JR北海道の路線見直しに関連し、北海道内の鉄道網のあり方を検討している道の有識者会議が、「単独では維持困難」とされる10路線13線区について、存続への優先順位を付ける方向であることがわかりました。宗谷線、石北線などが上位に入るようです。
道の有識者会議が結論
北海道では、道内鉄道網の方向性を検討する有識者会議「鉄道ネットワークワーキングチーム」が、2018年2月3日に検討結果をまとめます。その方向性について、1月23日の会合で、メンバーの認識が一致したとしています。
具体的な内容ですが、北海道新聞1月25日付によりますと、JR北海道が「単独では維持困難」とする10路線路線13区間について、「守るべき路線の優先度を5段階に分けて提示」し、「宗谷線や石北線など7路線8区間の維持を訴える方向で調整している」とのことです。
路線維持への優先度
道新によりますと、5段階の優先度は以下の通り。(2月1日修正済み)
1 宗谷線(名寄~稚内)、石北線(新旭川~網走)
2 釧網線(東釧路~網走)、花咲線(釧路~根室)、富良野線(富良野~旭川)
3 室蘭線(沼ノ端~岩見沢)、日高線(苫小牧~鵡川)、根室線(滝川~富良野)
4 留萌線(深川~留萌)、日高線(鵡川~様似)、根室線(富良野~新得)
5 札沼線(北海道医療大学~新十津川)
「鉄道網のあり方」報告書に沿う内容
この分類は、2017年2月に北海道の別の有識者会議がまとめた「将来を見据えた北海道の鉄道網のあり方について」報告書の内容に沿ったものとみられます。
「鉄道網のあり方」報告書では、道内鉄道網を「札幌圏と中核都市等をつなぐ路線」「広域観光ルートを形成する路線」「国境周辺地域や北方領土隣接地域の路線」「広域物流ルートを形成する路線」「地域の生活を支える路線」「札幌市を中心とする都市圏の路線」の6類型に分類しました。
今回のワーキングチームの優先度付けは、「鉄道網のあり方」報告書のうち、「中核都市路線」「広域観光ルート路線」「国境路線」「広域物流ルート路線」の維持を訴える一方で、「地方の生活路線」の廃止はやむを得ないと判断したものといえます。
3区間が議論か
ワーキングチームの示す5段階のうち、4の留萌線、日高線、根室線(富良野~新得)と5の札沼北線の廃止は、客観的に見ても免れないといえます。一方で、道内鉄道の骨格をなす1の宗谷北線、石北線、2の釧網線、花咲線の存続も妥当とみられます。
議論になるのは3の室蘭東線、日高線、根室線(滝川~富良野)の3区間でしょう。残すなら、どういう施策を講じるのか、赤字補填の財源をどこから持ってくるのか。難題は残されており、結論が出るにはもう少し時間がかかりそうです。(鎌倉淳)
*当記事は、2月1日に、報道各社の続報を受けて修正しました。