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横浜市営地下鉄ブルーライン新百合ヶ丘延伸

横浜市営地下鉄ブルーライン新百合ヶ丘延伸

横浜市営地下鉄ブルーラインは、あざみ野-湘南台を結ぶ40.4kmの路線です。あざみ野から先、新百合ヶ丘まで約6.5kmを延伸する計画があります。2019年1月23日に、横浜市と川崎市が事業化を決定しました。開業目標は2030年です。 横浜市営地下鉄ブルーライン延伸の概要 横浜市営地下鉄ブルーラインの延伸計画は、あざみ野-新百合ヶ丘間の約6.5kmです。途中すすき野付近を経由します。 ブルーラインの延伸計画の目的として、以下のような点が挙げられています。 ・横浜市と川崎市の拠点を結び、広域的な首都圏の鉄道ネットワークの一翼を担う路線になる。 ・東京都心方面と神奈川県央部を結ぶ鉄道路線を短絡し、災害等による輸送障害発生時の代替経路が 確保される。 ・川崎市北部・多摩地域と横浜・新横浜を乗り換えなしでつなぐことにより、新幹線駅(新横浜)や 空港(羽田)へのアクセスが向上する。 2020年1月21日の横浜市記者発表によりますと、ブルーラインの新百合ヶ丘延伸が実現すれば、あざみ野-新百合ヶ丘間が約10分で結ばれます。新百合ヶ丘-新横浜は約27分となり、現在の町田経由に比べて8分ほど短縮します。 ルートは東側、中央、西側の3案がありましたが、東側ルートに決定しています。あざみ野-嶮山付近-すすき野付近-ヨネッティー王禅寺-新百合ヶ丘というルートです。 途中駅は3駅です。途中駅の予定地は、「嶮山」があざみ野ガーデンズ付近、「すすき野」がすすき野2丁目交差点付近、それとヨネッティー王禅寺付近です。   事業費と開業予定 2014年度から横浜市が事業化に向けて本格的な調査をしており、2019年1月23日に横浜市と川崎市が建設に向け合意。『横浜市高速鉄道3号線の延伸に関する覚書』を締結しました。2020年1月21日に正式ルートが決定しました。 乗車人員は 1日あたり79,000人で、概算事業費は1,720億円、累積資金収支は 34年目で黒字転換すると試算されています。 覚書締結後、環境アセスや都市計画決定などに進む予定で、建設には10年程度を要し、開業目標は2030年とされました。 しかし、その後、建設の動きは停滞しています。 2024年05月21日の横浜市議会下水道河川・水道・交通委員会で、市側は、「高速鉄道3号線延伸事業の推進は、昨今の建設物価の高騰や新型コロナウイルス感染症の影響による鉄道需要の減少など新たな課題への対応に時間を要している状況」と説明しています。事業費が高くなり、需要予測は低くなっていて、事業計画の見直しが必要になっていることを示唆しています。 市側は「課題の解消に向けて引き続き取り組むとともに、早期の事業着手に向けた調査・設計の深度化や関係機関との協議などを進めてまいります」とも述べており、事業化へ向けた検討は進められているようです。 横浜市営地下鉄ブルーライン延伸の沿革 横浜市営地下鉄ブルーラインがあざみ野まで開業したのは1993年。その後、2000年の運輸政策審議会答申第18号で、あざみ野-すすき野付近が「2015年までに開業することが適当」、すすき野付近-新百合ケ丘が「2015年までに整備着手することが適当」と位置付けられました。 しかし、計画はなかなか前に進みませんでした。その理由として、新百合ヶ丘駅が川崎市にあり、横浜市が勝手に延伸を決めることができなかったからです。答申18号で「すすき野」が分界点となっているのは、すすき野までが横浜市という事情がありました。 一方の当事者である川崎市は、2000年当時、川崎縦貫鉄道(川崎市営地下鉄)の新百合ヶ丘駅へ乗り入れ構想を抱えていました。そのため、川崎市はブルーラインの乗り入れに消極的だったのです。 しかし、川崎縦貫鉄道計画は、事業性に難があり頓挫。2011年度に両市間で『新たな交通体系検討に向けた横浜市と川崎市の連携協力に関する覚書』が結ばれ、横浜市が南武線高架化に協力する見返りに、川崎市はブルーラインの新百合ヶ丘延伸に協力することとなりました。 横浜市は2014年度から事業化に向けた調査を本格化。2015年には、両市が連携して交通政策審議会に提案を行っています。 その結果、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』で、ブルーラインのあざみ野-新百合が丘延伸が「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として盛り込まれています。 横浜市では、2018年度までに事業化に向けた基礎調査を終了し、建設の可否を判断するとし、2019年1月23日に事業化を正式決定。川崎市と『横浜市高速鉄道3号線の延伸に関する覚書』を交わすに至りました。2020年1月21日にルートが正式決定しました。 横浜市営地下鉄ブルーライン延伸のデータ 横浜市営地下鉄ブルーライン延伸データ 営業構想事業者 横浜市交通局 ...
横浜環状鉄道

横浜環状鉄道(グリーライン延伸)

