JR北海道が廃止の方針を示している根室線・富良野~新得間について、沿線自治体が鉄道廃止とバス転換を含めた協議に入ることを確認しました。存廃協議が本格的に始まります。
単独では維持困難
JR北海道は、根室線・富良野~新得間について、「単独では維持困難」として、バス転換へ向けた協議に入ることを沿線自治体に求めてきました。このうち東鹿越~上落合信号場間は、2016年8月の台風で被災したことで5年にわたり不通が続いていて、JR北海道は復旧作業に手を付けていません。
これに対し、沿線7市町村(滝川市、赤平市、芦別市、富良野市、南富良野町、新得町、占冠村)で構成する「根室本線対策協議会」は、これまでバス転換を前提とする協議には応じない姿勢を貫いてきました。
しかし、2020年12月に国交省がJR北海道への支援策を提示した際、JRがバス転換の方針を示している路線に対する支援策が盛り込まれなかったことから、対策協議会は、今後も協議を拒否しつづけることは困難と判断。2021年7月6日に開かれた総会で、バス転換か、維持管理費を負担して存続させるかについて、具体的な協議に入ることを決めました。
総会では、JR北海道から、鉄道存続の場合、年間10.9億円の維持費の負担が必要との見解が示されました。総会後に取材に応じた北猛俊・富良野市長は「バス転換ありきでもなければ、廃止ありきでもない。全てはこれから議論が始まる段階」としながらも、「今のままでの存続を求めることは難しい」と胸の内を明かしました。
正式決定ではないが
根室線富良野~新得間は、2015年度の輸送密度が152ときわめて低く、営業係数は1,854と収益性が悪い区間です。存続する場合は、被災からの復旧費用がのしかかることもあって、鉄道存続のハードルはかなり高いとみられています。
これからバス転換を含めた協議に入るという状況ですので、まだ廃止が決まったわけではありません。しかし、国も道も支援をしない方針を示しているため、存続なら沿線自治体だけで支えなければならず、かなり困難でしょう。
対策協議会が廃線を含めた協議に入ることで、廃止が現実的に視野に入ってきたといえそうです。(鎌倉淳)