広島駅はこう変わる! 駅ビル建て替え、路面電車が2階に乗り入れへ

2025年春に開業めざす

広島駅の建て替え計画の概要が公表されました。地上20階建ての駅ビルには、広島電鉄の路面電車が乗り入れます。新線・駅前大橋線の建設も含め、広島駅周辺がどう変わるのか、その全容を見てみましょう。

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地上20階建て

広島市、JR西日本、広島電鉄は、広島駅の駅ビルを建て替え、周辺を含めた再整備を行います。駅ビルは地上20階建てで、ショッピングセンターにくわえ、ホテルと映画館を併設、駅2階に路面電車が乗り入れます。

駅ビルの建築面積は約1万4000平方メートル。延床面積は約11万1000平方メートルに及びます。地上20階・地下1階建てで、高さ約100メートルの高層ビルとなります。

駅ビルの前面には大屋根を設置し、ゲート性を演出するシンボリックな空間に。大屋根などの構造物には、平和を願う人々の思いが込められた折鶴をイメージしたデザインや、平和を象徴する白い色彩を取り入れます。

広島駅新駅ビル
画像:JR西日本プレスリリース

ホテルにシネコンも

駅ビルのうち、物販や飲食などのショッピングセンターは、地下1階の一部と2階から6階までの約2万5000平方メートル。隣接する既存の駅ビル「ekie」(エキエ)の店舗面積を加えると約3万6000平方メートルに達します。

ショッピングセンターはJR西日本関連会社の中国SC開発が運営し、専門店街としてテナントを誘致します。

広島駅新駅ビル
画像:JR西日本

駅ビル西側の7階から20階までには、宿泊主体型のホテル「ヴィスキオ」を開業します。部屋数は400室規模。広島を訪れるインバウンドなど観光客の需要を見込みます。

駅ビル東側には映画館が入り、松竹マルチプレックスシアターズが広島県内に初出店します。駅ビルに直結する駐車場は約500台収容。これに加え、駅北西に別棟で約400台の駐車場を設けます。

既存の南口の駅ビル「ASSE」(アッセ)は2020年3月末で閉館します。

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JRと広電の乗り換えがバリアフリーに

駅ビルの最大の注目点は、広島電鉄市内線の路面電車が2階に乗り入れることでしょうか。広電の広島駅電停が、駅ビル内に移設されるわけです。

電停周囲は自然の光や風を多く取り入れた交通広場となり、JR広島駅の南北自由通路に直結。新幹線口改札や中央口改札との間をバリアフリーで移動できます。

広島駅ビル交通広場
画像:JR西日本プレスリリース

駅周辺にペデストリアンデッキ

路面電車の駅ビル乗り入れにより、広島駅でのJRから広島電鉄への乗り換え時間は、約2.1分から約1.3分に短縮されます。また、広島駅電停は、これまで乗車2カ所、降車4カ所だったのが、乗降とも4カ所になります。

駅ビルからは広島駅周辺の各方面へ連絡するペデストリアンデッキを設置。ビッグフロントひろしまや、福屋広島駅前店方面に接続します。デッキの一部にはイベントスペースを設けます。

広島駅周辺図
画像:JR西日本プレスリリース
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広島市内へ4分短縮

広島電鉄市内線は、駅ビル開業と同時に、駅周辺でルート変更します。駅ビル2階から高架橋を下り、駅前大橋を渡る「駅前大橋線」を新設。広島駅前から駅前大橋を経て稲荷町、日治山下へ至るショートカット路線が誕生します。

これにより、広島駅から八丁堀地区、紙屋町地区への距離が約200メートル、所要時間にして約4分が短縮されます。

広島電鉄駅前大橋線
画像:広島市

「架線レス」は先送り

猿猴橋町を経由する従来ルートは廃止。駅に乗り入れない市内中心部の循環ルートの運行も開始します。的場町から紙屋町、市役所前、皆実町六丁目、段原一丁目を経て的場町に戻る路線です。

駅前大橋線は、高架区間に架線を引かずに、バッテリーを装備した車両を投入する構想もありましたが、車両の準備が整わないのか、開業当初は架線を設置する方針となりました。

広島駅の新駅ビルと、広電の駅前大橋線は、2025年春の開業を目指します。広島駅前の様子は、これから一変しそうです。(鎌倉淳)

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