横浜環状鉄道は、鶴見から日吉、港北ニュータウン、中山、二俣川、東戸塚、上大岡、根岸を経て、元町・中華街に至る鉄道路線計画です。途中の日吉-中山間13.1kmが横浜市営地下鉄グリーンラインとして開業済みです。 したがって、横浜環状鉄道は、おもにグリーンラインの延伸計画です。元町・中華街~根岸間については、みなとみらい線の延伸として計画されています。 横浜環状鉄道は現時点では構想段階で、事業化や開業時期の予定などは決まっていません。 横浜環状鉄道延伸の概要 横浜環状鉄道は、鶴見から日吉、港北ニュータウン、中山、二俣川、東戸塚、上大岡、根岸を経て元町・中華街に至る鉄道路線です。このうち、日吉~港北ニュータウン~中山間が横浜市営地下鉄グリーンライン(横浜市高速鉄道4号線)として開業しています。 横浜環状鉄道は、このグリーラインを鶴見・二俣川方面に延伸する一方、みなとみらい線を根岸方面に延伸する構想です。 路線の建設の意義としては、以下のような点が挙げられています。 ・市域の主要な生活拠点を結び、横浜市の鉄道ネットワークのより一層の充実が図られる路線である。 ・横浜駅を中心とした放射状の鉄道路線を短絡し、災害等による輸送障害発生時の代替経路が確保される。 ・市域の主要な生活拠点を乗り換えなしでつなぐことにより、人の流れの増加、業務圏・商圏の拡大などが期待できる。 整備後は、日吉-鶴見が11分、中山-二俣川が11分、二俣川-東戸塚が9分、東戸塚-上大岡が8分、上大岡-根岸が6分、根岸-元町・中華街が9分で結ばれるとしています。ルートや途中駅などの詳細は未定です。   概算事業費と概算事業費 全体を整備した場合の概算事業費は、概算7,700億円と見積もられています。区間別の試算は以下の通りです。 日吉-鶴見(2021年度試算) ・想定利用客数:35,000人~49,000人/日 ・建設費:1,300億~1,400億円 中山-二俣川(2016年度試算) ・想定利用客数:25,000人~30,000人/日 ・建設費:1,400億~1,600億円 根岸-元町・中華街(2016年度試算) ・想定利用客数:18,000人~20,000人/日 ・建設費:1,400億~1,600億円 この試算は、鶴見-根岸間はグリーンラインのリニア式地下鉄を建設するという前提になっています。また、根岸-元町・中華街はみなとみらい線に乗り入れるとして、従来型鉄道での建設が想定されています。 したがって、横浜環状鉄道を全線で整備した場合、根岸が分界点となりそうです。 事業化の見通しは? 全区間において、現時点で事業着手の予定はありません。2022年3月14日の横浜市議会国際・経済・港湾委員会で、副市長は横浜環状鉄道の計画について、「計画として生きている状況」と説明したものの、「事業としてなかなか難しい。要するに、投資してもすぐなかなか黒字にならないという大変厳しい状況」と答弁しています。 また、2023年10月11日の横浜市議会決算第一特別委員会では、グリーラインの二俣川延伸について問われた副市長が「中山駅からズーラシアまで鉄道が整備されれば、来園者の増加あるいはグリーンラインの利用者増につながる可能性はある」としながら、「多額の事業費がかかるわりに乗るお客さんが少ない」「ズーラシアの入園者の方々も乗るだろうという前提でやってみてもちょっと厳しい」などと、事業性に課題があるとしました。 そのうえで、「例えば工事費をもっと安くできないか、あるいはもっと人が乗るように沿線でにぎわい施設とかまちづくりを進められないかといったこととセットで整理をしていかないとなかなか難しいというのが現状」と答弁しています。 横浜環状鉄道の沿革 横浜環状鉄道計画の前身となる地下鉄計画は、1966年の都市交通審議会答申第9号に掲載されています。4号線として「鶴見-末吉橋-勝田-元石川付近」が盛り込まれました。 その後、1985年の運輸政策審議会答申第7号では、「日吉から高田町を経由して港北ニュータウンに至る路線」「その先横浜線方面への延伸」、「東神奈川からみなとみらい21地区を経由して元町付近に至る路線」「その先根岸方面への延伸」、「根岸から上大岡、東戸塚を経由して鶴ヶ峰に至る路線」が盛り込まれました。 2000年の運輸政策審議会答申第18号では、これらを統合して、「横浜環状鉄道(仮称)の新設」として、元町-鶴見間について2015年までに整備着手が適当である路線として位置付けました。 このうち、日吉-中山間が2001年1月30日に着工され、2008年3月30日にグリーンラインとして開業しました。 しかし、この区間以外については、着工に向けた準備は進んでいません。横浜市ではブルーラインの新百合ヶ丘延伸のメドが経った後に、横浜環状鉄道の事業化に向けた詳しい調査をする方針のようです。 横浜環状鉄道のデータ 横浜環状鉄道データ 営業構想事業者 未定 ...
小田急多摩線延伸

