JR東日本は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック(東京五輪)に向けた取り組みを発表しました。競技会場に近く多くの利用者が見込まれる山手線の原宿駅を建て替え、千駄ヶ谷駅や信濃町駅では改良工事を実施します。
また、E235系の置き換え計画も発表。その他にも、山手線内で施設整備を計画しており、2020年向けて、山手線内のJR鉄道施設が大きく変わりそうです。
原宿駅を建て替え
2020年に向けた取り組みの目玉は、山手線の原宿駅の建て替えでしょう。東京五輪の競技場となる国立代々木競技場に近く、多くの利用者が見込まれている駅です。現在の建物は1924年に建造されたもので、老朽化しているうえ通路も狭いとして、現在の駅舎に隣接する形で2階建ての駅舎が新たに建設されることになりました。
新しい原宿駅では、現在年始の初詣シーズンにだけ使われている臨時ホームを外回り線の常設ホームとするほか、コンコースや改札口を広げ、明治神宮側にも出入口を新設します。工事は2016年内にも着手し、2020年の大会前までに利用できるようにするとしています。
大正建築の現駅舎は、都内で最も古い木造駅舎です、白い壁に木材が装飾された西洋風の建築様式で、とがった塔のある屋根が特徴。1945年の東京大空襲でも焼失を免れ、戦後は原宿の象徴として親しまれてきました。
建て替えによって現駅舎は廃止となります。保存するか取り壊すかについては未定で、渋谷区や地元の商店街、市民などと協議するということです。
千駄ヶ谷駅も大改修
国立競技場に近い千駄ケ谷駅でも、施設の大改修が行われます。現在、使用していない臨時ホームを新宿方面の専用ホームとして、ホームを2面化。改札口やコンコースも拡張します。また、改札口を新宿寄りに改札口を移設し、ホームドアを新設。エレベーターの増設など、バリアフリー設備を拡充すると同時に、トイレも拡張します。
信濃町駅でもホームドアの設置とエレベーターの増設、トイレの拡張を行います。
また、有楽町、新橋、浜松町、日暮里、大井町、新木場などの各駅でも通路の拡張やバリアフリー設備の増設などを計画しているということです。
山手線は2020年にE235系への置き換え完了
車両面でも発表がありました。山手線の新型車両「E235系」の量産を開始し、2017年から順次投入するそうです。2020年春までに49編成539両を製造し、山手線すべての車両がE235系に置き換えられます。
山手線で現在使用されているE231系が登場したのは2002年。3年後の2005年に山手線全車両がE231系になりました。今回、2020年までに全車両をE235系に置き換える計画が発表されたことから、E231系は18年で置き換わることになります。
一方、現在運用されているE231系500番台は、ホームドアにも対応可能な保安装置などを含む改造を行い、中央・総武緩行線に転用されます。信濃町、千駄ヶ谷各駅でホームドアの設置が公表されたことから、中央・総武緩行線で本格的にホームドア設置が進むとみられます。
ターミナル駅も改良へ
JR 東日本は、2020年東京五輪のオフィシャルパートナーに決定したことも発表しました。これにあわせ、「JR 東日本2020Project」を発表、さまざまな取り組みも計画していることを明らかにしています。
施設面では、上述のような会場周辺駅での駅ホームやコンコースの拡幅、バリアフリー設備の拡充等を推進を掲げていますが、新宿、横浜、東京、渋谷といった大規模ターミナル駅での駅改良も行うとしています。
また、2020 年に暫定開業する品川~田町間の新駅周辺でも、東京五輪の開催機運を高める取り組みを検討するとのこと。そのほか、「駅ナンバリング」の実施、駅名標の4ヵ国語表記、外国人向け無料Wi-Fiの設置なども推進していきます。
2020年に向けたこれからの5年間で、山手線内のJR線は、大きく姿を変えそうです。(鎌倉淳)