2023年春に開業が予定されている北陸新幹線の敦賀延伸後、JR西日本の在来線列車は敦賀以北に乗り入れないことが明らかになりました。開業後、大阪・名古屋方面と福井方面の往来は、敦賀乗り換えになることが決定的です。
フリーゲージトレイン断念で
北陸新幹線は敦賀延伸に際し、フリーゲージトレインによる新在直通を構想していました。しかし、フリーゲージトレインの開発の遅れや、経済性の問題で断念。開業後は、金沢方面からの新幹線列車は敦賀が終点という、中途半端な状態になります。
これに関し、福井県などは、敦賀開業後の利便性確保を要求しています。2018年8月27日には、西川一誠知事が「国交省とJR西日本は、新幹線敦賀駅での乗り継ぎ特急の全便確保や、大阪や名古屋方面からの特急乗り入れなどを実施すべき」との談話を発表。29日には国土交通省を訪れ、これら代替策を実施するよう求めました。
「乗り入れは考えていない」
こうした動きに対し、JR西日本が否定的な姿勢を示しました。同社の来島達夫社長は、9月19日の記者会見で、乗り入れについて「考えてない」と明言しています。
中日新聞9月20日付によりますと、来島社長は「金沢-敦賀間は新幹線、敦賀-新大阪間は特急を前提に、敦賀で乗り換えをスムーズに行うことが最適だ」と説明。ダイヤの調整や設備の工夫によって乗り換えの抵抗をなくす方針を示し、敦賀から福井方面への特急や新快速の乗り入れは「今、考えていない」と述べました。
大阪・名古屋発着の特急や新快速を、敦賀以北の並行在来線に乗り入させないことを明らかにしたわけです。
来島社長はフリーゲージトレインについても触れ、「今の技術や経済性の中では導入が難しい」と改めて否定的な見解を示しています。
上下移動で乗り換え5分
北陸新幹線敦賀駅に関しては、在来線特急用の線路を新幹線のホーム下に引き込むことが予定されています。上下移動のみ5分程度で乗り換えが可能なため、新在乗り換えとしては比較的利用者の負担は小さいでしょう。
とはいえ、北陸新幹線の敦賀以南の着工については見通しがついておらず、今後長期間にわたり関西・東海地方と北陸地方は、鉄道系統では分断されつづけることになります。(鎌倉淳)