小田急多摩線相模原延伸

小田急多摩線は、新百合ヶ丘-唐木田を結ぶ鉄道路線です。唐木田から先、相模原駅を経て上溝駅までの延伸計画があり、さらに愛川町方面から厚木市まで延ばす構想もあります。唐木田-上溝間については、2016年の国土交通省交通政策審議会答申198号に盛り込まれました。 唐木田-上溝間に、途中2駅(うち1駅が相模原駅)が設けられる計画です。相模原駅までの先行開業が見込まれています。開業予定時期は未定です。 小田急多摩線延伸の概要 小田急多摩線は1974年に新百合ヶ丘-小田急永山間が開業し、1990年に唐木田まで延伸されました。これを上溝まで延伸しようというのが小田急多摩線の延伸計画です。 小田急多摩線延伸は、相模原市と町田市が要望しており、両市は2014年5月26日、多摩線延伸推進に関する覚書を取り交わし、中央新幹線開業が予定される2027年までの実現を目指すことで合意しました。 2016年に8月には「小田急多摩線延伸に関する関係者会議」(関係者会議)を設置。小田急、JR、学識経験者などを交え、2019年2月まで7回にわたり延伸の採算性などを検討しました。その結果をまとめた報告書が2019年5月に公表されています。 ルート詳細 小田急多摩線の延伸ルートは下図の通りです。 唐木田駅の先にある小田急唐木田車庫の東側2線を延伸し、町田市に入り、小山田地区付近に「中間駅」を設置。さらに返還された米軍相模総合補給廠跡を縦断し、相模原駅で横浜線と交差します。 相模原駅は地下で、地下道でJR横浜線の相模原駅と接続します。 その先は県道503号の下を通り相模線上溝駅に到達します。上溝駅は高架で、JR相模線と平行に駅を設置し、改札口の位置も揃えます。   運行形態と所要時間 総延長は8.8km、設計最高速度は100km/hで、開業した場合、小田急多摩センター-上溝が約8分、新宿-相模原が48分、新宿-上溝が51分で結ばれるとしています。 急行運転も想定しており、ピーク時の急行は唐木田駅と中間駅を通過します。オフピーク時の急行は両駅にも停車し、多摩センター~上溝間は各駅停車となります。 運転本数は、ピーク時に毎時9本(急行3本、各停6本)、オフピーク時に毎時6本(急行3本、各停3本)と想定しました。10分間隔をベースとし、ラッシュのみ急行を20分間隔で追加設定する形です。 多摩センター駅での追い越しを可能にするために、同駅を2面4線化します。また、多摩センター駅の唐木田寄りに引き上げ線も設置します。 輸送人員と建設費 2033年に開業すると仮定して、想定輸送人員は2033年に1日あたり73,300人、2045年に67,100人となっています。想定輸送密度は2033年に50,500人キロ、2045年に46,000人キロです。 概算建設費は1,300億円で、単年度資金収支で黒字転換まで11年、累積資金収支は黒字転換まで42年です。費用便益比については、開業後30年が1.2、50年が1.4です。 費用便益比は基準となる1.0を上回るものの、累積資金収支は基準となる40年を下回りませんでした。このため、報告書では、相模原駅の位置を変更し乗り換え利便性を改善する案と、相模原-上溝間の建設を先送りして唐木田-相模原間を先行開業する段階的整備案を検討。段階的整備案では、累積資金収支が26年となり、劇的に改善することがわかりました。 この報告書を受けて、相模原市の本村賢太郎市長は「唐木田―相模原の先行整備を軸に検討を進める」との姿勢を示しました。相模原先行開業での事業化方針を明らかにしたわけです。 相模原までの開業時期は未定ですが、報告書では建設期間を約6年と想定していて、2033年開業と仮定しています。ただし、相模原市は行財政改革のメドが付く2027年度までは事業着手をしない方針を示していて、調査のみにとどめています。 また、相模原先行整備案が浮上したため、相模原-上溝間の延伸時期は見通せなくなりました。 上溝から先、愛川町に入り、相模川西岸を本厚木まで延伸する構想もあります。ただ、上溝以遠は構想段階で、ルートや事業費などの詳細案は出ていません。 小田急多摩線延伸の沿革 多摩センター開業まで 1958年、小田急電鉄は、小田原線鶴川駅を起点とし、横浜線矢部駅、相模線上溝駅などを経由して津久井郡城山町(現・相模原市緑区)へ至る21.4Kmの「城山線」の免許申請を行いましした。この路線は結局実現しなかったのですが、小田急の上溝乗り入れの原点は、この城山線にあるともいえます。 多摩ニュータウンの開発が決まると、1964年に、小田急は喜多見駅を起点とし、稲城本町、多摩(多摩センター)、横浜線橋本駅を経由し城山町へ至る30.5Kmの新線建設免許を申請しました。これは、喜多見-稲城本町、稲城本町-城山間に分けて認可されます。 しかし、喜多見付近の住民から反対運動が起き、1967年に喜多見-多摩センター間の計画を放棄し、新たに新百合ヶ丘-多摩センター間の免許を受けました。この時点で、小田急多摩線は、新百合ヶ丘-多摩センター-橋本-城山に至る路線として計画されていたわけです。 1975年に小田急多摩線は小田急多摩センターまで開業します。しかし、多摩センター以西は京王相模原線と競合することもあり、小田急は1987年に小田急多摩センター-城山間の免許を失効させました。 さらなる延伸へ 城山延伸をあきらめた小田急は、多摩センターから南西方向への延伸を試みます。1990年3月に唐木田まで延伸し、唐木田駅の先に車両基地を設置しました。車両基地には留置線とは別に本線用線路が数百メートルほど敷かれ、さらなる延伸に備えた形となっています。 町田市、相模原市でも、小田急多摩線の延伸を求める声は強く、2000年の運輸政策審議会答申第18号で「唐木田から横浜線・相模線方面への延伸」が「今後整備を検討すべき路線」として盛り込まれました。 2006年8月には、ルート上にある在日米軍相模総合補給廠の一部返還が決定。これを受け、町田市、相模原市では、2006年11月に「小田急多摩線延伸検討会」を設立し、小田急などの協力を得て延伸の検討を進めました。2011年には、両市による「小田急多摩線延伸実現化検討調査」の結果をまとめ、これを公表しました。 唐木田から上溝に至る経路は、このときにおおむね決まり、途中駅も3駅とされています。 リニア開業を視野に 2012年7月に、検討会メンバーに学識経験者、国、東京都、神奈川県、多摩市を加えた「小田急多摩線延伸計画に関する研究会」を設置し、より深度化された検討を実施。2014年3月に調査結果を「小田急多摩線延伸計画に関する研究会報告書」としてまとめ、これを公表しています。 2014年5月には、町田市と相模原市が、協力して小田急多摩線延伸の取組みを進めることについて覚書を交わし、リニア中央新幹線の橋本駅開業する2027年度を開業目標としました。 2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、小田急多摩線の延伸(唐木田~相模原~上溝)が「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として盛り込まれています。 答申198号では、収支採算性の確保などの課題が示され、これに関する意見交換・検討を行うため、町田市、相模原市などでは「小田急多摩線延伸に関する関係者会議」を2016年8月に新たに設置。課題の解決に向け検討し、その報告書が2019年5月に公表されました。その内容は上記の通りです。 上溝より先、愛川、厚木方面への延伸については、2009年7月に相模原市、厚木市、愛川町及び清川村により「小田急多摩線の延伸促進に関する連絡会」が設立され、検討が進められることになりました。2014年10月には取組状況報告を公表。JR相模線上溝駅から本厚木駅方面に延伸するルートについて、今後検討の深度化を図っていくこととしました。 小田急多摩線延伸のデータ 小田急多摩線延伸データ 営業構想事業者 小田急電鉄 ...
相鉄いずみ野線延伸

