大阪メトロ中央線は、夢洲駅から長田駅まで21.1kmを結ぶ路線です。森之宮検車場への側線1.1kmを旅客化する計画があります。
大阪メトロ中央線延伸の概要
大阪メトロ中央線の森之宮検車場側線旅客化計画は、森ノ宮駅から検車場までの側線(引き込み線)を営業線にして旅客化し、検車場北端付近に新駅を設けるものです。営業距離は1.1km程度です。

検査場付近に再開発計画があり、2025年9月に大阪公立大学が森之宮キャンパスを開設しました。大阪メトロも商業施設の建設を検討しています。新駅を設け、中央線が乗り入れることで、再開発エリアのアクセス向上を図ります。開業は2028年春の予定です。
新駅のデザインも、すでに公表されています。卵形の曲線的なデザインが特徴的です。駅舎内部は開放的な雰囲気です。


中央線は、2025年の万博開催時までに夢洲まで延伸しましたが、万博開催中は最小運行間隔を現行の3分45秒から2分30秒にまで短縮して輸送力を強化しました。その際、計13編成を増備し、その留置のために森之宮検車場の既存の保守施設を移転または撤去し、留置線を整備しました。

増備した車両は、万博終了後に改造のうえ、他路線へ転用します。転用後、留置線を撤去して、その跡地に新駅を設置します。留置線に出入りするための側線を営業路線にするため、線路設備や信号設備を強化します。こうした段階を踏んで、2028年春に新駅が開業する見通しです。

大阪メトロ中央線延伸の沿革
ここでは、大阪メトロ中央線の夢洲延伸を中心に、延伸の沿革を振り返ります。
大阪南港のコスモスクエアのある人工島を咲州、その北にある島を夢洲、さらに北にある島を舞洲といいます。これらの人工島をつなぐ鉄道を敷く構想は、1983年に「テクノポート大阪計画」が発表されたころから具体化し始めたようです。大阪湾岸を大規模開発する計画で、アクセス路線として、当時の地下鉄中央線の終点だった大阪港と、「ニュートラム」の終点だった中ふ頭とを結ぶ路線計画が浮上します。
1989年の運輸政策審議会第10号答申では、大阪港~海浜緑地(コスモスクエア)~中ふ頭間が「南港テクノポート線」として、2005年までに整備することが適当な路線として盛り込まれました。そのほか、海浜緑地(コスモスクエア)~北港南(夢洲)~北港北(舞洲)間が「北港テクノポート線」として、2005年までに整備に着手することが適当な路線とされました。「北港テクノポート線」は、さらに北港北から此花方面が「今後路線整備について検討すべき方向」として盛り込まれています。

この時点では、大阪港~コスモスクエア~中ふ頭をすべて新交通システム「ニュートラム」で建設する構想でした。しかし、1990年代に入ると、南港と北港の開発を目指す大阪市が、大阪港~コスモスクエア間について地下鉄中央線の延伸とする方針に変更。「北港テクノポート線」の海浜緑地(コスモスクエア)~北港北(舞洲)間を、それにつながる地下鉄と位置づけました。
背景として、大阪市のオリンピック誘致がありました。1991年に、大阪市は2008年オリンピックの招致を開始。夢洲を選手村予定地とし、舞洲を会場予定地とする計画で、アクセス路線として地下鉄中央線を大阪港からコスモスクエアを経て、夢洲、舞洲まで延ばすという構想になったのです。
コスモスクエア~中ふ頭間については、ニュートラムの延伸とされました。1997年12月に、大阪港~コスモスクエア間の地下鉄と、コスモスクエア~中ふ頭間のニュートラムが開業。ただし、このときの事業主体は、いずれも第三セクターの「大阪港トランスポートシステム(OTS社)」で、大阪市営ではありませんでした。
1998年には、「北港テクノポート線」の計画は新桜島までに拡大されます。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の誘致が決まったことを受けたもので、新桜島駅はUSJの北側に隣接する位置に予定されました。新桜島駅には、JR桜島線の延伸が想定されていて、JRが桜島~新桜島間に約1kmの新線を建設する計画となっていました。
OTS社は、2000年7月19日にコスモスクエア~夢洲~舞洲~新桜島間7.5kmの第一種鉄道事業者の許可を申請。建設費は1870億円です。2000年度着工、招致を目指すオリンピックが開催される2008年の開業を目標としていました。実際に2000年10月に、コスモスクエア~新桜島間の事業許可を取得し、咲洲と夢洲と結ぶ道路併用の「夢洲トンネル」(現夢咲トンネル)の着工に漕ぎ着けます。
ところが、2001年のIOC総会で大阪はオリンピック招致に失敗。しかし、トンネル工事はそのまま続き、道路部だけ2009年に開通することになります。一方、オリンピックが実現しなかったことで夢洲の開発は頓挫し、アクセスとなる地下鉄も不要になり、北港テクノポート線計画は凍結されてしまいます。2004年10月8日に策定された近畿地方交通審議会答申第8号では、北港テクノポート線は「事業中路線」の扱いで、特記されませんでした。
この答申第8号では「中期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として京阪中之島線を中之島駅から西九条駅を経て新桜島および夢洲方面へ延伸する案が示されました。下記は建設中の夢洲トンネルの概要図で、北港テクノポート線は新桜島駅から先へ伸びています。この時点では、すでにJR桜島線への直通ではなく、京阪中之島線への乗り入れを想定していたようです。

