スターフライヤー「ペット同伴サービス」が注目される理由。飼い主は安全を求めている

貨物室輸送では死亡事故も

中堅航空会社のスターフライヤーが、国内の定期便にペットを持ち込めるサービスの導入を検討すると発表しました。導入を目指して検証フライトを行います。

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検証フライトを実施

スターフライヤーは、国内の定期便にペットを持ち込める「機内ペット同伴サービス」(仮称)の導入を検討すると発表しました。モニターを選出し、検証フライトを実施します。

持ち込みが可能な動物は50cm×40cm×40cm程度のペットゲージに入る小型の犬と猫です。最後列の座席の上にゲージを置いてシートベルトで固定します。

飼い主は隣の席に座ります。機内でペットをケージから出したり、餌を与えたりすることは禁止します。追加料金など詳細は未定で、2022年にも本格導入を目指します。

検証フライトは羽田~北九州間で行われ、10月1日~3日の上下各1便です。新型コロナウイルス感染症の影響で旅客需要が落ち込むなか、ペットと一緒に機内に乗れる仕組みを整えて、新規需要の掘り起こしを目指します。

スターフライヤーペット同伴
画像:スターフライヤープレスリリース

貨物室預かりにはリスク

現在、日本の航空会社で、ペットを客室内に持ち込めるサービスを実施している会社はありません。かつては客室同伴が可能だった時代もありましたが、現在は禁止されています。JAL、ANAなど主要航空会社で旅行者と同じ便にペットを持ち込むことは可能ですが、貨物室での預かりとなります。

ペットを貨物室に預けることにはリスクがあります。たとえば、貨物室は空調が効いているものの、積み降ろしの際は外気にあたるので、激しい気温差にさらされることがあります。貨物室の気圧は客室と同じですが、地上に比べれば低いです。また、貨物室内は飛行中に照明を消すので、真っ暗です。こうした環境の変化にペットが耐えられないことがあるのです。

ペット輸送に関するリスクをウェブサイト上で明示している航空会社はANAです。「日常生活とは大きく異なる輸送環境は、ペットの健康状態に様々な影響を与え、衰弱、もしくは死傷することがあります」と、はっきりした表現でリスクを示しています。

ANAは過去の事故として、2015年以降で7件の犬が死亡したことも公表しています。貨物室にペットを預けることは安全とは言い切れないのです。

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注目を集めそう

こうした厳しいリスクがあるために、ペットとの飛行機旅行をためらう飼い主は少なくありません。しかし、ペットを客室に同伴することができればリスクを軽減できます。客室気圧の問題は避けられませんが、それ以外のストレスは減り、ペットが死傷する可能性は大きく減るでしょう。

それだけに、スターフライヤーのペット同伴サービスが実現すれば、ペットを飼っている旅行者の注目を集めるのは間違いありません。

同伴サービスの対象ペットは、いわゆるSサイズのゲージに入る大きさに限られます。チワワなどの小型犬や猫だけが対象になりますが、小さな犬や猫のほうが環境に弱いので、客室に同伴できる意味は大きいといえます。

他の客への配慮をどうするか

課題は、他の旅客への配慮でしょう。アレルギーを持つ人もいますし、ペット嫌いの旅客もいます。

新サービスで、スターフライヤーがどういう形で他の旅客に配慮するのかは、まだわかりません。動物持ち込み可能なエリアを指定して、あらかじめ告知するという方法がオーソドックスですが、苦情が生じたときにどう対処するかなどは課題になるでしょう。搭乗の順序、座席清掃などにも配慮が必要になりそうです。

検証フライトでは、こうした課題を整理して、オペレーションの方向性を固めるとみられます。

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新幹線と比べると

ちなみに、新幹線に持ち込めるペットのケージの大きさは、タテ・ヨコ・高さの合計が120cm以内と定められています。スターフライヤーの50cm×40cm×40cmとほぼ同サイズです。

ただ、新幹線はペットのために座席を確保することは禁じられていますので、東京~九州間をペット同伴で新幹線に乗るのは大変でしょう。比べれば、搭乗時間の短い飛行機がラクなので、客室に同伴できるようになれば注目を集めそうです。

飼い主が航空会社に求めるのは、何よりもペットの安全でしょう。スターフライヤーの新サービスが定着し他社にも広まるのか。注目です。(鎌倉淳)

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