相鉄いずみ野線延伸

相模鉄道いずみ野線は、二俣川~湘南台を結ぶ鉄道路線で、平塚方面まで延伸する計画があります。このうち、湘南台~倉見間が2016年の国土交通省交通政策審議会答申198号に盛り込まれ、とくに湘南台~慶應大学間3.3kmの延伸が先行して検討されています。 湘南台~慶應大学SFC(湘南藤沢キャンパス)間に単線を敷き、途中駅を一つ設ける構想です。現時点で事業化のメドは立っておらず、開業予定時期も決まっていません。 相鉄いずみ野線延伸の概要 相鉄いずみ野線は平塚まで延伸される計画があり、実際、相鉄は平塚までの免許も取得しています。当初の計画では湘南台駅から茅ヶ崎市北部を通過し平塚駅へと向かう予定でした。 その後、JR相模線倉見駅に東海道新幹線の新駅(相模新駅)を建設する計画が浮上し、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)ができたこともあり、湘南台~慶應SFC~倉見~平塚というルートが有力となりました。 このうち、事業化が計画されているのは湘南台~倉見間で、さらに湘南台~慶應SFC間を「先行区間」と位置づけて検討を進めています。   湘南台~慶應SFC間については、地元自治体や相鉄、慶應大学による「いずみ野線延伸の実現に向けた検討会」が、2010年度から調査を開始して、2012年6月11日に「とりまとめ」を発表しています。 それによりますと、総延長は3.3kmで、単線鉄道を敷設し、途中1駅を設置。オフピーク時に毎時3本、ピーク時に5本を運転するとしています。所要時間は5分で、相鉄・JR東急直通線を経由して慶應SFCから渋谷まで56分としました。 延長区間の経路は、湘南台駅から高倉遠藤線の地下を通り、藤沢厚木線(県道43号)の交点付近(イトーヨーカ堂付近)に途中駅(A駅)を設置。慶應大学の入口付近に終点(B駅)を設けるとしています。その先には車両基地を設けます。ほぼ全線が地下ですが、慶應大学駅付近は高架となります。   1日当たり利用者数は約25,800人、概算建設費は約436億円と試算されました。事業スキームは都市鉄道利便増進事業を用いた上下分離で、鉄道施設を第三セクターが保有し、相模鉄道が運行事業者となります。 2016年の答申時の検討では、概算事業費400億円、費用便益比0.4~0.3、収支採算性は発散という結果でした。 沿線自治体は2017年に慶應大、相鉄などによる「いずみ野線延伸検討協議会」を結成し、事業化へ向けた協議を開始しています。その後の検討で、総事業費は600億円程度に膨らむことが、藤沢市で報告されています。 交通政策審議会の答申では、需要の創出につながる新たなまちづくりの取組を進めることや、事業性について関係者による十分な検討が求められました。そのため、藤沢市では、新たなまちづくりとして、慶應大学周辺での土地区画整理事業などの実施を検討しています。 現時点で事業化のメドは立っておらず、開業予定時期は明らかではありません。 相鉄いずみ野線延伸の沿革 1985年の運輸政策審議会答申第7号で、それまでいずみ野止まりだった相鉄いずみ野線の湘南台までの延伸が盛り込まれ、平塚までの延伸も検討することになりました。 答申に従う形で、1990年にいずみ野~いずみ中央間が開業、1999年にいずみ中央-湘南台間が開業しています。続く2000年の第18号答申では、湘南台から相模線方面への延伸が「今後整備について検討すべき路線」と位置づけられました。 2004年には、神奈川県などが「いずみ野線延伸検討部会」を設置。相模線倉見駅に新幹線駅を誘致し周辺を開発する「ツインシティ」構想にあわせ、いずみ野線を倉見まで延伸しようという計画です。2007年3月に「とりまとめ」が公表されました。   それによりますと、湘南台~ツインシティ(倉見)間の8kmに、途中3駅を設置します。そのうち1駅が慶應大学駅で、湘南台~慶應大学駅間に1駅、慶應大学駅~ツインシティ駅間に1駅をそれぞれ設けます。湘南台~ツインシティ間の所要時間は、鉄道で約12分とされました。 しかし、事業採算性に難があることがわかり、2010年に「いずみ野線延伸の実現に向けた検討会」を設立し、第一期として慶應義塾大学SFC付近までの区間に限り、検討をしなおしました。その検討結果「とりまとめ」が2012年に公表され、事業採算性を確保できるという結論を得ています。 2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、湘南台~倉見間の延伸が「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として答申されました。 2017年には、沿線自治体と慶應大、相鉄などによる「いずみ野線延伸検討協議会」が結成されています。 相鉄いずみ野線延伸のデータ 相鉄いずみ野線延伸データ 営業構想事業者 相模鉄道電鉄 ...
埼玉高速鉄道延伸

