タイ国鉄が運営する都市鉄道SRTのレッドラインが、2021年夏にも開業します。バンコク市北部にあるドンムアン空港と市内が結ばれます。
日本が建設に協力
バンコクのSRTレッドラインは、タイ国鉄(SRT)が施設を保有し、タイ国鉄傘下のSRTエレクトリファイドトレインが運営する鉄道新線です。スワンナプーム空港への路線であるエアポート・レール・リンクと、運営体制は同じです。
レッドラインはバンコク中心部に近いバンスーを起点とする鉄道として計画されました。ダークレッドラインとライトレッドラインの2系統があり、ダークはバンスー~ランシット間の26.4kmを南北に結ぶ路線、ライトはバンスー~タリンチャン間の約14.6kmを東西に結ぶ路線です。
ダークレッドラインは日本の円借款、ライトレッドラインはタイ政府自己資金で建設されます。ダークレッドラインの建設プロジェクトは日本の企業連合が受注。三菱重工が信号・通信・軌道・電力などシステム関連、日立製作所が車両の設計や製造、住友商事が商務の取りまとめなどを担当しています。
ダークレッドラインには、すでに日立製作所から車両の引き渡しが行われており、試運転も開始されています。2021年7月までに仮開業、11月にも本格運行開始予定となっています。
ダークレッドラインの停車駅
ダークレッドラインの停車駅は以下の通りです。
バンスー中央 (Bang Sue Central Station)
チャトゥチャック (Chatuchak)
ワット・セーミアンナーリー (Wat Samian Nari)
バンケーン (Bang Khen)
トゥンソーンホン(Thung Song Hong)
カーンケーハ(Kan Kheha)
ドンムアン (Don Mueang)
ラックホック (Lak Hok)
ランシット(Rangsit)
バンコク中心部に近いバンスー駅から、国際空港のあるドンムアンまでわずか6駅。ドンムアン空港にはLCCが発着しますので、日本からの旅客も利用できます。空港到着後、都市鉄道で市の中心部まで行けてしまうわけで、非常に便利になるでしょう。
20世紀のバックパッカーにしてみれば、ドンムアンからローカルトレインや市内バスを利用して市街地へ向かっていた人も多いでしょうから、まさに隔世の感です。
ASEAN最大の駅
また、起点のバンスー中央駅にも注目です。面積は27万平方メートルで、ホアランポーン中央駅の19万平方メートルに比べて約1.4倍の規模。アセアン最大のターミナルになります。
現地報道によると、合計24のプラットホームがあり、近郊列車用に4、長距離列車用に8、高速列車用に10、エアポートレールリンクの延長区間用に2が割り当てられています。
ドンムアン、スワンナプーム、ウタパオの3つの空港を結ぶ拠点としても計画され、空港間の往来も便利になるでしょう。機能的にみても、アジアでも屈指のターミナルになりそうです。
21世紀になり、バンコク市内の鉄道網は非常に充実してきました。旅行者にとっては、東南アジアの旅の拠点として、ますます使いやすくなるでしょう。