JR東日本が、東北新幹線の上野~大宮駅の埼玉県内区間で、新幹線の最高速度を引き上げます。同区間で新幹線の最高速度を引き上げるのは初めて。所要時間は最大で1分程度短縮されます。
110km/hから130km/hへ
東北新幹線の上野~大宮間の最高速度は、現在110km/hです。上野~大宮間の所要時間は約19分、東京~大宮間は約25分(上野停車の場合)かかっています。
JR東日本では、このうちJR埼京線と並行する、荒川橋梁以北の約12kmの区間において、最高運転速度を最大130km/hに引き上げることを明らかにしました。
騒音対策として、埼京線の戸田公園~戸田間、戸田~北戸田間、南与野~与野本町間と並行する区間(合計2km)で吸音板を設置し、戸田~北戸田間、南与野~与野本町間、与野本町~北与野間と並行する区間(合計1km)で防音壁をかさ上げします。
工事は2018年5月下旬に着手し、工期は2年程度。速度向上によって最大1分程度の時間短縮を達成します。工事完了後の具体的なダイヤは明らかにされていません。
2002年に発表済み
じつは、JR東日本は、この区間のスピードアップについて検討することを、2002年に公表しています。
東北新幹線の東京~大宮間は、建設当時、強い反対運動があったことから、当初計画からルート変更が相次ぎ、急曲線が多くなっています。そのため、スピードアップが難しいという事情がありました。
しかし、デジタルATCを導入することにより、きめ細かい速度制御ができる見込みが立ち、それにより到達時間短縮が可能になると、2002年に発表したのです。
「1分」の重み
JR東日本は、2002年当時、「東京~大宮間33kmのうち急曲線が少ない、約半分の18km程度の区間でスピードアップを検討」することを明らかにしました。
そして、「東京~大宮間を通る当社のすべての新幹線について、現行の所要時分25分(上野停車列車)から2分程度短縮することを目指します」と目標を掲げています。
このとき、JRは、短縮が可能となる時期として「2006年頃の見込み」としました。しかし、現在に至るまでスピードアップは実現せず、東京~大宮間の所要時間は25分のままです。
16年の検討期間を経て、このほど、ようやく速度向上が実現することになります。対象区間は埼玉県内に限られ、当初掲げられた「18km」は「12km」となり、「2分」は「1分」となりました。それだけに、短縮の意味は重いといえます。その重みを体感できるのは、2020年以降です。(鎌倉淳)