一方、大阪港~コスモスクエア~中ふ頭の運営を担っていたOTS社は、開業後、たちまち経営難に陥ってしまいました。2005年7月には、大阪港~コスモスクエア~中ふ頭間の運営を大阪市交通局に移管。これにより、大阪港~コスモスクエア間が大阪市営地下鉄中央線に編入されました。
凍結されていた北港テクノポート線計画が再び動き出したのは、2014年ごろからです。夢洲において統合型リゾート(IR)の誘致が決まり、さらに2025年の万国博覧会の大阪招致を目指すことが決まったため、コスモスクエア~夢洲間について、アクセス路線として延伸が再検討されることになったのです。民営化した大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)も中期経営計画で、中央線の夢洲延伸について2024年度の開業を目標と設定しました。
そして、2018年には、実際に2025年万博の開催地が大阪で決定したため、中央線の夢洲延伸が正式に決まったのです。
これにより、大阪メトロ中央線は、2024年度までにコスモスクエア~夢洲間3.2kmの延伸が行われることになりました。整備事業者はOTSで、大阪メトロは運行を担う第二種鉄道事業者となります。夢洲延伸は、2025年1月19日に開業しています。
北港テクノポート線という枠組みで考えると、夢洲~舞洲~新桜島間の延伸計画が残ります。この区間については、現時点で建設に向けて決定したことはありません。JR西日本が桜島線延伸による建設を検討していますが、いまのところ構想段階で、具体化していません。
森之宮新駅については、2022年12月に大阪メトロが公表しました。森之宮検車場周辺では再開発が予定されていて、そのアクセス線となります。
留置線に出入りするための側線を営業路線にするため、線路設備や信号設備を強化します。こうした準備を経て、2028年春に新駅が開業する見通しです。
大阪メトロ中央線延伸のデータ
| 営業構想事業者 | 大阪市高速電気軌道(大阪メトロ) |
|---|---|
| 整備構想事業者 | 大阪港トランスポートシステム |
| 路線名 | 中央線 |
| 区間・駅 | 森ノ宮~森之宮検車場(仮称) |
| 距離 | 約1.1km |
| 想定利用者数 | 約2万人/日 |
| 総事業費 | 約50億円 |
| 費用便益比 | — |
| 累積資金収支黒字転換年 | — |
| 種別 | 第一種鉄道事業 |
| 種類 | 普通鉄道 |
| 軌間 | 1,435mm |
| 電化方式 | 直流750V第三軌条 |
| 単線・複線 | 複線 |
| 開業予定時期 | 2028年春 |
| 備考 | — |
※データはおもに『大阪市高速電気軌道株式会社中央線延伸(森ノ宮・(仮称)森之宮新駅間)の軌道事業特許について』(令和6年6月13日)より
中央線延伸の今後の見通し
大阪メトロ中央線森之宮検車場旅客化に関しては、既設の側線を利用するので、とくに大きな問題はなさそうで、予定通り2028年春には開業できるでしょう。
いっぽう、夢洲から先、舞洲、新桜島への延伸も、「北港テクノポート線」として計画が残っています。ただし、利便性に難があるため、おそらくは実現しないでしょう。
桜島~舞洲~夢洲への路線を作るとすれば、JR西日本が引き受ける可能性が高そうです。逆に言えば、大阪メトロ中央線としての湾岸部延伸計画は、おそらく夢洲止まりとなりそうです。
ただ、JRとて無条件に引き受けるわけではなく、IRが正式に決定し、大きな需要が見込める場合に限られそうです。
























