JR東日本が、仙台~気仙沼間155.3kmをノンストップで走る臨時快速列車を運行します。車両は「三陸マリンライナー」で使われたキハ58のkenji編成です。
3時間無停車
JR東日本仙台支社は、東北線と大船渡線を直通してノンストップで走る、臨時快速列車を2017年10月と11月に運行すると発表しました。仙台から一ノ関を経由して気仙沼に至る経路ですが、途中のターミナルである一ノ関駅も時刻表上では通過します。所要時間は仙台発が3時間5分、気仙沼発が2時間58分です。
列車名はなく、「直通臨時快速列車」と表記されています。概要は以下の通りです。
仙台・気仙沼「直通臨時快速列車」の概要
■時刻表
・仙台18:09→気仙沼21:14(11月3日は仙台18:11発に変更)
・気仙沼08:12→仙台11:10
■運転日
・10月9日(月・祝)、10日(火)、17日(火)、18日(水)
・11月3日(金・祝)、4日(土)、10日(金)、11日(土)
BRT転換で出された条件
仙台~気仙沼間には、東日本大震災前、気仙沼線経由の直通快速列車「南三陸」が1日3往復運行されていました。しかし、気仙沼線の一部区間が津波で被災し廃線(BRT化)となり、快速「南三陸」は復活していません。
気仙沼線のBRT転換協議のなかで、気仙沼市が受け入れの条件として仙台へのアクセス向上を条件として挙げていたことから、今回の臨時快速列車の運行になったとみられます。
実験的な列車
運転日に平日と週末や連休が含まれているのは、曜日による利用者数の動向を確認するためとみられます。また、ノンストップにした理由は、気仙沼市民だけを利用対象にすることで、どの程度の利用者があるかを見定めるためでしょう。運転日といいダイヤといい、実験的な列車であることが見て取れます。
ダイヤは気仙沼市民が仙台市へ日帰りしやすい設定になっています。ノンストップで途中の乗下車がありませんので、気仙沼発はもちろん、仙台発も座りやすい列車になるとみられます。その点でも、「気仙沼市民のための快速列車」といえるでしょう。
仙台~気仙沼間はバスでも3時間近くかかるので、ノンストップの直通列車なら、JR快速も太刀打ちできるかもしれません。ただ、三陸沿岸道が2020年度までに仙台~気仙沼間で完成する予定ですので、そうなると鉄道の勝ち目はなくなりそうです。したがって、この実験的なノンストップ直通快速も、長期的に定着する可能性は高くはないでしょう。
最後のキハ58系
使用車両となったkenji編成は、JR線に残る最後のキハ58系急行型気動車です。この珍しい車両を使用したのは、快適性もさることながら、特殊な車両にすることで誤乗を防ごうという意図もあるみられます。なにしろ、仙台駅で乗り間違えてしまったら、気仙沼駅まで連れて行かれてしまうのですから。
運転日の夕方に仙台駅から東北線下りを利用者の方は、くれぐれもお乗り間違いにご注意ください。車内販売はなさそうですから、乗車の方は飲み物くらい準備しておきましょう。(鎌倉淳)