JR九州が九州新幹線内で無料の無線LAN(Wi-Fi)サービスを導入すると発表しました。訪日外国人対応ですが、日本人も使えます。九州だけでなく、新幹線のWi-Fiは全国へ拡大中。2020年の東京オリンピックを見据え、導入が進んでいます。
新八代までWi-Fi対応に
JR九州が無料Wi-Fi設備を導入するのは、同社が保有するN700系、800系の全車両です。サービスは2018年秋から順次開始し、2019年度末までに全編成でWi-Fi対応を実施する計画です。
導入が進められるWi-Fiサービスは、携帯電話の電波を利用したものです。九州新幹線では、2018年秋時点で新幹線の携帯対応エリアは博多~新八代間に限られるため、Wi-Fiが使える区間は、当初、博多~新八代間となります。
新八代~鹿児島中央間のトンネル内や、電波が届かない区間では利用できません。ただ、同新幹線ではすでに新八代駅~新水俣駅でも携帯対応を進めており、順次、全線に拡大される見通しです。
東海道・山陽新幹線は全線で
東海道・山陽新幹線では、全線でのWi-Fi導入がすでに発表されています。JR東海は、N700Aで無料Wi-Fiサービスを2018年夏以降に順次提供すると発表。2019年度中に、全車両に設備を導入します。
JR西日本でも、所有する車両で無料Wi-Fiサービスの整備を開始します。JR東海とタイミングをあわせ、2018年夏以降に、機器を取り付けた編成から順次サービスを開始。2019年度末までに、全編成で対応します。
東海道新幹線では、これまでも車内でWi-Fiサービスを提供していましたが、事前にNTTドコモ、ソフトバンクテレコム、UQコミュニケーションズなどの事業者と契約する必要がありました。新サービスは、事前契約が不要かつ、無料で使えるものです。
東北新幹線でサービス開始
他社に先駆けて無料Wi-Fiを導入したのはJR東日本です。2018年5月24日に、東北新幹線E5系1編成で、無料のWi-Fiサービスの提供を開始しました。
JR東日本では、これまで駅構内で提供してきた「JR-EAST FREE Wi-Fi」を、新幹線車内でもシームレスに使えるようにしています。利用にはメールアドレスの登録が必要ですが、登録すれば1日何度でも使用できます。ただし、1回の接続時間は3時間です。
携帯電話の電波を使用しているため、一部トンネル内や山間部では利用できない場合があります。東北新幹線では、東京~八戸間でトンネル内の携帯電話対応が完了していますので、八戸以南ではほぼ繋がると考えてよさそうです。
JR東日本は、山形新幹線E3系、秋田新幹線E6系、北陸新幹線E7系でも、2019年5月までに、全編成で同様のサービスを導入する計画です。秋田新幹線と北陸新幹線は、2018年5月から車両改修を進め、順次提供します。山形新幹線も2018年度中に改修を開始します。
北陸新幹線については、JR西日本もW7系で2018年夏から工事を始め、2019年9月までに全編成でのサービスを開始する予定です。
上越新幹線では、2018年度から2020年度にかけて、E4系をE7系に置き換えます。新規投入されるE7系について、Wi-Fi設備を導入します。
北海道新幹線は?
北海道新幹線については、現時点で無料Wi-Fiの整備の発表はありません。携帯電話の電波を利用するWi-Fiならば、北海道新幹線で導入するには、青函トンネルの圏外解消というハードルが待ち構えます。
ただ、政府は、2017年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」において、「新幹線トンネルにおける携帯電話の通じない区間の2020年までの解消を目指す」と明記しています。
この戦略に基づいて、鉄道事業者に補助金を支出して、新幹線トンネル内の携帯電話の圏外解消を促しているわけです。
経営難のJR北海道に関しては、負担なしで対策できるよう補助制度を見直す方針を固めました。
野田聖子総務相は、2018年2月の衆院予算委分科会で、「北海道新幹線も2020年までの対策終了に期待する」と述べており、2年後には青函トンネルで携帯電話が使えるようになりそうです。
それにあわせて、北海道新幹線での無料Wi-Fiの整備も進むのではないか、と期待しましょう。(鎌倉淳)