埼玉高速鉄道岩槻延伸

埼玉高速鉄道は、赤羽岩淵~浦和美園間14.6kmを結ぶ鉄道路線で、赤羽岩淵から東京メトロ南北線に直通運転しています。終点の浦和美園から岩槻市を経て蓮田市まで延伸する計画があります。 埼玉高速鉄道は地下鉄の「東京7号線」と表記されるので、「地下鉄7号線延伸」とも呼ばれます。開業予定時期は未定です。 埼玉高速鉄道線延伸の概要 埼玉高速鉄道(地下鉄7号線)を、岩槻市、蓮田市まで延伸しようというのが、埼玉高速鉄道の延伸計画です。2014年(平成26年)の『地下鉄7号線延伸に関する報告書』で概要がまとめられています。 それによると、浦和美園駅~岩槻駅間の7.2kmが「先行整備区間」とされています。途中駅(いずれも仮称)として、埼玉スタジアム駅、中間駅の2駅を設置します。岩槻駅では、東武野田線(アーバンパークライン)と連絡します。 埼玉スタジアム駅は、サッカーの試合が行われるときのみ営業する臨時駅との位置づけでしたが、常設駅にする方向です。また、中間駅の位置は、目白大学岩槻キャンパス付近が想定されているようです。 浦和美園~岩槻間のほとんどが高架構造ですが、岩槻駅周辺のみ地下路線となります。 岩槻~蓮田間は「計画検討区間」とされ、途中に中間駅を設置することが検討されています。経路や中間駅の位置は未定ですが、大規模団地のアーバンみらい付近に中間駅を設けるルートが有力で、総延長は6.5kmとなります。蓮田駅では、JR宇都宮線と連絡します。 いずれの区間も、実際に建設された場合、運営は埼玉高速鉄道が担うとみられます。現時点では、事業性に課題があり、計画内容の精査をおこなっています。 埼玉高速鉄道延伸の沿革 2000年の運輸政策審議会答申第18号では、浦和美園~岩槻~蓮田について「2015年までに開業が適当である路線」とされました。 これを受け、2003年には、埼玉県、さいたま市、岩槻市が「地下鉄7号線に関する基本的考え方」を4原則2課題として整理。2005年には「埼玉高速鉄道検討委員会」が岩槻駅で東武野田線への直通運転を検討、大宮ルートと春日部ルートの2方向の案が議論されました。 しかし、東武野田線の設備などの事情で、乗り入れは不可能との結論が出て、東武野田線岩槻駅地下部に駅を建設する方向でまとまりました。 2011年度には、埼玉県とさいたま市による「地下鉄7号線延伸検討委員会」が設置され、2012年3月に提言をまとめました。「B/Cと採算性は一般的な目安に届いていない」とし、「採算性を改善させ、B/Cを向上させるための延伸実現に資する方策」の検討が必要という結論になっています。   検討委員会は同時に「沿線地域の活性化・開発を進めることで、プロジェクトの評価を高めることは可能」としました。これを受けて、さいたま市は同年4月に「地下鉄7号線延伸実現方策検討会」を設置して課題を整理。最終的に、2012年10月に、さいたま市は事業着手を延期し、沿線のまちづくりを進めて、5年後の着手を目指すこととなりました。 2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、浦和美園~岩槻~蓮田間の延伸が「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」として盛り込まれています。ただし「事業性に課題がある」とし、「事業性の確保に必要な需要の創出に繋がる沿線開発や交流人口の増加」などが求められました。 これを受け、さいたま市では、「地下鉄7号線(埼玉高速鉄道線)延伸協議会」を設置して協議を実施。2018年2月に、浦和美園~岩槻間について、「沿線開発と快速運転を行えば、B/Cと採算性が基準に達する」という結論を得ています。快速列車の想定停車駅は以下の通りです。 このとき、浦和美園~岩槻間の総事業費は860億円が見込まれました。 この報告後、さいたま市では中間駅のまちづくりの方針などを定め、事業化への準備を進めました。2021年6月には、清水勇人市長が「2023年度中に鉄道事業者に対する要請を行う」と市議会で表明。事業化への準備を進めることを明らかにしました。 しかし、その後、詳細な調査をおこなうと、資材の高騰などで建設費が増加することが明らかになります。2024年1月に、市側は工事費が860億円から1300億円に膨らむことを市議会特別委員会に報告。概算工期についても、れまで7年とされていたところ、昨今の人手不足が今後も恒常的に継続すると仮定した場合、18年程度となるとしました。 こうした調査結果をうけ、さいたま市は事業化要請を断念。整備計画、収支計画、運行計画について「課題解決」が必要とし、鉄道・運輸機構と埼玉高速鉄道に対し「技術的な協力・支援」を要請しました。両者はこれを受諾して、計画内容の精査をおこなっています。 埼玉高速鉄道線延伸のデータ 埼玉高速鉄道線延伸データ 営業構想事業者 埼玉高速鉄道 整備構想事業者 未定 路線名 埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線 区間・駅 浦和美園~埼玉スタジアム~中間駅~岩槻~蓮田 距離 浦和美園~岩槻7.2km 岩槻~蓮田6km 想定利用者数 20,200~27,500人/日(浦和美園~岩槻) 総事業費 1,300億円 費用便益比 -- 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 未定 種類 普通鉄道 軌間 1067mm 電化方式 直流1,500V 単線・複線 複線 開業予定時期 未定 備考 都市鉄道利便増進事業 ※データはおもに『地下鉄7号線(埼玉高速鉄道線)延伸協議会 報告書』(2017年度)より。総事業費は2024年のもの。 埼玉高速鉄道線延伸の今後の見通し 埼玉高速鉄道は盲腸線になっており、岩槻まで接続させることには意味があります。大宮から浦和美園まで鉄道だけでアクセスが可能になり、さいたま市内の鉄道のミッシングリンクを埋めることができるからです。したがって、さいたま市として意義のある事業といえます。 そのため、2000年の運輸政策審議会答申第18号以来、埼玉県、さいたま市は、埼玉高速鉄道の岩槻延伸に関して、強い意欲で望んできました。ただ、浦和美園エリアの人口がなかなか増えず、採算面の課題をクリアすることができないうえ、埼玉高速鉄道の経営難もあり、延伸着工には踏み切れませんでした。 埼玉県などは、2015年に埼玉高速鉄道に対し、事業再生ADRという私的整理に踏み切り、経営再建にメドを付けました。さらに2016年の交通政策審議会答申第198号答申を受けて、ようやく検討に入る段階に至りました。 2018年には、さいたま市が設けた「地下鉄7号線(埼玉高速鉄道線)延伸協議会」で、浦和美園~岩槻間について、「沿線開発と快速運行をすれば採算が取れる」との試算を得ました。試算内容を精査すると帳尻あわせの感もぬぐえませんが、事業化に向けて一つの弾みになったのは事実でしょう。 2021年には、清水市長が、埼玉高速鉄道への事業化要請をする姿勢を明らかにしたことで、事業着手への期待が高まりました。その後、建設費の高騰などで再検討を迫られていますが、浦和美園~岩槻間に限れば、いずれ着工に漕ぎ着ける可能性が高いといえます。とはいえ、直近の建設費の高騰を考えると、採算性のカベは厳しく、まだ不透明感は深いともいえます。 岩槻~蓮田間は、いまのところ構想の域を出ていません。ミッシングリンクを埋める意義も小さい路線なので、さいたま市には、着工へ向けた情熱もみられません。 郊外型ニュータウンの人口減少が始まっているいま、岩槻~蓮田間の事業化はかなり困難というのが正直な印象です。
東西交通大宮ルート

東西交通大宮ルート

東西交通大宮ルートは、大宮-さいたま新都心-浦和美園を結ぶ鉄道新線計画です。中量輸送機関の導入を構想しています。 具体的な計画は進んでおらず、構想段階です。実現の見通しはついておらず、開業予定時期も未定です。 東西交通大宮ルートの概要 さいたま市は、東西方向の軌道系交通機関が貧弱です。とくに、埼玉スタジアム2002に近い浦和美園地区は、大宮、浦和などさいたま市の中心部と隔絶しています。この状態を解消するために構想されているのが、東西交通大宮ルートです。 2016年交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では「まちづくりが進められている大宮駅周辺地区と浦和美園地区とのアクセス利便性の向上」を期待する路線とされました。同時に、「収支採算性に課題がある」とも指摘されており、「沿線開発や交流人口の増加に向けた取組」などを求められています。 実際のルートは未定です。198号答申時には、LRTを想定したモデルルートとして4案が示されました。 もっとも多くの利用者が見込めるのはルート1案で、大宮駅から埼玉新都市駅に南下し、東へ向かいます。首都高速埼玉新都心線の延伸区間を活用することから「高速道路活用ルート」と名付けられています。 ルート1の総延長は12.0km、総事業費は410億円、輸送密度は7,800人、費用便益比は1.26と見積もられました。大宮~浦和美園間に13個の停留所を設置し、28分30秒で結びます。 段階的整備へ 答申後、さいたま市では地域公共交通協議会東西交通専門部会を設置して、東西交通の導入に向けた議論を開始します。 その資料によると、LRTを採算に乗せるには1日40,000人 程度の利用者が必要で、東西交通大宮ルートでは満たせないとのこと。「モデルルート沿線の現状の移動ニーズではBRT・路線バスの導入が採算ライン」として、まずはBRTの導入を検討しています。 そのうえで、将来的なLRT導入を視野に入れます。いわば「段階的整備」で、第1ステップを「需要創出・利用促進段階」と位置づけ、「既存バス改善や路線バスサービスの充実」を図ります。 つづく、第2ステップを「LRT等の導入段階」と位置づけ、「BRT(専用軌道)、LRTなどを想定」するとしています。 要するに、現時点では、「大宮、さいたま副都心と浦和美園を結ぶバスを強化する」という方針です。したがってLRT計画は遠い将来の構想にとどまり、開業予定目標なども掲げられていません。 東西交通大宮ルートの沿革 東西交通大宮ルートは、2000年の運輸政策審議会答申第18号で「今後整備について検討すべき路線」とされ、「大宮~さいたま新都心~県営サッカースタジアム」が盛り込まれました。 続く2016年の交通政策審議会答申第198号では、「地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクト」とされ、「大宮~さいたま新都心~浦和美園」が盛り込まれました。 2017年に改定された「さいたま市都市交通戦略」にも盛り込まれています。2019年からは、さいたま市が「地域公共交通協議会東西交通専門部会」を設けて検討を開始しています。 東西交通大宮ルートデータ 東西交通大宮ルートデータ 営業構想事業者 未定 整備構想事業者 未定 路線名 未定 区間・駅 大宮~浦和美園 距離 約12.0km(モデルルート1) 想定輸送密度 7,800人/日 総事業費 410億円 費用便益比 1.26 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 未定 種類 未定 軌間 未定 電化方式 未定 単線・複線 未定 開業予定時期 未定 備考 -- ※路線データは「さいたま市地域公共交通協議会東西交通専門部会」の令和5年度資料から。LRTモデルルート1を抽出。 東西交通大宮ルートの今後の見通し 東西交通大宮ルートは、現時点では構想段階で、今後の見通しは立っていません。 さいたま市では、将来的なLRT整備を見据えつつ、まずは路線バスの強化などによる段階的整備を打ち出しています。 まずはBRTとして運行を開始できないか、と模索しているわけです。ただ、専用走行路などを確保するほどの道路空間はなく、実現したとしても、当面は一般道の走行にとどまるとみられます。 「段階的整備」というのは、「鉄道は無理」ということとほぼ同義です。したがって、鉄道や軌道としての東西交通大宮ルートの実現のメドは立っていません。
京成千原線

