京急電鉄は久里浜線京急久里浜~三崎口間の運行本数を削減します。平日日中は20分間隔に減便します。人口減少で利用者が減少しているところに、コロナが追い打ちをかけました。
久里浜~三崎口間
京急は2021年10月18日から、久里浜線の京急久里浜~三崎口間について、平日日中時間帯(11時~15時)で本数を毎時3~4本に削減し、おおむね20分間隔とすることを発表しました。
現在の京急久里浜線では、日中時間帯の三崎口発着の全ての列車が横浜・品川方面直通の快特として運転しています。8両編成の列車が毎時6本、約10分間隔の設定です。
これを毎時3本、約20分間隔に減便することになります。具体的な時刻などは以下の通りです。減便は平日のみで、土休日はこれまで通り毎時6本を維持します。
過大な輸送力
平日日中時間帯限定ですが、列車本数を半減するのですから、沿線利用者には衝撃が大きいでしょう。
三崎口駅ではバスとの乗り継ぎもあります。渋滞の多いエリアだけに、バスが遅延して列車に乗り遅れると20分待たされる、というダイヤは利用者には厳しい内容といえます。三崎近辺で公共交通を利用している人には、とくに不便を感じるダイヤ見直しとなりそうです。
とはいえ、この区間は京急本線・久里浜線系統の末端部にあたり、もともと利用者数に比して輸送力が過大でした。
京急久里浜駅下り線(三崎口駅方面)発車時の、平日日中時間帯の利用状況は、2019年で乗車効率が10%~20%程度にとどまります。新型コロナの影響で2021年は10%~15%程度に落ち込んでいたそうです。
人口減少で
三浦半島先端部は近年、人口減少が続いています。三浦海岸、三崎口の両駅が立地する三浦市の人口は、2000年に約52,000人だったところ、2021年には約41,000人にまで減っています。21年間で約21%の減少です。
それにともなって鉄道利用者も減っています。神奈川県「交通関連資料集」によれば、2000年度の久里浜線・YRP野比~三崎口間の利用者(乗車人員)は34,049人でしたが、2019年度には29,914人に減少しています。20年で約12%も減っているのです。
下表は駅別利用者数の推移ですが、同じ路線末端部でも、逗子線はこの20年間でほとんど利用者数が変わっていないのに対し、久里浜線は近年に利用者減が進んでいることがわかります。特に三浦海岸と三崎口が対2000年比で約18%減と、末端両駅の減少率が大きくなっています。
元に戻るのか
京急は、今回の減便の理由として、「昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の長期化に伴い、乗務員の罹患防止対策およびお客さまのご利用状況に鑑み」と説明しています。
前段の新型コロナウイルスの問題だけならば、流行が収束すれば元のダイヤに戻すようにも思えます。しかし後段の「ご利用状況に鑑み」ると、近年の久里浜以南の利用者減少を目の当たりにして、このまま減便ダイヤを維持するのではないか、と心配にならざるをえません。(鎌倉淳)