大改造のまっただ中にある渋谷駅。玉川改札廃止の後、東急百貨店東横店の解体、新たな駅ビル建設などが続きます。渋谷の再開発は幅広いですが、ここでは渋谷駅利用者の乗り換え動線が、どう変わっていくかを中心にまとめてみましょう。
9月25日終電で閉鎖
JR東日本などは、山手線・埼京線渋谷駅の玉川改札を、2020年9月25日の終電を以て閉鎖すると発表しました。3月に営業を終了した旧東急百貨店東横店の解体にともなうものです。
東横店西館内の通路も閉鎖し、渋谷マークシティから東急東横店西館内を経て玉川改札へ歩くことができなくなります。つまり、井の頭線からJR山手線、埼京線、東京メトロ銀座線への現状の乗り換えルートが遮断されます。
かわりに、渋谷マークシティからJR線渋谷駅3階中央改札へつながる「(仮称)西口連絡通路」を設置します。西口連絡通路は西口バスターミナルの上をかすめる形でマークシティとJR駅とをつなぎます。これにより、井の頭線とJR線、銀座線の乗り換え動線を確保します。
さらに、渋谷フクラスと西口連絡通路をつなぐ2階レベルの連絡通路「渋谷フクラス接続デッキ」も開通します。
「本家しぶそば」も閉店
上図をみるとわかるように、井の頭線からJR線、銀座線への乗り換えは、これまでと距離が大きく変わるわけではありません。
ただ、心配なのが、3階中央改札と2階通路をつなぐ大階段の混雑でしょう。これに関しては、上記の案内図が西口連絡通路から1階のJR南口への動線も記していることから、混雑時には南口改札の利用も促すとみられます。
井の頭線と銀座線の乗り換えでは、旧東横店内のエスカレーターを通る経路が使えなくなります。井の頭線からは、西口連絡通路~大階段~JR中央改札を経て銀座線に至る経路を取ることになりそうです。
なお、大階段横にある「本家しぶそば渋谷店」は、玉川改札閉鎖に先立つ9月13日を以て閉店します。
渋谷駅土地区画整理事業
では、渋谷駅の大改造は、どういう最終形に向かっているのでしょうか。
それを示す前に、渋谷駅街区土地区画整理事業のおおざっぱな事業内容をおさらいしてみます。
東口駅前広場整備
渋谷駅東口(宮益坂口)に駅前広場を整備し、バスターミナルを再配置する。
東口地下広場整備
渋谷駅東口の地下1階~2階に、駅施設・駅前広場と一体的な公共空間を創出する。
西口駅前広場整備
渋谷駅西口のハチ公広場を拡充し、バスターミナルを再配置する。
西口タクシープール整備
渋谷駅西口のタクシー乗降場を地下化し集約、タクシープールを拡充する。
自由通路整備
JR渋谷駅の東西をつなぐ自由通路を1階レベルで整備・拡充する。
銀座線移設
東京メトロ銀座線の駅前広場内の橋脚を移設する。
渋谷川移設
渋谷駅東口の地下を流れる渋谷川を移設する。これにより東口地下広場のスペースを確保する。地区南側の渋谷川隣接区域では水辺空間用地を創出する。
地下貯留槽整備
渋谷駅地下広場や通路の浸水対策として、東口広場下部に雨水貯留施設を整備する。
おおざっぱに書くと、東西駅前広場を地上と地下で整備し、渋谷川を移設するわけです。
渋谷駅街区開発計画
こうした土地区画整理事業にあわせて、渋谷駅街区開発計画として、新たな駅ビルとなる渋谷スクランブルスクエアの整備が進められています。
渋谷スクランブルスクエアは、東棟、中央棟、西棟の3つに分かれ、東棟は開業済です。中央棟はJR渋谷駅の真上に整備され、西棟は西口広場に面して建てられます。
東棟は地上47階、地下7階の超高層ビル。中央棟は地上10階、地下2階、西棟は地上13階、地下5階建てです。
上図は上が南、下が北なので、少しわかりづらいかもしれません。
渋谷駅周辺では、こうした土地区画整理と再開発事業を、2010年度から2026年度まで、17年間をかけて行っているのです。