2020年7月豪雨による肥薩線の被害が450カ所にのぼることが明らかになりました。JR九州全体では、17路線計730カ所に被害が広がっています。
肥薩線の被害状況
JR九州は、2020年7月豪雨による肥薩線の被害について、これまで発表していた65カ所に加え、新たに385カ所の被害を確認しました。状況を確認できていなかった鎌瀬~渡間の被害が明らかになったものです。肥薩線全体で450カ所の被害が判明したことになります。
JR九州は、肥薩線の主な被害状況の写真を公開しました。以下で見てみます。
まず、段~坂本間では路盤が流出し、線路が宙に浮いています。
葉木~鎌瀬間でも路盤が流出しています。
葉木トンネル付近では、路盤流出で線路も流されています。
鎌瀬~瀬戸石間では、球磨川第1橋梁が流出。
瀬戸石駅構内では、ホームと路盤が流出。駅のホームが跡形もなく消滅しています。
海路~吉尾間も路盤が流出。
球泉洞駅構内では駅ホームが流出。駅舎も大きな被害を受けています。
球泉洞~一勝地間では切取崩壊と土砂流入。
一勝地~那良口間は路盤が流出。
那良口~渡間の第二球磨川橋梁は流出。
同じく那良口~渡間の小川橋梁付近では築堤崩壊。
渡駅構内では路盤流出。
人吉~大畑間では築堤崩壊。
どう復旧するのか
とくに被害が大きかったのは鎌瀬~渡間で、数多くの土砂流入、道床流出等が発生しました。被害の規模があまりに大きいため、現時点で、八代~真幸間の復旧の見通しは立っておらず、肥薩線は引き続き八代~吉松間で当面運行を見合わせます。
肥薩線の復旧費用がいくらになるのか、想像も付きませんが、JR九州単独での復旧は困難とみられます。今後、どういうスキームで復旧が可能なのか、地元自治体を含めた議論になりそうです。
久大線は豊後森~庄内間で見通し立たず
145件の被害が確認された久大線は、日田~豊後森間が8月8日、庄内~向之原間が8月末の運行再開を予定しています。橋梁流出など被害が大きかった豊後森~庄内間は復旧の見通しが立っていません。
26件の被害が確認された鹿児島線は、7月27日から串木野~鹿児島中央間で、8月1日から川内~鹿児島中央間での運転再開を予定しています。残る長洲~植木間についても、8月3日からの運転再開を予定しています。