東京オリンピック関連の臨時列車として運行を予定していた、東北新幹線の仙台発東京行き「夜行列車」の運転が取り止めとなりました。宮城スタジアムでのサッカーは有観客で行われるのに、なぜ臨時列車は運行しないのでしょうか。
午前0時以降に走る
JR東日本は、東京オリンピックの観客輸送を目的とした東北新幹線の臨時列車の運行を取りやめると発表しました。7月21日~28日にかけて宮城スタジアムで予定されていた男女サッカー競技の開催にあわせた列車で、午前0時を過ぎて走る「夜行新幹線」として注目を浴びていましたが、運行は幻となった格好です。
運行を中止するのは、宮城スタジアムでサッカー競技が行われる7月21日、24日、27日、28日に設定されていた、東北新幹線の臨時列車。いずれも午前0時をすぎて運行しますが、なかでも「やまびこ422号」は、仙台00時45分発、東京04時20分着の「夜行新幹線」として異彩を放っていました。
これらの新幹線は、騒音抑制のため、午前0時以降は最高時速を大宮~盛岡間で160km/hに抑制。東京~大宮間では70km/hにまで抑える予定でした。
真夜中に走る「やまびこ422号」に関しては、到着時刻を都内の始発時間帯にあわせたこともあり、最高速度を100km/hに抑えるダイヤを組んでおり、仙台~東京間の所要時間は3時間35分となっています。日中の通常運転の約2倍で、この鈍足ぶりも話題でした。
なぜ取り止め?
運行すれば、東北新幹線では、少なくとも国鉄民営化以来では初めての夜行新幹線となる予定でした。全車自由席を予定していたこともあり、観客だけでなく鉄道ファンも殺到するとみられていました。
運転を取りやめた理由は、「政府や東京都、国際オリンピック委員会などの5者協議の決定」を踏まえたとしてます。首都圏の会場が無観客になったためですが、宮城スタジアムでは、サッカー競技は有観客で行われる予定です。
となると、宮城スタジアム関連の臨時列車に関しては、運転を取りやめる必要はなかったはず。それを取りやめた理由は、鉄道ファンが殺到することによる混乱を危惧したのかも、と思ってしまいそう。
実際のところ、運行を取りやめた理由は、そもそも臨時列車の設定は大会組織委員会の要請を受けたものだったところ、要請自体が取り下げられたため、ということです。ただ、鉄道ファンによる「密」を恐れた側面もあるのかもしれません。(鎌倉淳)