京成千原線延伸

京成千原線は、千葉中央-ちはら台を結ぶ10.9kmの鉄道路線です。ちはら台から先、辰巳台を経て海士有木までの延伸計画があります。ただし、計画は凍結状態になっていて、実現の見通しはついていません。開業予定時期も未定です。 京成千原線延伸の概要 京成千原線は、もともと小湊鉄道が千葉乗り入れを計画して本千葉-海士有木間で免許を取得した路線です。したがって、当初計画から、千葉市内と海士有木を結び、小湊鉄道線に接続または乗り入れる予定でした。 実際に建設したのは第三セクターの千葉急行電鉄です。しかし、1995年に千葉中央-ちはら台まで建設されたところで、計画は中断。ちはら台-海士有木間は、建設が凍結されました。 ちはら台から先は、辰巳台、国分寺台を経て海士有木に至る経路が予定されていて、辰巳台付近までは、線路用地も確保されている部分もありますが、今に至るまで延伸実現のメドは立っていません。   京成千原線延伸の沿革 1957年に、小湊鉄道が本千葉駅-海士有木駅間の地方鉄道業免許を取得したことで、この路線計画がスタートします。しかし、小湊鉄道は自力で建設することができず、第三セクターの千葉急行電鉄に免許が譲渡されました。 千葉急行電鉄は1992年に千葉中央駅-大森台駅間を開業。1995年にはちはら台まで延伸開業しました。しかし、利用者が伸び悩み、千葉急行電鉄は経営が行き詰まります。最終的には会社清算となりました。 千葉急行の路線は、1998年に京成電鉄に路線が譲渡され、京成千原線となりました。その際、関係者が協議し、単線である千原線の複線化は、1日の乗車人員が4万人に達した時をメドに検討し、延伸は複線化完了後に考察すると決められました。 その後、京成千原線の乗車人員は2万人程度で推移しているため、ちはら台までの複線化にも至っておらず、ちはら台以南の延伸は凍結されています。 下図は、市原市交通マスタープランに掲載された、辰巳台付近の路線計画位置図です。駅予定地付近にバスの交通結節点が整備される予定となっていました。   2000年の運輸政策審議会答申第18号では、「京成電鉄千原線の延伸(ちはら台か ら海士有木まで)については、沿線の開発状況等を見極めつつ、その整備を検討する」と記されました。しかし、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、記述が消えました。 2010年に制定された「市原市交通マスタープラン」では、京成電鉄千原線について「複線化と辰巳台方面への延伸も計画されています」と記されたものの、具体的な内容はありませんでした。 延伸の見通しが立たないまま、2019年10月14日に、ちはら台-海士有木間の工事施行認可の申請期限を迎えました。京成電鉄は申請期限の延長を申請し、2029年10月14日が新しい期限となっています。したがって、少なくとも2029年までは、海士有木延伸計画は形式として生き残ることになります。   京成千原線延伸データ 京成千原線延伸データ 営業構想事業者 京成電鉄 整備構想事業者 未定 路線名 京成千原線 区間・駅 ちはら台-海士有木 距離 約10km 想定利用者数 -- 総事業費 -- 費用便益比 -- 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 未定 種類 普通鉄道 軌間 1435mm 電化方式 直流1500V 単線・複線 未定 開業予定時期 未定 備考 -- 京成千原線延伸の今後の見通し 京成千原線は、2019年10月14日に、ちはら台-海士有木間の工事施行認可の申請期限を迎えました。これが大きな区切りとなりますが、京成電鉄は期限を10年間延長し、免許を維持しました。とはいえ、前途は多難です。 ちはら台の次の駅にあたる辰巳台までは、線路や駅用地の確保も進んでいて、千葉急行電鉄の利用状況がもう少し良ければ、ちはら台延伸直後に着工されていたかもしれません。ただ、人口減少時代を迎え、いまとなっては着工は望み薄です。 可能性はきわめて低いですが、仮に建設されるとしても、ちはら台-辰巳台間のみでしょう。辰巳台以南は用地確保も進んでおらず、海士有木までの延伸実現は絶望的です。

