東日本大震災で被災して運休が続くJR山田線の宮古~釜石間を第三セクターの三陸鉄道に移管するJR東日本の案について、沿線4市町の首長は「一定の評価ができる」と、前向きに検討する考えを示しました。
一定期間赤字を補填
JR東日本は1月31日の復興調整会議で、山田線の宮古~釜石間を三陸鉄道に移管して、南北リアス線と一体運営する案を提示しました。移管を自治体が受け入れる場合、線路や駅をJRが復旧させ、車両とともに自治体に無償譲渡するとしています。復旧後の山田線部分に一定期間、JRが赤字を補填した上で、三陸鉄道への人的支援も行います。
JR東日本は当初、バス高速輸送システム(BRT)での仮復旧を提案しましたが、自治体側が拒否していました。今回の提案では、復旧費210億円のうちJRが現状復旧費140億円を負担。復興まちづくりに関わる70億円は、国の復興交付金を充てる方針です。
「鉄路復旧を早期に実現
2月11日に宮古市で開かれた会議で、JR東日本と自治体の首長らがこの提案の詳細を協議しました。会議終了後、沿線の宮古、釜石、山田、大槌4市町長らは記者会見し、受け入れを前向きに検討する姿勢を示しました。碇川豊大槌町長は「利用者目線では望ましいのではないか。震災から丸3年がたつ中で一日も早く復旧復興を図らなければならない」と述べました。山本正徳宮古市長は「鉄路復旧を早期に実現させるためには、三陸鉄道での運営も選択肢の一つ。結論を出せる状況にしたい」と評価しました。
一方で、運賃が高くなったり、三陸鉄道への新たな出資を迫られたりするとの懸念も示されています。これら問題点などを協議し、受け入れるかを2月中にも決めるとのことです。
JRの巨額の復旧費を出すことと引き換えに、運営から撤退するというこの提案。当サイトの2014年1月31日付け記事『三陸鉄道の「南北統一」が実現か? JRが山田線宮古~釜石間の復旧と譲渡を提案。南北リアス線と一体運営へ。』でも指摘したとおり、実現へ向け大きく動き出しました。三陸鉄道の「南北統一」の実現は決定的になったといえるでしょう。
新型お座敷車両も導入
ところで、三陸鉄道は「新型お座敷車両」の導入を発表しています。4月6日の北リアス線全線運行再開にあわせて、北リアス線でこのお座敷車両の使用を開始します。「三陸の技 まるごと博物館」をコンセプトにした車両です。
三陸鉄道では、この新お座敷車両の愛称の募集を開始しました。募集期間は2014年2月12日~3月10日で、応募資格はありません。いい名前を思いついた人は、ぜひ応募してみてはいかがでしょうか。