岡山市では、岡山電気軌道の清輝橋線と東山線を新線で結び、路面電車を環状化する「ハレノワ線」(仮称)を計画しています。大雲寺前~西大寺町間の約0.6kmを新設する計画で、2029年度末の運行開始を目指しています。
岡山電気軌道ハレノワ線の概要
ハレノワ線は、岡山電気軌道の清輝橋線大雲寺前電停と東山線西大寺町電停を結ぶ約0.6kmの新線計画です。途中に岡山芸術創造劇場ハレノワがあり、その付近に「ハレノワ前電停」を新設します。
新設区間は単線で、一方通行の左回りとします。一部区間では、道路中央ではなく歩道側に軌道を配置する「サイドリザベーション方式」を採用します。
ハレノワ線の完成により、岡山駅を起点として、大雲寺前→ハレノワ前→西大寺町→岡山駅と巡る、約3.4kmの環状系統を新設します。ピーク時には毎時3本以上を運行する計画です。
新設するハレノワ前電停では、1日約700人の乗降を見込んでいます。岡山駅前と表町千日前地区を路面電車で結び、中心市街地の回遊性を高めることが狙いです。

概算事業費は約27億4,000万円です。このうち軌道の設計・整備費が約20億2,000万円、道路の設計・整備費が約7億2,000万円となっています。国と岡山市が半額ずつ負担します。
整備・運行は岡山電気軌道がおこないますが、施設の維持管理費は岡山市が負担します。施設の所有者は岡山電気軌道のまま、市が所有しているとみなして公費を投入する「みなし上下分離方式」を採用します。
維持管理費として年間約800万円、固定資産税相当額として年間約500万円を岡山市が負担します。また、開業後の営業収支が赤字となった場合は、その半額を市が支援し、黒字となった場合は半額を市に納付する仕組みです。

岡山電気軌道ハレノワ線の沿革
岡山市は2020年2月に「路面電車ネットワーク計画」を策定し、清輝橋線と東山線の延伸・環状化を盛り込みました。2021年9月には都市計画を決定しました。
当初は民設民営方式を想定し、国、岡山市、岡山電気軌道が事業費を3分の1ずつ負担する案で協議しましたが、合意に至りませんでした。その後、コロナ禍の影響もあり、協議が中断しました。
2023年度に国の補助制度が改正され、事業者が整備する場合の補助率が3分の1から2分の1に引き上げられました。また、2023年9月には岡山芸術創造劇場ハレノワが開館し、劇場周辺への公共交通の充実が課題となりました。
岡山市は2024年度から岡山電気軌道との協議を再開。2026年1月26日に、みなし上下分離方式による事業化で合意したと発表しました。このとき、概算事業費を約27億4,000万円とし、2029年度の運行開始を目指す事業計画案を公表しました。
2026年度予算には調査設計費として9,090万円を計上。地質調査、道路詳細設計、軌道の基本・詳細設計などを進めることになりました。
2026年6月24日には、岡山市都市・消防政策審議会で事業の必要性や費用対効果などが審議され、事業の妥当性が認められました。7月23日には岡山電気軌道が、軌道法に基づく特許を国に申請しました。
同年9月17日には、軌道敷設の特許申請に係る意見について、岡山市議会が同意しました。2027年度の着工、2029年度末の完成に向けて、設計や手続きを進めています。
岡山電気軌道ハレノワ線のデータ
| 営業予定事業者 | 岡山電気軌道 |
|---|---|
| 整備予定事業者 | 岡山電気軌道(国・岡山市が費用負担) |
| 路線名 | ハレノワ線(仮称) |
| 区間・駅 | 大雲寺前~ハレノワ前~西大寺町 |
| 距離 | 約0.6km(新設区間) |
| 運行区間 | 岡山駅~大雲寺前~ハレノワ前~西大寺町~岡山駅(約3.4km) |
| 新設電停 | 1カ所(ハレノワ前) |
| 運行本数 | ピーク時毎時3本以上 |
| 想定利用者数 | 約700人/日(ハレノワ前電停の想定乗降者数) |
| 総事業費 | 約27.4億円(軌道約20.2億円、道路約7.2億円) |
| 種別 | 軌道事業 |
| 種類 | 軌道(一部サイドリザベーション方式) |
| 軌間 | 1,067mm |
| 電化方式 | 直流600V |
| 単線・複線 | 単線(左回り) |
| 着工予定時期 | 2027年度 |
| 開業予定時期 | 2029年度末 |
| 備考 | みなし上下分離方式。国と岡山市が整備費を半額ずつ負担 |
※データは主に岡山市の2026年1月公表の事業計画資料、同年9月の市議会資料による。
岡山電気軌道ハレノワ線の今後の見通し
ハレノワ線は、岡山市と岡山電気軌道が2026年1月に事業化で合意し、同年7月に軌道特許を申請しました。今後、軌道特許の交付や工事施行認可などの手続きを進め、2027年度に着工する計画です。
岡山市では、これに先立ち、2027年3月に岡山駅前広場への路面電車乗り入れを開始する予定です。この工事が完了したのを受けて、ハレノワ線の整備を進め、2029年度末の完成・運行開始を目指します。
新設区間は短く、スケジュール的にも無理がないため、計画通り進めば、2030年春に開業しそうです。



