宇都宮ライトレール教育会館前延伸

宇都宮ライトレール(ライトライン)は栃木県宇都宮市と芳賀町を結ぶLRT(路面電車)です。 JR宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地14.6kmを結びます。さらに、宇都宮西口、東武宇都宮駅を経て教育会館前までの延伸が計画されています。 宇都宮ライトレール延伸の概要 宇都宮ライトレールは、宇都宮市と芳賀町を結ぶLRT路線です。JR宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地の約14.6kmが2023年8月に開業しました。 JR宇都宮駅西口方面の延伸計画は、宇都宮駅東口から大谷観光地付近までが検討され、教育会館前までの約5kmが整備区間とされました。   JR東北本線を高架で越えて、宇都宮市中心部西側にLRTを延伸します。   JR宇都宮駅西口から教育会館前まで、12箇所の停留所が計画されています。ただし、停留所の最終的な配置は未決定です。   教育会館前までの延伸は、2025年度に軌道事業の特許申請をおこない、2030年代前半の開業を目指します。 さらに、東武宇都宮線に乗り入れる計画もあります。東武宇都宮駅ビルの建て替えにあわせたタイミングで東武線に乗り入れ乗り入れられるように線路を接続する構想です。 2017年5月に栃木県経済同友会の地域振興委員会が提言した「トチギの未来夢計画」では、東武宇都宮駅でのLRT乗り入れ計画のイメージ図が記されています。 ただし、東武直通はまだ構想段階で、具体的な計画はありません。 宇都宮ライトレール延伸の沿革 宇都宮市では、東西の公共交通機関がバスしかなく、渋滞により定時性が確保できないなどの課題がありました。これを克服するため、新交通システムとしてLRT導入が検討され、2007年度に事業化に向けた本格的な調査が行われました。 導入に関しては賛否両論ありましたが、2013年3月、宇都宮市の「東西基幹公共交通の実現に向けた基本方針」で、LRT導入の方針が正式に示されました。 LRTの事業化に向けて詳細検討を行うため、「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」が設置されました。2015年11月には第三セクターの宇都宮ライトレール株式会社が設立され、事業が本格的にスタートします。 2016年に軌道法の特許を申請し、2016年9月に認可。2017年9月に工事認可を申請、2018年3月に着工しています。開業予定は2022年3月とされましたが、1年あまり遅延し、最終的に2023年8月26日に開業しました。 開業の前後に、宇都宮市では、早くも宇都宮駅西口方面への延伸事業に着手します。2022年8月22日の第34回芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会では「JR宇都宮駅東口停留場~宝木町1丁目・駒生1丁目付近(教育会館付近)」までの約5kmを整備区間と設定することを明らかにしました。 2024年2月1日の宇都宮市議会に公表した資料では、宇都宮駅東口~教育会館までに12箇所の停留所を設置する「イメージ」を公表。2025年度に軌道事業の特許申請するスケジュールとしています。開業予定は2030年代前半です。 宇都宮ライトレール延伸のデータ 宇都宮ライトレール延伸データ 営業構想事業者 宇都宮ライトレール 整備構想事業者 宇都宮市 路線名 未定 区間・駅 宇都宮駅東口~教育会館前 距離 約5km 想定利用者数 -- 総事業費 約400億円 費用便益比 -- 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 軌道事業 種類 軌道 軌間 1067mm 電化方式 直流750V 単線・複線 複線 開業予定時期 2030年代半ば 備考 社会資本整備総合交付金 ※データはおもに『第34回芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会資料』より。 宇都宮ライトレール延伸の今後の見通し 宇都宮ライトレールの駅東側開業区間は、想定以上の利用者を記録して順調です。これを受け、駅西側の教育会館方面への建設も加速しそうです。 開業済区間の利用状況が良好なため、教育会館方面への延伸に対する反対の声は小さく、順調に実現する可能性が高そうです。順調にいけば、開業予定は2030年代半ばです。 将来的な東武鉄道への乗り入れは何ともいえませんが、東武百貨店建て替えのタイミングでの実現性は小さくありません。東武百貨店は2030年代ごろの建て替えが見込まれていますので、教育会館までの開業後に事業着手となるかも知れません。
ひたちなか海浜鉄道湊線延伸

ひたちなか海浜鉄道湊線延伸

ひたちなか海浜鉄道湊線は、茨城県ひたちなか市を走る地方鉄道です。勝田~阿字ヶ浦間14.3kmを結び、これを国営ひたち海浜公園西口前まで延伸する計画があります。計画は二段階で進められ、最初の区間は2030年春の開業を目指しています。 ひたちなか海浜鉄道港線延伸の概要 ひたちなか海浜鉄道湊線は、かつては茨城交通の路線でした。2008年に第三セクター化され、現路線名となっています。勝田~阿字ヶ浦間14.3kmを結ぶ非電化路線です。 一時は廃止も議論されたローカル私鉄ですが、第三セクター後に経営が持ち直し、阿字ヶ浦駅の先にある国営ひたち海浜公園までの延伸案が浮上しました。 ルート案は総延長約3.1km。阿字ケ浦駅から北上し、海浜公園の南側外周に沿って進み、公園中央口を超えて公園西口付近を終点とする案です。 当初は一括開業の予定でしたが、物価上昇などの影響を受けて、工事を二段階に分けることを決定。国営ひたち海浜公園の南口付近に新駅を整備し、そこまでの区間1.4kmを先行して開業する方針に変更しました。 終着駅は、海浜公園西口の翼のゲート付近に設置され、バスターミナルも併設される計画です。物産品販売や飲食を提供できる観光拠点の整備も見込んでいます。周囲にはアウトレットモールやホームセンター、家電専門店などの大規模ショッピングセンターがあり、買い物にも便利な立地です。 概算事業費とスキーム 概算事業費は、当初約65億円とされましたが、2018年2月に約78億円に見直され、さらに先行開業区間約59億円、残りの区間が約67億円の、計126億とされました。鉄道事業再構築事業として国の支援を仰ぐ予定です。 2024年度中に鉄道事業再構築実施計画を策定し、2025年度以降に先行区間で事業着手します。先行区間の開業予定は2030年春です。   ひたちなか海浜鉄道湊線延伸の沿革 ひたちなか海浜鉄道湊線は、もともと茨城交通の運営でした。延伸計画の古い歴史は定かではありませんが、現実的な計画として浮上したのは、2013年2月27日のひたちなか市長の記者会見が初めてとみられます。市長は「延長をこれから検討する」旨の発言をし、2013年度予算で調査費が計上されました。 2014年2月には、延伸ルート4案を公表。2016年4月18日に、そのうちのひとつに絞ったことを発表しました。2016年12月には、2024年度運行開始とするスケジュール案も公表しています。 2020年8月11日に国土交通省に事業許可を申請。2021年1月15日に第一種鉄道事業が許可されました。このときは運行開始予定を2024年度とし、22年1月までの工事施工認可申請を目指しました。 しかし、新型コロナウイルスの影響で関係者との協議が遅れ、同月に期限延長を国に申請。2023年3月末が新たな期限でしたが、それにも間に合わず、再度延期しました。 その後、2023年12月12日に、ひたちなか市が議会で二段階開業案を公表。海浜公園南口まで1.4kmを先行整備する方針を明らかにしました。着工後、約5年での開業を見込みます。このときは、2024年度に着手し順調にいけば2029年度末(2030年春)に開業するとしました。 2024年11月19日には、国から工事認可を得ています。 ひたちなか海浜鉄道湊線延伸のデータ ひたちなか海浜鉄道湊線延伸データ 営業構想事業者 ひたちなか海浜鉄道 整備構想事業者 ひたちなか海浜鉄道(みなし上下分離) 路線名 湊線 区間・駅 阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園南口~同西口 距離 3.1km(南口までの1.4kmを先行整備) 想定利用者数 -- 総事業費 約126億4100万円(第1工区59億2300万円、第2工区67億1800万円) 費用便益比 -- 累積資金収支黒字転換年 -- 種別 第一種鉄道事業事業 種類 普通鉄道 軌間 1067mm 電化方式 非電化 単線・複線 単線 開業予定時期 2030年春(先行開業区間) 備考 鉄道事業再構築事業(社会資本整備総合交付金) ひたちなか海浜鉄道湊線延伸の今後の見通し 湊線の延伸計画は、浮上してから数年でとんとん拍子に話が進みました。ひたちなか市では、当初、2018年度の事業許可取得を目指すスピード展開でしたが、結局、事業許可申請は2020年8月にずれ込み、許可が下りたのは2021年1月15日となりました。 それに続く工事施工認可申請は2022年1月と見込まれていましたが、間に合わずに2023年3月に延期。それにも間に合わず、再延期となっています。2023年12月に一部区間先行開業案を公式発表して、ようやく工事着手の見通しが立ちました。 延伸エリアは地方の再開発地域でもあり、土地取得のハードルも高くないことから、工事着手すれば完成は早いと見込まれています。順調にいけば、着工から5年後の開業とされていて、海浜公園南口までの開業は視野に入りました。 しかし、当初計画の全区間については、事業費が当初予定の2倍にまで膨れあがっていて、実現は見通せなくなっている印象もあります。
なにわ筋線

