多祇園山笠の「舁き縄」を組み合わせたデザインも発表されました。
新規開業区間はわずか1.4kmで、所要時間は4分程度。たったそれだけですが、福岡市最大のターミナルである博多駅に七隈線が乗り入れる意義は大きく、沿線の利便性は格段にあがります。
七隈線は天神南駅での空港線との乗り換えも不便でしたが、博多駅では改札内の乗り換えとなります。そのため、七隈線沿線から福岡空港へのアクセスも容易になります。
一方で、空港線天神駅と七隈線天神南駅の運賃通算について廃止が検討されています。運賃通算が博多駅のみに限られた場合、七隈線と空港線・箱崎線をまたぐ運賃が割高になる区間が生じる可能性もありますが、まだ正式発表はありません。
旅行者の視点で見ると、七隈線の博多開業により、新幹線や空港から天神南エリアへのアクセスが便利になりそうです。博多駅から天神へより行きやすくなり、「天神に行くなら空港線」という先入観を改めたほうがいいかもしれません。(鎌倉淳)