終電繰り上げも
東武鉄道の2022年3月ダイヤ改正では、終電の繰り上げも実施します。
東武スカイツリーラインの平日ダイヤでは、上り北千住~浅草間を4分繰り上げ、竹の塚~北越谷間を8分繰り上げ、北越谷~北春日部間を7分繰り上げます。
現ダイヤの北越谷行き最終を竹の塚止まりに、北春日部行き最終を北越谷止まりにするようです。
伊勢崎線の土休日ダイヤでは、下り東武動物公園~久喜間で14分終電を繰り上げます。これも最終の久喜行きを東武動物園止まりに変更するようです。
小泉線では太田~東小泉間の終電を53分繰り上げます。太田発23時21分発が終電だったところ、22時28分発最終に変更します。1時間近い大幅な繰り上げです。
このほか、佐野線、小泉線、桐生線、宇都宮線の各線で、早朝と深夜時間帯の列車本数や時刻を見直す方針で、減便が実施されそうです。
野岩鉄道でもダイヤ改正
東武鉄道のダイヤ改正にあわせて、野岩鉄道でもダイヤを改正します。こちらは、東武線以上の運行本数削減を断行する「大減量ダイヤ」となります。
具体的には、現行の普通列車17往復を、改正後10往復とします。実に運転本数4割削減という大なたを振るいます。
特急「リバティ会津」は、1往復が川治温泉、中三依温泉を通過していましたが、新ダイヤでは全列車が停車となります。これにより、特急「リバティ会津」は、全列車が男鹿高原以外の野岩線全駅に停まることになります。普通列車削減の救済の意味があるとみられます。
北千住駅65%減
以上が東武鉄道2022年3月ダイヤ改正の概要です。「改正」というのがはばかれるような内容で、「ダイヤ見直し」とでも表現した方がよさそうな減便のオンパレードです。
東武鉄道は、今回のダイヤ改正について、新型コロナウイルス感染症の影響により、行動様式の変化などで、乗客の利用状況が大きく変化したことを理由に挙げています。
乗車率を比較すると、朝ラッシュ時の北千住駅は、コロナ前に比べて利用者が31%減少しており、とくに22時以降は北千住駅が65%減となっています。
22時以降では、太田駅の利用減がとくに大きく、69%減となっています。小泉線の終電の53分繰り上げは、こうした事情を背景としているようです。
終電繰り上げにより、夜間の保守作業の時間を延ばすことができ、作業員の深夜労働の効率化にもつながるとしています。
末端部で影響大きく
新ダイヤで影響が大きいのは、都心直通列車の終点に近い末端部です。日中の運転本数は削減されますし、朝夕の優等運転は縮小、終電は繰り上げで、三重苦といっていい状況です。
列車の運用数を減らし、深夜の間合い時間を増やすには、末端部の本数を減らすのが影響が小さく効果が大きいので、こうしたダイヤ見直しになってしまうのでしょう。
一方で、春日部以南では日中の本数に変わりありません。ラッシュ時の本数減も利用状況を反映した程度にとどまるのであれば、不便を感じるほどでもなさそうです。
新型スペーシア4編成の意味
特急に関しては、新型スペーシアN100系が2023年に4編成導入される予定です。現行100系は9編成あるので、新N100系は5編成少なくなりますが、新ダイヤでこれだけリバティへ置き換えられれば、9編成は不要ということなのかもしれません。
将来的にN100系の増備は検討されるのでしょうが、インバウンドの復活が見通せない中、当面は4編成で十分という判断でしょうか。
新しい生活様式で、鉄道の利用状況がどの水準で落ち着くのかは見通せません。訪日観光客がいつ戻ってくるのかも定かではありません。
東武鉄道の新ダイヤは、そうした「不確かさ」を反映しているといえそうです。
今後、利用状況の低迷が長引くのであれば、さらなる減便も起こりうるだけに、新ダイヤの行く末も流動的かもしれません。(鎌倉淳)