JR・南海なにわ筋線

JR・南海なにわ筋線は、大阪駅(うめきた)からJR難波駅、南海新今宮駅へ至る鉄道新線です。JRと南海が共同で営業します。開業予定は2031年春です。 なにわ筋線の概要 なにわ筋線は、大阪市のなにわ筋の地下に建設中の鉄道路線です。新大阪駅とJR難波駅・南海汐見橋駅を結ぶ地下鉄路線として検討が進められてきましたが、2017年5月23日に北梅田駅(当時の仮称)と、JR難波駅・南海新今宮駅を結ぶ計画として事業化されることが決まりました。 ルートは、大阪駅(うめきた地下ホーム)から、地下構造でなにわ筋に向けて南西に進み、JR大阪環状線福島駅付近でなにわ筋の地下に入ります。その後、地下構造のまま、なにわ筋を南下し、西本町駅の立地する中央大通の南で2方面に分岐し、JR難波駅と南海新今宮駅にそれぞれ接続します。 JR難波駅へはそのまま地下構造で接続し、南海新今宮駅へはパークス通の大阪市浪速区敷津東3丁目付近で地上に移行し、高架構造で南海本線へ合流する路線計画となっています。総延長は7.4kmです。   途中駅として、中之島駅、西本町駅、新難波駅(いずれも仮称)の3駅を設けます。このうち、新難波駅は南海のみが使用します。いずれの駅もホームは2線です。 中之島駅では京阪中之島駅と連絡します。また、南海新難波駅で市営地下鉄、南海、近鉄の各駅と連絡します。西本町駅での他線連絡はありません。 開業すると、新大阪~関西空港間が、JR49分、南海50分で結ばれます。大阪~関西空港間は、JR44分、南海45分です。   整備主体と営業主体 なにわ筋線は、第三セクターの関西高速鉄道が整備主体となり、JR西日本と南海電鉄が営業主体となる上下分離方式です。 北梅田~西本町間がJR・南海の共同営業区間、西本町~JR難波がJR単独営業区間、西本町~新今宮が南海の単独運行区間です。 運行計画とダイヤ なにわ筋線は、大阪駅から先、梅田貨物線の地下線を経由して新大阪駅まで乗り入れます。 なにわ筋線開業後のダイヤは未発表ですが、事業計画によると、旅客列車の運転本数は1日最大560本とされています。 6両、8両、9両編成を想定し、JR、南海とも特急(優等)、普通列車がそれぞれ乗り入れます。最高速度は110km/hです。 整備費用と採算性 なにわ筋線は国土交通省の地下高速鉄道整備事業費補助を活用して建設されます。 総事業費は3,297億円で、国、自治体、鉄道事業者が3分の1ずつ負担します。自治体の負担分約1,180億円については、府市で590億円ずつ折半します。 2023年の再評価時の資料では、費用便益比は30年間で1.49、50年間で1.66です。単年度営業収支黒字転換年は16年、累積資金収支黒字転換年は40年で、事業採算性は確保できるとしています。 年間で26.4万人の利用を予測します。 なにわ筋線の沿革 新大阪駅から梅田、中之島を経て難波を結ぶ「なにわ筋線」構想は、1980年代から存在していました。2004年の近畿地方交通審議会答申第8号では、「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として盛り込まれています。 近畿開発促進協議会の2007年6月の協議では、なにわ筋線を「大阪都心を南北に縦断する都市交通線として重要である」と位置づけました。 しかし、大阪を南北に貫く地下鉄線は、すでに御堂筋線、谷町線、四つ橋線、堺筋線と4路線もあり、なにわ筋沿いには繁華街も少ないことから採算性が疑問視され、なかなか具体化しませんでした。 風向きが変わったのは、2008年に橋下徹が大阪府知事に就任してからです。橋下は、大阪の都市軸を東西に広げるためのインフラ整備の一環として、なにわ筋線の建設に前向きな姿勢を見せます。関西空港への直通を前提に「関空活性化に不可欠」と国に働きかけ、国土交通大臣(当時)の金子一義が関空へのアクセス改善策として検討を表明しました。 2009年4月17日には、JR西日本や関西大手私鉄5社・大阪府・大阪市・関西経済界の首脳が懇談会を開催して、「なにわ筋線」の必要性について合意しています。しかし、その後も採算性の問題がついてまわり、事業の具体化はなかなか進みませんでした。 ところが、LCCの関空就航が相次ぎ、インバウンドによる外国人観光客が関西空港に集まるようになると、関西空港の利用者が急増。なにわ筋線の必要性が高まり、議論が進展します。2017年5月23日に、JR、南海、大阪府市の4者に阪急を加えた5者の間で、なにわ筋線建設を進めていくことで一致し、計画概要が明らかにされました。 2018年2月にはアセスメントの環境影響評価方法書が公表され、事業の詳細が明らかにされています。2020年8月に事業認可され、2021年10月に着工しました。開業予定は2031年春としています。 なにわ筋線のデータ なにわ筋線データ 営業構想事業者 JR西日本、南海電鉄 ...

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